via text - ここをクリックして引用元(テキスト)を入力(省略可) / site.to.link.com - ここをクリックして引用元を入力(省略可)

 今年創立75周年を迎えたJBLから、じつに興味深いアニバーサリーモデルが登場した。SA750と名づけられたプリメインアンプである。

 JBLといえばスピーカーメーカーのイメージしかないという方は多いと思うが、1960年代には同社製高級スピーカーを鳴らすに相応しいアンプが発売されていた。ベテランのオーディオファイルが本機を一目見れば、1965年に発表されたプリメインアンプSA600にオマージュを捧げた製品であることはすぐにわかるはず。

 フロントパネルの左4分の1はグレーの縦のヘアライン、右4分の3はシルバーの横のヘアライン仕上げというアシンメトリー・デザインが採られていること、電源を入れると、左端の型番の上にオレンジ色のエクスクラメーションマークが灯ること、このふたつの手法にSA600のテイストが活かされているわけだが、遊び心が横溢したこの秀逸なデザインは、現代の目にもとてもフレッシュで魅力的に映る。

 またSA600にはなかったディスプレイが本機には搭載され、文字フォントがエクスクラメーションマークと同じオレンジ色で表示されるのもニクいところ。ちなみにSA600をデザインしたのは、美しい一体型ステレオ・スピーカー「パラゴン」を手がけたアーノルド・ウォルフ氏。後年JBL社の社長となる御仁である。

 さて、このアンプの特徴は大きく3つある。ひとつは高効率なアナログ増幅方式であるクラスG回路とオーソドックスなアナログリニア電源回路が採用されていること。ふたつめがESSテクノロジー社のMQA対応32ビットDACチップを内蔵し、RJ45端子を備えてネットワークプレーヤー機能を有していること。3つめがストームオーディオのAVプリで採用実績のある音場補正機能「DiracLive(ディラク・ライブ)」を搭載していることだ。また、MM/MC対応のフォノ入力を備えていることもアナログレコード好きには見逃せないポイントだろう。

ダイレクトとDiracLive
その効果の差やいかに?

 本機はRoonレディ機だが、「ハーマンミュージックライフ」という専用アプリも用意されている。それをiPadにインストールして高音質音楽ストリーミングサービスTIDALのFLAC/MQA音源をいくつか再生してみた(スピーカーはモニターオーディオPL300Ⅱ)。ことさらワイドレンジ感を強調するタイプではなく、帯域バランスの整ったクセの少ない音調で腰の座った安定感のある音を聴かせ、音楽ジャンルの得手不得手を感じさせない。じつに使いやすいアンプという印象を受けた。ひじょうに多機能な製品だが、40万円クラスのシンプルなプリメインアンプと伍して戦える音質が実現できている。

 「DiracLive」の効能も調べてみた。PCでDiracLiveのサイトにアクセスし、PCと付属のマイクロフォンをUSB接続してテスト信号を発生させ、部屋の音響特性込みでスピーカーの周波数特性を測定する。補正ターゲットカーブは50Hzで+2dB、500Hzでフラット、8kHzで−2dBという右肩下がりの特性だ。

 主な補正回路をオフにしてピュアに音質を追求した「ダイレクト」ポジションと「DiracLive」オンを比較してみた。ダイレクトに比べてDiracオンは聴感上音圧が上がったように聞こえ、低域に厚みが加わる。ダイレクトに比べて高域のきつさも和らぐ印象だ。いっぽうで、サウンドステージの広がりや奥行感の表現に関してはダイレクト・ポジションのほうに分がある。DP-UB9000の同軸デジタル出力をつないで再生したUHDブルーレイ『ソウルフル・ワールド』でもダイアローグのキレはダイレクト、演奏シーンの音の厚みでDiracオンに軍配が上がった。どちらを選ぶかは、再生ソフトとスピーカーとの関係で判断すればよいだろう。もっとも音響特性に意を払った広い空間のHi Vi視聴室よりも、狭小なリスニングルームのほうがDiracの効能はより大きいとは思うが……。

 本機と組み合わせたいスピーカーは同じJBLのL100クラシック。ミッドセンチュリー・テイストのマニッシュなインテリアにイームズのラウンジチェアなんぞを置いて、この組合せで『真夏の夜のジャズ』のブルーレイを楽しむ。想像するだけでゾクゾクしますナ。

画像: ダイレクトとDiracLive その効果の差やいかに?

INTEGRATED AMPLIFIER
JBL
SA750
¥385,000 (税込)

●定格出力:200W(4Ω)×2、130W(8Ω)×2 ※両チャンネル駆動時
●接続端子:アナログ音声入力6系統(RCA×3、PHONO×2[MC/MM各1]、3.5mmステレオミニ)、デジタル音声入力5系統(光×2、同軸×2、USBタイプA)、ヘッドホン出力1系統(3.5mm)プリアウト1系統、LAN1系統
●寸法/質量:W449×H127×D327mm/10.7kg
●備考:DiracLive機能搭載 
●問合せ先:ハーマンインターナショナル㈱ TEL.0570 (550) 465

画像: アナログライン入力3系統、デジタル入力4系統、MC/MMの独立したフォノ入力と、充実した入力端子。プリアウトも備え、外部パワーアンプとの接続もできる

アナログライン入力3系統、デジタル入力4系統、MC/MMの独立したフォノ入力と、充実した入力端子。プリアウトも備え、外部パワーアンプとの接続もできる

画像: 低出力領域では低電圧電源によるクラスAアンプとして、高出力の際は高い電圧と電源供給能力によるクラスABアンプを動作させるクラスGアンプを搭載

低出力領域では低電圧電源によるクラスAアンプとして、高出力の際は高い電圧と電源供給能力によるクラスABアンプを動作させるクラスGアンプを搭載

入力切替、ダイレクトモードやDiracのオンオフなどは専用のリモコンでの操作が便利だ。ハーマンが提供するスマホ/タブレットのアプリ「Music Life」でストリーミングサービスと連携でき、アプリ上での操作も可能

画像: 往年の名機を現代的にアップデートしたJBL SA750
DiracLiveの音場補正も秀逸だ

DiracLiveでHiVi視聴室を測定し、音場補正を行なった。太い線が補正後の周波数特性カーブで、聴感上ではかなりの差が感じ取れた

関連サイト

関連記事

この記事が読める月刊「HiVi」10月号のご購入はコチラ!

This article is a sponsored article by
''.