イ・ビョンホン×ハ・ジョンウ×マ・ドンソク、スター3人が夢の競演

 韓国屈指の演技派スター3人が共演を果たした『白頭山(ペクトゥサン)大噴火』。“北朝鮮と中国の国境地帯にそびえる白頭山が大噴火する”という危機を回避するために、地底に核兵器を投入して人工爆発を起こそうとする展開だ。

 その大胆にして緻密な理論を打ち出したのは、マ・ドンソクが演じる地質学者カン・ボンネ。たった3.48%の成功率を信じて作戦を実行するのは、ハ・ジョンウが熱演を披露する韓国軍大尉チョ・インチャン。そして、核兵器の在り処を知るキーマンで北朝鮮武力省の工作員リ・ジュンピョンにはイ・ビョンホン。クールでミステリアスなスパイを哀愁たっぷりに演じているのは、さすがだ。

 ま、この顔ぶれを見れば、細かいストーリーは省いても、観たくなるでしょ? けっして損はさせません。朝鮮半島崩壊の危機を大スケールで描くディザスタームービーとして、緊張感たっぷりのスパイ映画として、また胸の熱くなるバディムービーとして。とにかくエンタテインメント要素がてんこ盛りですから。

画像: 突飛にも思えるストーリーをテンポよく見せ、2時間8分の上映時間をまったく飽きさせない『白頭山大噴火』

突飛にも思えるストーリーをテンポよく見せ、2時間8分の上映時間をまったく飽きさせない『白頭山大噴火』

画像: メイキングより。イ・ビョンホン(中央)の役柄は、一番“おいしい”といっても過言ではないかも。クールでミステリアスな表情がどう変化していくのか、お楽しみに

メイキングより。イ・ビョンホン(中央)の役柄は、一番“おいしい”といっても過言ではないかも。クールでミステリアスな表情がどう変化していくのか、お楽しみに

画像: 同じくメイキングより、初共演となったハ・ジョンウ(左)と

同じくメイキングより、初共演となったハ・ジョンウ(左)と

第1次韓流ブーム、<韓流四天王>の人気は凄まじかった!

 さて、イ・ビョンホン。

 いまや韓流ブーム再燃だけど、日本で<韓流ブーム>という言葉が定着したのは2003年以降。知っての通り、ドラマ『冬のソナタ』(02年)が話題になり、主演のペ・ヨンジュンが大人気を得て韓国ドラマ・ファンが急増。やがて<韓流四天王>が選ばれ、“ヨン様”ことペ・ヨンジュンのほか、イ・ビョンホン、チャン・ドンゴン、ウォンビンがその座についた。

 もう、その勢い、来日時のファンの熱狂はヘタなハリウッドスターも顔負け。取材のハードルも数倍高くて、前もって質問審査はあるわ、取材時間は短いわ、インタビューの途中でマネージャーがストップ! をかけるわ……。

 私がビョンホンにインタビューをしたのも、そんな熱狂ムードがムンムンの時期。映画『甘い人生』(05年)と『夏物語』(06年)を携えた来日と、ドラマ『IRIS-アイリス-』(09年)の放送記念の計3回だ。当時の私は、ビョンホンに関しては映画『JSA』(00年)で<若手演技派>という認識してはいたものの、ドラマをほとんど観ていなかったから、韓流ブームにも乗り遅れていた。

 とはいえ映画ライターとしての興味と使命(?)はあるから、いつものように予習・復習をしてインタビューに臨んだつもりだった。しかし、1回目の『甘い人生』の時は、不発。どんな質問をしても、返ってくるのは模範解答。記者会見で聞いたか、どこかで読んだような答えしか得られずに、意気消沈だった。

気合を入れて臨んだ2回目の会見で“それ”は起こった

 だからこそ、1年後の『夏物語』は、かなり力んでの再挑戦となった。物語は、独身を貫いた60歳になる大学教授の初恋を描いている。回想シーンでは若々しい姿、現代バージョンでは60歳の老けメイクで。当然のことながら、役作りやら初恋に対する思いやらの質問などをしたのだが、やはり模範解答が返ってくるばかりだった。

 が、ここで引き下がってはいられない。「よくある質問ですが」と断りつつ、「オフの日には何をしていますか? “台本を読んでいる”とか“家族と食事をした”とかのお座なりな答えは禁止。特別な過ごし方を披露してください」と迫り、側に居たマネージャーがハッと息を呑みこちらへ近づこうとした。

 ところが、ビョンホンはそれを目で制して、「う~ん、考えてみるね」とにっこり。そして、語り出したのがタクシー運転手の経験。タクシー会社を経営している友人に頼んで数時間だけ運転手に変身し、3回ほど客を乗せたそうだ。

 「日頃は“俳優イ・ビョンホン”としてみんなと接しまうし、周りもそのように扱ってくれる。でも、そういった特別扱いじゃなくて、“普通の人間”として知らない誰かと、普通に接してみたかった。運転中にお客さんとおしゃべりもしたけど、結局、誰もボクだとは気が付かなくて。楽しい経験をしました」

 はい、いただきましたぁ! もちろん、このコメントは某女性誌に掲載させていただいたのだが……。事件は、雑誌の発売日に勃発。韓国のファンが目ざとくタクシー運転手経験談を見つけて<運転手のライセンスなしに客を乗せていいのか?>と騒ぎ出し、それに応えてビョンホンがお詫びの記者会見を開いたのだった。

 それを知った私は大慌て。しかし、担当編集者は「エージェントにはすべて原稿チェックをしてもらってからの掲載ですから、こちらとしては問題ないです」とすまし顔だった。まぁ、そうだけど、やっぱり無理やり口を割らせた責任は感じてしまう。ほんと、ごめんなさい!

 そして、日本では2010年3月から放送されたドラマ『IRIS-アイリス-』のプロモーションで3度目の会見。<あの事件>を思い出されたら、この場を追い出されるかもしれないとビビったけれど、スルー。すでに、映画『G.I.ジョー』(09年)でハリウッド進出も成功させていたビョンホンは、白い歯キラリの微笑みと模範解答は相変わらずだったけれど、カリスマ性とスターオーラは倍増していて、眩しいほどだった。

 それにしても、その後のハリウッドをはじめ、国内外での活躍を見ても、彼がいかに多彩な才能を持った演技派スターであるかは疑いようもない。いやはや、いま思い出しても赤面の<タクシー運転手事件>……。血気盛んだった頃の若気の至りと、お笑いください。

白頭山(ペクトゥサン)大噴火

監督:イ・ヘジュン/キム・ビョンソ
出演:イ・ビョンホン/ハ・ジョンウ/マ・ドンソク/チョン・ヘジン/ペ・スジ
2019年/韓国/128分
配給:ツイン
8月27日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
(c) 2019 CJ ENM CORPORATION, DEXTER STUDIOS & DEXTER PICTURES ALL RIGHTS RESERVED

https://paektusan-movie.com/

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