HUAWEI(ファーウェイ)は先日、2021年新製品のメディア向け体験会を開催、話題のモニター機器を中心に、ノートPCやタブレットなど9シリーズ11モデルが展示された(関連記事参照)。そのひとつとして、ノイズキャンセリング対応ワイヤレスイヤホン「FreeBuds 4」も登場、今週末(7月30日)に発売される。同社はここ数年日本市場でFreeBudsシリーズを展開しており、ノイズキャンセリング機能などの機能性の高さでイヤホンファンの注目を集めてきた。そこで今回は、同社が考える日本でのオーディオ展開について、華為技術日本株式会社 ファーウェイデバイス日本・韓国リージョン プレジデントの楊 涛(ヤン・タオ)さんにお話を聞いた。(取材・文:泉 哲也)

――ファーウェイさんはここ数年、日本市場でもスマホやPCだけでなく、イヤホンなどのオーディオ関連製品を順次リリースされています。また海外ではBluetoothスピーカーなどもラインナップされています。今後日本でもイヤホン以外のオーディオ製品を発売される予定はあるのでしょうか?

 弊社はグローバルではイヤホン、ヘッドホン、スピーカーなどのオーディオ製品をラインナップしています。しかしそのすべてを日本で販売しているわけではありません。というのも、
日本は製品の品質やサービス、革新性などのすべてで高い要求を求められる市場だからです。

 弊社の製品開発ロードマップには、オーディオ機器も含めた様々な製品の開発・企画が含まれています。しかし日本市場で発売する際には、厳しい選択を行っています。日本で販売するには、品質が高くなくてはいけませんし、突出した機能性も備えていなくてはなりません。それらをチェックして製品を選んでいるのです。

HUAWEI FreeBuds 4 ¥18,480(税込)

画像1: 快適さと機能性をハイレベルで両立したファーウェイ「FreeBuds 4」。注目モデルを送り出し続ける同社のこれからのオーディオ展開を、責任者に直撃した

●ドライバー:14.3 mm LCPダイナミックドライバー
●Bluetooth規格:BT 5.2
●音楽連続再生時間:イヤホン単体)=4時間(ノイズキャンセリングOFF時)、2.5時間(ノイズキャンセリングON時)、充電ケース併用時=22時間(ノイズキャンセリングOFF時)、14時間(ノイズキャンセリングON時)
●特長:アクティブノイズキャンセリング機能、デュアルデバイス対応(2つまで)、IPX4対応(イヤホン単体)、ジェスチャーコントロール、他
●寸法/質量:イヤホン本体=H41.4×W15.8×D18.5 mm/約4.1g、充電ケース:φ58×D21.2mm/約38g(イヤホン含まず)

画像2: 快適さと機能性をハイレベルで両立したファーウェイ「FreeBuds 4」。注目モデルを送り出し続ける同社のこれからのオーディオ展開を、責任者に直撃した

――今回、ワイヤレスイヤホンの新製品としてFreeBuds 4が発表されますが、これは日本市場に合っている製品とお考えなのでしょうか?

 そのように考えています。日本市場での弊社のイヤホンは「FreeBuds 3」から始まって、「FreeBuds PRO」、「FreeBuds 4i」、そして今回のFreeBuds 4とラインナップを拡充してきました。日本で発売するには、他社製品とどんな差別化ができるかが決め手になります。FreeBuds 4は商品としての競争力も高いと考えています。

――さんが考えるFreeBuds 4のセールスポイントを教えてください。

 FreeBuds 4は前モデルのFreeBuds 3から多くの点で改良を施しました。最大の変更点は付け心地とノイズキャンセリング機能の進化です。

 日本で発売する製品は私も実際に使うようにしていますが、FreeBuds 4はかなり気に入っています。まずイヤホンが4.1gととても軽いので、長時間装着していても気になりません。

 さらにFreeBuds 4はセミオープン型イヤホンですが、独自のアルゴリズムとハードウェア的な工夫を加えることで、最上のノイズキャンセリング効果を実現しました。

 具体的には、アダプティブ・イヤー・マッチング(AEM)技術を搭載しています。これは、ノイズキャンセリングをオンにした時に、装着者の耳の穴のサイズを測定し、さらに外圧などからちゃんと装着できているかを推測し、その人に相応しいノイズキャンセリングのパラメーターを設定します。AEMによって装着者それぞれに最適化されたノイズキャンセリング効果をもたらすことができるのです。

 他にもFreeBuds 4はマルチペアリング対応で、2台のBluetoothデバイスと同時につなぐことができます。

画像: サングラスメーカーのGENTLE MONSTERとコラボレーションした「Eyewear II」(市場想定価格¥43,780、7月13日発売)

サングラスメーカーのGENTLE MONSTERとコラボレーションした「Eyewear II」(市場想定価格¥43,780、7月13日発売)

――以前の取材でFreeBuds 3やFreeBuds 4iを試聴したことがあります。それらに共通していたのが、原音を素直に再現しようとしているということでした。女性ヴォーカルやロックなどでも高音から低音まで誇張がない点がいいと感じていました。

 またノイズキャンセリングをオンにしても、こもったような印象にならず、音楽はそのままでノイズだけが抑えられている点は凄いと感じています。これらを実現するために、技術面で配慮した点はありますか?

 詳しくは申し上げられませんが、弊社では、オーディオ機器についても様々な研究を進めている部隊がいます。今後機会があったら彼らとも意見交換をしていただきたいと思います。

――先ほどお話しにでていたAEMについては、これまで聞いたことがありませんでした。この機能はFreeBuds 4から搭載されたのでしょうか。

 はい、AEMは新搭載された機能です。開発に当たっては、1万人以上の耳を研究しました。耳の形は人それぞれで違いますし、イヤホンを付けた時にきついと感じるか、ゆるいと感じるかなどの差もあります。それにより付ける位置にも差があるのです。

 ですので、ノイズキャンセリングをオンにした時に耳の形を検出して、そこで最適化するのはとても大切です。今回はそのためのアルゴリズムを作りましたので、どんな耳の形、大きさの人がFreeBuds 4を付けても、心地よく感じ、最適なノイズキャンセリングが体験できるはずです。

画像: 左はスマートウォッチの「WATCH 3」。市場想定価格は¥50,380(ブラック、7月30日発売)

左はスマートウォッチの「WATCH 3」。市場想定価格は¥50,380(ブラック、7月30日発売)

――これらのオーディオに関連した技術開発を進める際に、重視している点はどこでしょう? 機能性なのか、音質なのか。

 ひとつというのは難しいですね。ノイズキャンセリングについても、装着感、機能性、操作性など色々な要素を考えなくてはいけませんので。

 弊社では、オーディオ機器の技術開発について主にふたつのポイントに注意しています。ひとつはハードウェア面での音響工学に基づいた設計で、もうひとつはソフトウェア、AIの能力を活用することです。

 FreeBudsシリーズでも、ハードウェア的には新しい振動板を開発して搭載しています。これによってベースの音質をキープできるようになりました。

 ソフトウェア面では、AIのアルゴリズムを最適化することで、ノイズキャンセリングの効果を上げることができました。これによりAEMのような難しい技術も搭載できたのです。

 また製品開発時には、音質の他にも価格、操作性、装着感を総合的に考えなくてはいけません。ユーザーニーズも多様化されているので、様々な製品を作り、シリーズ化することで多くの人の声に応えています。

 例えばFreeBuds PROは音に対するこだわりの強い方に向けた製品で、ノイズキャンセリングもしっかり効果がわかるようになっています。また、音ももちろん、使いやすさを重視していている方には、FreeBuds 4のようなセミオープン型をお薦めしています。

 異なるユーザーに向けた製品を出すことで、最適な音質・体験・装着感を選んでいただけるようにしています。

画像: 写真左がUSBハブ機能も内蔵した液晶モニター「Mate View」(市場想定価格¥89,800、8月20日発売)

写真左がUSBハブ機能も内蔵した液晶モニター「Mate View」(市場想定価格¥89,800、8月20日発売)

――御社のイヤホンは、各モデルとも基本的には真面目な音を指向しているように感じています。それは同時に、音で個性を主張していないことにも通じます。そういった意味で、日本市場に向けてファーウェイの音といったものを作っていく考えはありますでしょうか?

 日本はオーディオに関しては、とても先進的な市場です。しかも多くの優れたエンジニアがいます。弊社はオーディオ製品を作る際は一切妥協しないように取り組んでおり、当然日本のエンジニアにも多く参画してもらっています。彼らには、今のお話にあったような音のチューニング、音作りに携わってもらい、音質をよくしていきたいと考えています。

――日本のイヤホン愛好家の多くは、自分の好きなブランドの音、好みのサウンドを持っています。機能面だけでなく、彼らが納得するような音質もぜひ実現していただきたいと思います。

 弊社は研究開発力には自信を持っています。どのジャンルであっても、もっとも優秀な製品を出すように心がけています。ですので、今後もそういった努力を継続して、日本のオーディオファンに向けて、他にないファーウェイの音をお届けしたいと思います。

 また日本は高品質を求める市場で、厳しいユーザーが多くいらっしゃいます。そういった方々に認められれば、本当に優秀な製品作りに成功したと考えられると思っています。

画像: サウンドバーを内蔵したゲーミングモニターの「Mate View GT」(市場想定価格¥65,800、9月10日発売)

サウンドバーを内蔵したゲーミングモニターの「Mate View GT」(市場想定価格¥65,800、9月10日発売)

――日本ではイヤホンもハイエンドなモデルが多く発売されていて、ハイレゾ音源を楽しんでいる方も増えています。御社のスマホではハイレゾ音源の再生も可能ですが、イヤホンはハイレゾ伝送に対応していません。今後ハイレゾを楽しめるイヤホンやUSB D/Aコンバーターなどを発売する予定はありますか?

 ハイレゾに関しては、弊社はスマホとタブレットで対応しています。ワイヤレスイヤホンでの対応も、計画は進めていますが、他の端末との連携をどうするかなどこれから検討していきたいと思います。

――ちなみに楊さんはどんな音楽がお好きなんでしょうか?

 流行の曲を聞くことが多いですね。あとはロックも好きです。ジョギングが趣味で1時間くらい走りますので、FreeBuds 4を付けて走ってみたのですが、装着感もしっかりしていて快適でした。

――取材の際に、FreeBuds 4iでイーグルス「ホテル・カリフォルニア」を聴きましたが、ギターやドン・ヘンリーの声が気持ちよく響いてきました。またエリカ・バドゥの「Rimshot」の低音感も比較的よく出ていたと思います。

 私も「ホテル・カリフォルニア」は好きです。時にイントロのギターの響きがいいですよね。

――オーディオファンは楽器の音色の細かな違い、高音から低音までのフラットな再現性などにもこだわって音楽を聴いています。ぜひファーウェイのイヤホンでもそういったオーディオ愛好家が満足できる音を実現してください。期待しています。

 たいへん厳しい要求だと思いますが、色々な方のアドバイスをいただき、期待に応えられるような製品を作っていきたいと思います。

――今日はありがとうございました。

画像: 取材に協力いただいた、華為技術日本株式会社 ファーウェイデバイス日本・韓国リージョン プレジデントの楊 涛(ヤン・タオ)さん

取材に協力いただいた、華為技術日本株式会社 ファーウェイデバイス日本・韓国リージョン プレジデントの楊 涛(ヤン・タオ)さん

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