ソニーの録画機の新製品とは久しぶりのご対面であり、外観はすっかり簡素でブラックボックス風になってしまった。

 BDZ-FBT6100は、FBすなわち4Kチューナー搭載であり、T=3チューナーのうちふたつが4K対応となっている。本体のHDD容量は6Tバイトであり、DR(ダイレクト録画)の4K放送は390時間、地上デジタルは780時間という大容量記録が可能だ。しかも4K録画は再圧縮(高圧縮変換)モードが豊富になった。約1.5倍(XR)、約2倍(XSR)、約2.8倍(SR)~約11倍(EER)まで7通り用意されているのだ。それに長時間化に伴なうブロックノイズの増加を抑えるなどの画質向上策を強化している。

 実際には、一度DRでHDDに記録してからの再変換だが低い再圧縮倍率では画像の崩壊が目立たなくなり実用性は増している。またリモコンの黄色ボタンにて4Kの1.3倍再生が可能になったのもありがたい。それと、リモコンの形状やボタン配置はソニーのレコーダーの伝統的なものであり、凹凸や大小がはっきりしていて使いやすい。横並びのボタンは4個以内であり、これは親指による操作で識別しやすい数だ。指は触感型のセンサー兼記憶装置でもあるということをお忘れなく。

 以上は基本仕様の確認であり、他メーカ-の競合機種と大差ない。本機で訴求される機能としては、ソニーが早くから取り組んできたキーワード、ジャンル検索、人名検索機能の充実による「おまかせ、まる録り」だ。最新の「まる録辞書」を活用して、たとえばアーティストのグループ名からの関連づけなど、あらかじめ登録されている最新のデータを活用できるわけだ。これはなかなか便利だ。

 それと、新作ドラマ・アニメを約1ヵ月前から先行予約できる「先録(サキロク)」は、予約方式の到達点というべきもの。インターネット接続にて番組データ提供会社のサイトから番組情報をキャッチして利用する方式だ。今回はそれに「特番ドラマ」対応を加えたのである。従来は放送付随の番組表から最大8日前からの予約だったから利点はある。

 「番組名予約」は、一度番組名を設定すれば、各話の放送日を自動で検索し、最終話まで自動録画するおなじみのもの。今回は、それに加えて初回や最終話のみ放送延長されても追跡して録画できるようになった次第。地味な改良だけれど、連続ドラマを録画する需要は多いので、その徹底した自動化は必須の要求といえる。それにキーワード指定などを加味すると、〝ナレッジ・ナビゲーター〟というか、録画担当秘書を召しかかえた気分になれるだろう。

ソニー新型有機ELで視聴
鮮鋭画質を楽しめた

 画質はブラビアXRJ65A90Jとの純正組合せで行なった。かつて淡白な印象を抱いたこともあるレコーダーのチューナーだが、地上、BS共に有機ELの鮮鋭にして秀麗、色鮮やかな描写性能をよく充たす水準であった。4Kも同様の印象だが、このグレードとなると奥が深いので、大自然映像など、使いこなせばもっと奥行感や造形感、あるいは光彩陸離の色素をなぞるような実感が得られるだろうと思う。たとえば、着脱式AC電源端子がメガネ型なので工夫のしがいがあるわけだ。

 その印象はDRのHDD収録で補強された。オンエアより記録されたものの方が印象深いのは面白いが、自前で最適化したパルスから映像データを再構築するのだからこういうことはあり得る。その上で4Kの長時間化収録の画質を確認すると、元が24フレーム/秒の映画系が結構な水準だった。わずかに甘くなるけれど、SR(約2.8倍)くらいまでは十全に高画質を楽しめる水準だ。それ以上だと2Kにして収めた方がいいかも。

 というわけでリモコンの操作性と予約録画機能の進化、4K再圧縮映像の高水準に注目した取材であった。

 思うに、ホームビデオの黎明期には、「これからは視聴率より録画率」というテーゼがあったけれども、“全録”の時代ではどうだろうか。すぐに消去される番組も膨大な数になるのだから、録画-再生率が番組の価値指標として重要だろう。それと「予約率」ね。そうした私的な録画装置の使用実態をログファイルとしてPCやスマホに吐き出せないだろうか? そのアプリの提供と引き替えに放送番組製作者は番組との濃厚接触状態をビッグデータとして集めると有益だろう。いや、個人としても自身が録画再生してきた来歴はビッグデータなのだ。これは30年ほど前から提案していることだがいよいよ機は熟したのでは?

画像: ソニー新型有機ELで視聴 鮮鋭画質を楽しめた

4K RECORDER
SONY
BDZ-FBT6100
オープン価格(実勢価格18万2,000円前後)

●HDD容量:6Tバイト
●接続端子:HDMI出力2系統、デジタル入力端子2系統(USB)、LAN1他
●チューナー数:BS4K/110度CS4K×2、BSデジタル/110度CSデジタル×3、地上デジタル×3
●再生可能メディア:UHDブルーレイ、BD、ブルーレイ3D、DVD、CD 他
●消費電力:約33W ●寸法/質量:W430.2×H56×D224.5mm/約3.7kg
●問合せ:ソニーマーケティング(株) 買い物相談窓口 TEL. 0120-777-886

画像: HDMI端子は映像/音声と音声のみの2系統を備え、プロジェクター/AVセンターへ映像と音を分けて出力できる。USB端子に外付けHDDを接続して容量の拡張も可能


HDMI端子は映像/音声と音声のみの2系統を備え、プロジェクター/AVセンターへ映像と音を分けて出力できる。USB端子に外付けHDDを接続して容量の拡張も可能

BDZ-FBT6100の4K放送録画時間

画像: 録画モードはダイレクト(DR)を含めて8モードを搭載している。詳細設定画面から簡単に変更が可能だ


録画モードはダイレクト(DR)を含めて8モードを搭載している。詳細設定画面から簡単に変更が可能だ

画像: 録画の詳細設定画面から、録画モードが選択できる


録画の詳細設定画面から、録画モードが選択できる

画像: 専用スマホアプリ「Video & TV SideView」と連携すれば外出先でも録画予約が可能。6月のアップデートで、従来は有償だった「放送中の番組や録画した番組をスマホで見る」等の機能が無償で使用できるようになる予定だ

専用スマホアプリ「Video & TV SideView」と連携すれば外出先でも録画予約が可能。6月のアップデートで、従来は有償だった「放送中の番組や録画した番組をスマホで見る」等の機能が無償で使用できるようになる予定だ

従来と同じリモコンが付属する。録画・再生操作で多用するボタンは中央にサークル状に配置されて使いやすい

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