“テレビ内蔵スピーカー以上/2chスピーカー未満”のニーズが高まる昨今。そこにハマって市場を拡大しているのがサウンドバーだ。デノンやソニー、シャープといった国内ブランドのほか、ソノスやダリなどの海外ブランドからも2万円から15万円ぐらいまでの価格レンジでさまざまなタイプの製品が発売されている。ここで紹介するJBLのBar5.0マルチビームは、同社では現行2モデル目となるワンバータイプのサウンドバーで、独自技術によりイマーシブ再生にも対応した意欲作に仕上がっている。 

 2019年発売の既発モデル、Bar2.0オール・イン・ワンは、横幅614mmのコンパクトな筐体に楕円形ユニット2基のみというシンプルな仕様で、「シネマ」「ミュージック」などのサウンドモードも用意されていない。セリフや歌声をしっかり聴かせることに特化した、少し大きめのセンタースピーカーといった趣きのサウンドバーで、扱いやすさとコストパフォーマンスの高さからロングセラーとなっている。 

 その上位機となるBar5.0マルチビームは、横幅709mmの筐体に5基の楕円形ユニットと4基のパッシブラジエーターを搭載。楕円形ユニットは3基がフロント中心部に並び、2基が左右の両側面に配置される。この2基はビームフォーミングスピーカーと呼ばれ、壁の反射を利用して左右&後方のサラウンド音声を再生する独自技術「JBL MultiBeam」のために動作する。これにドルビーアトモスのバーチャルハイト技術をかけ合わせ、左右方向&天井方向に音場を拡張。没入度の高い3Dサラウンドを実現する。また、4基のパッシブラジエーターは本体の底面と天面に各2基ずつ配置され、水平対向配置により不要な振動を打ち消しながら、質の高い重低音を効率的に増幅する。Bar2.0オール・イン・ワン同様、サウンドモードはなし。ドルビーアトモスのバーチャル再生がデフォルトで、オン/オフは「ATMOS」ボタンで選択する。 

カンタンな測定だけで
立体サウンドが飛躍する!

 今回は自宅の6畳間に32インチの液晶テレビとBDプレーヤー、Bar5.0マルチビームを持ち込み、部屋の長辺側(約3.5m)の中央にテレビを設置して視聴した。まず、Bar5.0マルチビームのリモコンの「HDMI」ボタンを5秒間長押しして自動音場測定機能「AMC(Automatic Multibeam Calibration)」を起動。各ユニットが順にテストトーンを発音し、音場が最適化されるまでの所要時間はわずか1〜2分程度と拍子抜けするほど短い。「ATMOS」オンの状態でBD『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(ドルビーアトモス音声収録)を再生してみると、冒頭から2分過ぎあたり、追っ手のクルマがカメラの上を飛び越えていくシーンの再現性にいきなり驚かされる。これまでドルビーアトモス対応のサウンドバーをいくつか体験してきたが、高さ方向の再現力という点では月刊『HiVi』11月号(’20.10月17日発売、P.171)で採り上げたLG SN7CYと並んでトップクラスの説得力だ。5.1ch音声収録のBD『ヱヴァンゲリヲン新劇場版: Q』を観ても、空中戦の立体的な移動感がダイナミックに描写され、作品世界に入り込める。 

 ここで「JBL MultiBeam」をより効果的に味わうには部屋の短辺側(約2.6m)に設置したほうがいいのではと、テレビ+Bar5.0マルチビームの位置を移動。再度AMCをかけたあとで両作品を観てみると、先ほどは体感的に前方180度ぐらいだった横方向の音場が、耳のやや後ろぐらいにまで広がった印象で、それぞれの音像もより濃密にくっきりと再現された。そのままの状態で大滝詠一『A LONG VACATION VOX』に含まれるBDオーディオから「君は天然色」の5.1chミックスを同じく「ATMOS」オンで再生すると、20人超えの合奏が真正面から“壁”となって迫ってくる。ギターのピッキングノイズなど細かな音のピースをリアにレイアウトしたミックスの意図も聴き手に伝わってくる再生だ。そのいっぽうで、『メイキング・オブ・モータウン』(ネットフリックス/5.1ch収録)ではオフのほうが音楽の躍動感や語り口の楽しさに集中することができた。

 地デジでニュース番組を観るだけで、テレビの内蔵スピーカーとの違いは明らか。ブルートゥーススピーカーとしても安価な専用機を軽く上回るパフォーマンスを聴かせてくれる(音楽ソースでは「ATMOS」選択は不可)。サウンドバーの今後に期待を感じさせてくれる製品だ。

画像: カンタンな測定だけで 立体サウンドが飛躍する!

SOUND BAR
JBL
Bar5.0 Multi Beam

オープン価格(直販価格39,800円、税込)
●使用ユニット:45mm×100mm楕円型フルレンジ×5、75㎜パッシブラジエーター ×4
●出力:50W×5
●接続端子:HDMI入力1系統、HDMI出力1系統(ARC/eARC対応)、デジタル音声入力1系統(光)、LAN1系統
●寸法/質量:W709×H58×D101mm/2.8kg
●問合せ先:ハーマンインターナショナル(株) TEL. 0570(550)465

画像: 中央部分にセンタースピーカーとフロント左右用スピーカーを3基、両端に2基を搭載。75mmパッシブラジエーターを上下水平対向にそれぞれ2基ずつ、合計4基配備し、重低音再生の力感を支える


中央部分にセンタースピーカーとフロント左右用スピーカーを3基、両端に2基を搭載。75mmパッシブラジエーターを上下水平対向にそれぞれ2基ずつ、合計4基配備し、重低音再生の力感を支える

画像: HDMIは入力端子も備えているため、BDプレーヤーなどのソース機器から音声を直接入力することも可能だ。HDCP2.3に準拠しており、4K&HDRコンテンツも再生できる。音楽再生はBluetoothのほか、ChromecastやAirPlay 2、Amazon Alexaにも対応している


HDMIは入力端子も備えているため、BDプレーヤーなどのソース機器から音声を直接入力することも可能だ。HDCP2.3に準拠しており、4K&HDRコンテンツも再生できる。音楽再生はBluetoothのほか、ChromecastやAirPlay 2、Amazon Alexaにも対応している

画像: リモコンの「TV」や「HDMI」ボタンで入力を切り替える。「ATMOS」ボタンでドルビーアトモスのエフェクトを操作。サウンドバー正面右の画面にオンオフが表示される

リモコンの「TV」や「HDMI」ボタンで入力を切り替える。「ATMOS」ボタンでドルビーアトモスのエフェクトを操作。サウンドバー正面右の画面にオンオフが表示される

画像: 壁掛けでの使用も可。取り付け金具が同梱されている

壁掛けでの使用も可。取り付け金具が同梱されている

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