クリエイティブメディアから、ドルビーアトモス対応のサウンドバーの高級モデル「Creative SXFI CARRIER」(直販価格¥120,000税込)が発売される。ドルビーアトモスをはじめ、ドルビーデジタル、リニアPCM 8chにも対応し、HDMI(eARC対応)ケーブルで薄型テレビと手軽に接続できるほか、PCと接続できるUSB Type-Cオーディオ入力、Bluetooth対応など、さまざまな機器と接続して使える対応力の高さが魅力。そして、ヘッドフォンでリアルなサラウンドを楽しめる「SXFI THEATER」とも連携できるSXFI出力も搭載するなど、多彩な機能を備えている。近年注目の集まるサウンドバーの中でも本格派と言える本機の実力をじっくりと試してみた。

サウンドバー
クリエイティブメディア
Creative SXFI CARRIER
オープン価格(直販価格¥120,000 税込)

画像: 【鳥居一豊の名品探訪】ドルビーアトモス対応のサウンドバー「Creative SXFI CARRIER」は、120インチのスクリーンと組み合わせて本格的なサラウンドを楽しめる本格派モデル!

Creative SXFI CARRIERの主な仕様
●スピーカー構成:5.1.2チャンネルスピーカー●スピーカー出力:250W RMS(サウンドバー)、200W RMS(サブウーファー)●周波数特性:25Hz~20kHz●対応フォーマット:<HDMI>ドルビーデジタル、ドルビーデジタルプラス、ドルビーTrueHD、ドルビーアトモス、リニアPCM(最大8ch)、<光デジタル>ドルビーデジタルプラス、リニアPCM(最大96kHz/24bit ステレオ)●接続端子:HDMI入力×2、HDMI出力×1(eARC対応)、デジタル音声入力(光)、USB Type-C、アナログ音声入力(3.5mmステレオ)、SXFI出力(USB Type-A)、サブウーファー出力(3.5mm3極)、ヘッドフォン出力(3.5mmステレオ)●Bluetooth:ver5.0●対応Bluetoothプロファイル:A2DP●対応Bluetoothコーデック:SBC●寸法:W880×H76×D128mm(サウンドバー部)、W225×H450×D430mm(サブウーファー部)●質量:約3.6kg(サウンドバー部)、約12.8kg(サブウーファー部)●付属品:電源アダプター、アダプター用電源ケーブル、リモコン、リモコン用電池(単4×2)、ユーザーマニュアル

ドルビーイネーブルドスピーカーも内蔵し5.1.2の再生が可能

 クリエイティブメディアのサウンドバーと言うと、デスクトップパソコンなどと組み合わせやすいコンパクトな製品が有名。もともとはパソコン用としてラインナップしていたが、薄型テレビと組み合わせて使うユーザーが増え、大人気となった。他社も追随したことで、今やサウンドバーはコンパクトで使い勝手のよいモデルが主流だ。

 だが、クリエイティブメディアでは、海外向けとしてドルビーアトモスなどにも対応するラージサイズの本格的な製品も発売している。決してコンパクトでお手頃なモデルだけのメーカーではないのだ。そして、昨今の巣ごもり需要でホームシアター機器の需要も高まってきたこともあわせ、最新の機能を備えた最上位モデルの登場となった。

 Creative SXFI CARRIER(以下、SXFI CARRIER)は、ワイヤレス接続のサブウーファーとサウンドバーを組み合わせた2ピース構成の製品。サウンドバーは横幅88cmのラージサイズで、サブウーファーも横幅は22.5cmとスリムだが、高さは45cm、奥行は43cmと、こちらもサイズは大きめ。側面には大口径のサブウーファーユニットが備わっているのが迫力だ。

画像: ▲「Creative SXFI CARRIER」の天面。左端には誇らしく「Dolby Atmos」という表記がある

▲「Creative SXFI CARRIER」の天面。左端には誇らしく「Dolby Atmos」という表記がある

 サウンドバーは前面に3基のスピーカー、側面に各1基を内蔵し、さらに天面には天井の反射を利用して高い位置からの音を再現するドルビーイネーブルドスピーカーを2基備えた7スピーカーの仕様で、ドルビーアトモスの5.1.2の再生を実現している。

 HDMI入力も2系統備えており、BDプレーヤー/レコーダーやゲーム機などとの接続も可能。最新のeARCにも対応しているので、eARCで規定されているリニアPCM7.1chから、ドルビーアトモス、ドルビーTrueHDといった各種HDオーディオを、そのまま楽しむことができる。

 さらに、USB Type-C端子でパソコンと接続したり、Bluetoothでスマホなどの音楽を手軽に楽しむなど、最新のサウンドバーとして必要な機能は一通り備わっている。

画像: ▲HDMI入力は2系統装備。テレビへの出力端子はeARC対応なので、テレビの音も本機で楽しめる。SXFIヘッドフォン接続端子(USB Type-A)はHDMI入力1の上にある。なお、サブウーファーとはワイヤレス接続だが、別売りのオーディオケーブル(両端が3.5mmステレオミニ)を使えば有線接続も可能

▲HDMI入力は2系統装備。テレビへの出力端子はeARC対応なので、テレビの音も本機で楽しめる。SXFIヘッドフォン接続端子(USB Type-A)はHDMI入力1の上にある。なお、サブウーファーとはワイヤレス接続だが、別売りのオーディオケーブル(両端が3.5mmステレオミニ)を使えば有線接続も可能

 さっそく自宅の視聴室に設置してみたが、サウンドバー自体はやや大きめながら高さは7.6cm、奥行は12.8cmとスリムな形状になっている。50~60V型くらいの薄型テレビとマッチする大きさで、テレビラックの手前の空いたスペースに置いても邪魔にはならないだろう。なお、背面には壁掛け用の穴も設けられているので、壁掛け設置も可能だ。サブウーファーはワイヤレス接続なので、電源さえつないでおけば置き場所は自由。やや大柄なサイズだがタテ長の形状なので、壁際などに置けば邪魔になりにくい。

 SXFI CARRIERは、付属のリモコンで基本操作はできるが、専用アプリ「Creative app」を使うと、基本操作に加えて詳しいセットアップなども行なえる。

画像: ←「Creative app」を起動すると、自動でSXFI CARRIERを認識して専用の操作画面になる。トップ画面ではサウンドモードの切り替えや音量調整などが可能

←「Creative app」を起動すると、自動でSXFI CARRIERを認識して専用の操作画面になる。トップ画面ではサウンドモードの切り替えや音量調整などが可能

 アプリから「キャリブレーション」を選択すると、サウンドバーとサブウーファーの距離や天井の高さを入力できるほか、サブウーファーだけの音量調整(低音調整)、ドルビーイネーブルドスピーカーの調整(高さ調整)なども行なえる。きちんと実測した数値を入力して、音量を調整すれば、サラウンド再生の効果もさらに良くなるだろう。ユーザーならばこれは必須の作業と言える。

▲(左)キャリブレーションの画面。ここでサウンドバーとサブウーファーの距離や天井の高さを入力する。(右)キャリブレーション画面のバス(低音)調整。サブウーファーの音量を好みで調整できる

 さっそくBDレコーダーとHDMIケーブルで接続して、テレビ番組を見た。音はかなりパワフルで、声はくっきりとしているし、中低音の再現には厚みがあり充実したものになっている。ドラマなどを見てもセリフが力強いし、主題歌やBGMも聴き応えのある音で楽しめる。サウンドモードは、「ムービー」「ミュージック」、夜用の「夜間」、ピュアオーディオ志向の「ニュートラル」、2チャンネルソースをサラウンドで楽しめる「スーパーワイド」がある。

画像: ←サウンドモードの切り替え画面。ムービー/ミュージック/夜間/ニュートラル/SuperWideが選べる

←サウンドモードの切り替え画面。ムービー/ミュージック/夜間/ニュートラル/SuperWideが選べる

 好みによって使い分ければいいが、一通り試したところ、音質的な演出を抑えた「ニュートラル」だと、サウンドバーやサブウーファーの基本的な実力の高さがよく分かる。低音は迫力があるし、しかも出音の勢いや反応の良さもあり、中高域の情報量も充分。フロント3チャンネルの構成なので音の広がりが良好で、しかもセンターの音もくっきりと浮かんでくる。テレビの内蔵スピーカーとは別格のサウンドで、大画面テレビと組み合わせるならばこれくらいの音は欲しいと実感する。

 今回は、シアタールームの120インチスクリーンを使い、プロジェクターで映像を映しているが、100インチを超える大画面でも映像に負けないスケールの大きなサウンドが楽しめた。

ドルビーアトモス再生で、「平成ガメラ」の魅力が倍増!

 次はBDプレーヤーで、UHD BD版の『ガメラ2 レギオン襲来』を観た。平成ガメラ三部作はすべて4K HDR(ドルビービジョン仕様)、ドルビーアトモス音声でパッケージ化されているが、個人的には「ガメラ2」が一番好きだ。人間と変わらない大きさながら、無数の群体で押し寄せる兵隊レギオンも今までの怪獣にはない怖さがあるし、巨大レギオンの圧倒的な強さもインパクトが大きい。

 ドルビーアトモス化された音声も良く出来ていて、札幌の地下鉄構内で列車が兵隊レギオンに襲撃される場面では、照明の落ちた暗い地下鉄の車内で、姿の見えない何かが屋根の上を這い回っている様子が、本当に頭上から聴こえてくる。

 SXFI CARRIERは、ドルビーイネーブルドスピーカーを備えるので、こうした高さ方向の音もしっかりと再現してくれる。ガサガサとした足音が聴こえたかと思うと、運転手の目の前にレギオンの一つ目が出現。ホラー映画のような怖い演出を存分に味わうことができた。

 また、飛翔する兵隊レギオンの群れが通信所のアンテナに群がる場面も、頭上の高い位置をぐるりと周回するように飛び回る様子がリアルに再現された。前方だけのサウンドバーながらも後ろの音の再現も頑張っていて、真後ろの音はやや曖昧にはなるものの、無数の兵隊レギオンが四方に群がっている様子はよく伝わってくる。

画像: ドルビーアトモス再生で、「平成ガメラ」の魅力が倍増!

 もちろん、巨大レギオンとガメラの戦いの迫力も満点。巨大な怪獣の足音やガメラのプラズマ火球の迫力も十全で、低音はかなり下の方まで力強く鳴る。怪獣バトルを存分に味わえる音だ。サラウンド空間も広々としていて、低音から中低音までエネルギーがたっぷりなため、スケール感も雄大。ふだん使っている大型スピーカーでの再生と比べても、スケールの大きさや迫力は負けないものがあり、自室のスピーカーが鳴っているのかと勘違いしてしまうほど。サラウンド再生の実力の高さもあるが、横幅が広めでスピーカーの間隔が広く、使用しているユニットも大きめで優秀なため、基本的な音の実力が優れているのだ。

 戦闘場面以外の日常的なシーンなどでも、声がしっかりとスクリーンから出ているように聴こえる定位の良さ、音楽に包み込まれるような臨場感など、サラウンド空間の再現性の高さや質の高い音がよく分かる。

NETFLIXで人気の『パシフィック・リム:暗黒の大陸』も大迫力

 続いては、NETFLIXで配信されている『パシフィック・リム:暗黒の大陸』を観た。これは、CGを駆使した実写映画『パシフィック・リム』、第2作『パシフィック・リム:アップライジング』の続編となるアニメーション作品。再び出現した怪獣たちに支配されてしまったオーストラリア大陸を舞台に、両親を失ったふたりの兄妹が訓練用の巨大ロボットとともに生き残ろうとする物語だ。

 こちらは、巨大ロボットの金属の塊のような動作音と、怪獣たち巨大生物の生々しい動きの対比が面白い。鋼鉄の塊がぶつかるような堅い響きもしっかりと再現できているし、怪獣の咆吼にもリアルな迫力がある。そんな音が5.1chサラウンドで自在に動き回る。後方も含めた音の定位も良好だし、移動感もスムーズ。主人公である兄妹だけでなく、登場人物の声も明瞭で、英語音声で聴いていても発音がよく聞き取れる。

 よくよく確認してみると、5.1chサラウンド音声の作品でも、5.1.2にアップミックスされているようで、ドルビーイネーブルドスピーカーからも音が出ているのが分かる。このため、空間の繋がりがスムーズだし、音が画面の下にあるサウンドバーから出ている感じにはならない。5.1ch音声の作品でも、5.1.2構成のサラウンド再生のメリットはしっかりと味わえた。

ヘッドフォンでリアルなサラウンドが楽しめる「SXFI THEATER」との組合せも可

 SXFI CARRIERには、独自のヘッドフォン用バーチャルサラウンド技術である「SXFI」(Super X-Fi)製品と連携できるSXFI出力(USB Type-A)がある。これを「SXFI THEATER」(直販価格¥23,800税込)などの対応機器と接続すると、より快適に使えるようになる。

 SXFI THEATERはワイヤレスタイプのヘッドフォンで、専用のワイヤレスユニット(USBドングル)をパソコンなどのUSB Type-A端子に接続し、パソコンのオーディオ音声をワイヤレスで楽しめるもの。パソコン側で7.1ch出力などに設定すれば、サラウンド再生も行なえる。

画像: ▲「SXFI THEATER」は、パソコンのUSBオーディオ信号を、専用のUSBドングルと送出フォーマットを用いてほぼ遅延のない状態でヘッドホンへ信号伝送できるのが特徴。加えて、クリエイティブメディアオリジナルのバーチャルサラウンド技術「SXFI」にも対応しており、臨場感あるサウンドが楽しめる

▲「SXFI THEATER」は、パソコンのUSBオーディオ信号を、専用のUSBドングルと送出フォーマットを用いてほぼ遅延のない状態でヘッドホンへ信号伝送できるのが特徴。加えて、クリエイティブメディアオリジナルのバーチャルサラウンド技術「SXFI」にも対応しており、臨場感あるサウンドが楽しめる

 リアルなサラウンドを実現するSXFIは、ユーザーの両方の耳と顔の写真を元に、HRTF(頭部伝達関数)モデルを使って個人に最適化したデータが生成できる。このデータを使ってバーチャルサラウンドを行なうことで、実際のスピーカーから聴いているようなリアルなサラウンドが実現できるのだ。なお、こうした個人データの最適化にはスマホ用アプリの「SXFI App」を使う。

 SXFI CARRIERとの連携は、SXFI THEATERのワイヤレスユニットをSXFI CARRIERのSXFI出力にセットするだけ。こうすると、アプリの操作でスピーカー再生とSXFI THEATERのヘッドフォン再生を切り替えることができる。SXFI機能のオン/オフもアプリ側で行なえる。

画像: ←アプリのトップ画面の操作で、スピーカーとヘッドフォンの切り替えや「Super X-FI」(SXFI)の切替が可能

←アプリのトップ画面の操作で、スピーカーとヘッドフォンの切り替えや「Super X-FI」(SXFI)の切替が可能

 SXFI THEATERは、パソコンやゲーム機と組み合わせて、ヘッドフォンでリアルなサラウンドが楽しめるのが特徴だが、これまで薄型テレビやBDプレーヤーで使うことは難しかった。しかし、今回SXFI CARRIERが登場したことで、テレビやBDプレーヤーといったAV機器のコンテンツも楽しめるようになった。各種映像配信サービスも同様だ。これはかなり魅力的。SXFI技術によって、SXFI CARRIERと同様の立体的なサラウンドが楽しめるのだ。

画像: ヘッドフォンでリアルなサラウンドが楽しめる「SXFI THEATER」との組合せも可

 家族や友人など人数が多い時は、SXFI CARRIERのスピーカー再生で一緒に楽しみ、大音量が出しにくい深夜の映画鑑賞や、一人でじっくりと映画を味わいたい時はSXFI THEATERを使う。こんな使い分けが自在に行なえる。

 SXFI THEATERも試してみたが、ヘッドフォンだけにサラウンド空間の大きさはやや小さくなるものの、高さや方向性などの再現はかなりリアル。低音の迫力もヘッドフォンとしては充分なもので、ガメラやレギオンの激闘、巨大ロボットのアクションも存分に味わえた。

 なお、SXFI CARRIERには、SXFIサウンドを活用する新たな提案がある。それは、本機のヘッドホン出力においても、SXFI技術を適用したサウンドが楽しめる、ということ。つまり、SXFI THEATERを所有していなくても、有線ヘッドホンを接続すれば即、SXFIサウンドによる臨場感豊かな音響体験ができるのだ。さらに、SXFI THEATERを組み合わせれば、2台のヘッドフォンで、二人でSXFIサウンドを楽しむことができる。

 アナログヘッドフォンのサウンドについては、SXFI CARRIER側でSXFIの有効/無効を行なうが、先に述べたスマホアプリで離れた位置からでも操作が可能となる。

 ちなみに現在、同社の直販サイト限定となるが、SXFI CARRIERと同時にSXFI THEATERを購入すると、SXFI THEATERが50%オフ(¥11,900税込)となる特典を実施している。

大画面テレビやプロジェクターユーザーには
ぜひおすすめしたい本格派サウンドバー

 こうしたラージサイズのサウンドバーの新製品は最近あまり見かけなくなってしまったが、SXFI CARRIERを試してみると、特にサラウンド再生では小型モデルとの歴然とした差を感じた。ドルビーアトモス対応の高機能はもちろんだが、音質的な実力でもレベルが違う。薄型テレビも50V型や60V型といった大画面サイズがかなり身近な価格になってきているので、映画やゲームを楽しむならば、こうした製品があると、さらに臨場感豊かな音が楽しめるだろう。しかも、SXFI CARRIERならば、SXFI THEATERとの連携で、ヘッドフォンでのサラウンド再生という、2ウエイの使い方もできる。

画像: ▲鳥居宅の120インチスクリーンと組み合わせて視聴テストを行なったが、そのサウンドはスクリーンサイズに負けない実力を持っていることが分かった

▲鳥居宅の120インチスクリーンと組み合わせて視聴テストを行なったが、そのサウンドはスクリーンサイズに負けない実力を持っていることが分かった

 薄型テレビだけでなくパソコンとも接続できるので、パソコンで映画や音楽、ゲームなどを楽しんでいる人にもおすすめしたい。パソコンを再生機器として、映像はプロジェクター、音声はSXFI CARRIERで再生するスタイルだ。ポータブルプロジェクターも安価で優秀なものが増えているので、それらを使えば比較的安価で大画面のホームシアターが実現できる。そんなスタイルも可能なSXFI CARRIERがあれば、家での暮らしがますます充実するはずだ。

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