外出を控えて自宅で過ごす「巣ごもり需要」の拡大により、多彩なコンテンツが手軽に楽しめるネット動画配信サービスが大盛況だ。動画配信の最大手、ネットフリックスも例外ではなく、昨年の8月末時点で日本国内の有料会員は500万人を突破。以降、会員数は増加中で、約6000万と言われる日本の世帯数の10%近くでネットフリックスが視聴されていることになる。

  ネット動画配信サービスの躍進とともに、にわかに存在感を高めているテレビブランドがある。TCLだ。韓国サムスンに次ぐ世界第2位の市場シェアを誇る中国最大手のテレビメーカーだが、約3年前、日本市場に参入。激戦の市場だけに苦戦が予想されたが、ここにきてネット動画配信ユーザーを中心に、じわりじわりと支持を広げている。

 同社の最大の強みは、液晶パネルはもとより、映像エンジン、スピーカーのドライバーユニットについても、TCLグループ内で賄えること。テレビの心臓部となる液晶パネルについても、TCLの子会社、TCL-CSOT(Shenzhen China Star Optoelectronics Technology/華星光電技術有限公司)で開発、製造できる。

明るく色鮮やかなQLED液晶パネルを搭載

 今回取り上げる65C815も同社の倍速駆動のVA方式の4K液晶パネルを搭載しているが、光の有効利用が可能なQuantum Dots(量子ドット、以下QLED)技術を使ったQLEDパネルが特徴的だ。これは光の波長変換によって、より効率的にRGBの発色を確保するというもの。一般的に広く使われている白色LED(青色LEDに黄色の蛍光体を塗布したタイプ)に比べて、光のロスが少なく、明るさ、色域ともに有利だという。

画像1: 濃密な色彩と正攻法の音響でネット動画を魅力的に描く「TCL 65C815」

4K LCD DISPLAY
TCL 65C815
オープン価格(実勢価格11万円前後)

● 型式:4K液晶パネル搭載ディスプレイ
● 搭載パネル:VA倍速液晶
● 解像度:水平3,840×垂直2,160画素
● バックライト:エッジ型LED
● チューナー:地上デジタル2系統、BSデジタル/CS110度デジタル2系統
● 接続端子:HDMI入力3系統(1系統ARC対応)ほか
● HDR対応:HDR10、HLG、ドルビービジョン
● サウンドシステム:ドルビーアトモス対応サウンドバー
● 寸法/質量:W1,446×H934×D366mm/27kg
● 問合せ先:(株)TCLジャパンエレクトロニクス TEL 0120-955-517

 

 

 4K/8K放送やUHDブルーレイで採用された広色域規格BT2020のカバー率は約80%。この値は豊かな色再現で定評のあるJVCの家庭用レーザープロジェクターDLA-Z1のシネマフィルター「入」モードに匹敵するもの。一般的な液晶パネルの場合、同率70%前後に止まっていることからしても、QLEDの優位性は明らかだ。

 OS(基本動作システム)はグーグルが提供するスマートテレビ用OS、Android TV。多彩なネット動画配信サービスに対応し、購入後にでも「Google Playストア アプリ」からお目当てのアプリをダウンロードすることも可能だ。

 TCLとしては世界戦略モデルという位置づけとなるが、「Gyao!」「ABEMA」「U-NEXT」「TSUTAYA TV」「Rakuten TV」「FOD」など、日本独自のサービスについてもしっかりとサポートしている。これで実勢市場価格が11万円。ネット動画ファンにとっては、実に魅力的な65インチの4Kテレビなのである。

 

画像2: 濃密な色彩と正攻法の音響でネット動画を魅力的に描く「TCL 65C815」

ネット動画再生では、テレビに搭載しているOS(基本操作ソフト)が重要になる。本機を含む2020年登場のTCLのテレビではAndroid TV OSのバージョン9.0を搭載し、音声検索システム(Google Assistant)やChromecast built-in機能も盛り込まれている

画像3: 濃密な色彩と正攻法の音響でネット動画を魅力的に描く「TCL 65C815」

Android TV OSではさまざまな機能をアプリというスタイルで追加できる。本機では、日本向けサービスの「Gyao!」「U-NEXT」「ABEMA」などにも対応。またアプリの使い勝手を向上させるため、ユーザーの好みに合わせて、ホーム画面のカスタマイズも可能だ

画像4: 濃密な色彩と正攻法の音響でネット動画を魅力的に描く「TCL 65C815」

HDR10やHLGのほか、ドルビービジョンに対応。Netflixでは独自製作の新作映画やドラマシリーズなどで採用が増えている。今回は「明るい動画」モードを主に用いた

 

 

『クイーンズ・ギャンビット』の緻密な色彩をていねいに描く

 早速、ネットフリックスのネット動画を中心に、その実力を検証していくことにしよう。まずリモコンのダイレクトボタンで「Netflix」を選び、ユーザー選択後、オリジナルの人気ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』を検索してみたが、これが思いのほか快適だ。

 ネットフリックスの検索画面はメーカーを問わずどれも変わらないが、操作時の画面の反応、検索速度となると、各社各様。待ち時間が長く、反応も緩慢という機種も珍しくないが、このモデルではそうしたじれったさは皆無。お目当ての作品が素早く、スムーズに探し出せる優れた検索性は大きな魅力だ。

 『クイーンズ・ギャンビット』はドルビービジョン4K収録。映像モードは本機の強みとなる豊かな色彩表現が引き出せる「明るい動画」を選択した。50〜60年代のアメリカを舞台に、チェスの天才少女ベス(アニャ・テイラー=ジョイ)が、喜び(成功)と葛藤を交錯させながら、ストーリーは展開していくが、彼女のレトロな雰囲気のファッションに注目したい。

 ここで見逃せないのが、多彩な表情を持ったグリーンが意図的に使われていることだ。孤児院に入る前の幼少時代から、継母と過ごす高校生活、そして頭角をあらわしチェスの国際大会に出場するようになるまで、濃淡さまざまなグリーンをずっと着こなしている。

 テレビにはこのグリーンをいかに描き出せるかが問われるわけだが、65C815の色彩表現は実に豊かだ。全体に色濃く表現するタイプだが、けっして単調にはならず、強さを秘めたディープグリーンはもとより、淡く、やさしさを感じさせるライトグリーンについても、微妙な色調のトーンをていねいに描き出していく。

 同時に、ニットやツイードなどの生地の質感描写も曖昧にならず、フェイストーンも安定している。見栄えのする鮮やかな発色が持ち味だが、シーン/シーンで変化していくメイクの仕上がりまで感じさせるのは、広色域パネルQLEDのなせる技。やはりただ者ではない。

画像5: 濃密な色彩と正攻法の音響でネット動画を魅力的に描く「TCL 65C815」

Netflix『クイーンズ・ギャンビット』
2020年10月に配信されるやいなや全世界で圧倒的人気を獲得したNetflixのオリジナルドラマシリーズ。主役を演じたアニャ・テイラー=ジョイ(『スピリット』)の魅力が満開。映像面でも見どころたっぷりだ
Netflixオリジナルシリーズ『クイーンズ・ギャンビット』独占配信中

 

『ザ・プロム』の大音量再生も無理なく実に楽しい

 続いてメリル・ストリープ、ニコール・キッドマン、ジェームス・コーデンと豪華キャストで贈るミュージカル映画『ザ・プロム』を再生。踊り、歌、キラキラの衣装と、全編どこを切り取っても見栄えがして、ラストは笑顔になるというおすすめの作品だが、ミュージカルだけに、そのサウンドをいかに再現するかによって、感動は大きく変わってくる。

 65C815ではサウンドバー+サブウーファーという豪華なオーディオシステムを50Wの高出力をアンプで駆動する。とはいえ、テレビ内蔵スピーカーの限界はあるわけで、「さすがに『ザ・プロム』は厳しいだろう」、内心そう思っていた。

 ところがこの予想は見事に外れた。空間の拡がり、移動感といった部分では、やはりテレビ一体型システムとしての限界はある。だが、基本的な情報量をしっかりと押さえながら、明瞭度の高いセリフを中心に、その周辺から効果音、音楽が重なり、メリル・ストリープらの歌声も明るく艶っぽく、実に楽しい。

 歌と踊りでストーリーが展開していくミュージカルは、できることなら大音量で楽しみたい。そこで65C815の音量レベルを思い切ってあげてみたところ、ここでも思いのほか頑張る。さすがに体を揺さぶるような低音を期待するのは難しいが、帯域バランスは良好。声、演奏、効果音も歪むことなく、場面、場面の盛り上がりをしっかりと再現してみせた。テレビ内蔵スピーカーとしては、相当レベルが高い。

画像6: 濃密な色彩と正攻法の音響でネット動画を魅力的に描く「TCL 65C815」

薄型テレビの弱点ともいえる音質面の強化も、65C815のポイントだ。フロント側にサウンドバースタイルの音響システムを搭載、15W出力を備えた2基のアンプで駆動する。ドルビーアトモス再生に対応しているが、テレビ内蔵のNetflixアプリでのアトモス再生には対応していない

画像7: 濃密な色彩と正攻法の音響でネット動画を魅力的に描く「TCL 65C815」

背面には楕円型サブウーファーを配置、テレビ後方からの反射も利用することで量感豊かな低音再生を目指す

 

 

画像8: 濃密な色彩と正攻法の音響でネット動画を魅力的に描く「TCL 65C815」

Netflix 『ザ・プロム』
『glee/グリー』を手掛けたライアン・マーフィーによるNetflixオリジナル映画。ニコール・キッドマンやメリル・ストリープらの圧巻の歌と踊り、そしてきらびやかな映像で贈る、楽しさいっぱいのミュージカル映画だ
Netflixオリジナル映画『ザ・プロム』独占配信中

 

『ニュー・ミュータント』の躍動する映像が見応え充分

 最後にApple TV 4Kとの接続で配信公開となった映画『ニュー・ミュータント』を確認してみたが、多彩な色彩がテンポよく躍動する映像は見ごたえ充分。『クイーンズ・ギャンビット』で異彩を放ったアニャ・テイラー=ジョイの存在感は相変わらずで、深く澄んだブルーアイに見入ってしまった。

 濃密な色彩を活かしたインパクトのある映像と、大音量再生にもしっかり答えてくれる正攻法のサウンドの共演。ネット動画配信の魅力を際立たせるモデルであることは間違いない。

 

画像9: 濃密な色彩と正攻法の音響でネット動画を魅力的に描く「TCL 65C815」

Apple TV 『ニュー・ミュータント』
FOX製作のX-MENシリーズの世界観を備えた「ヤングホラーSFアクション」。アニャ・テイラー=ジョイ出演。ディズニーによるFOX買収やコロナ禍の影響で結局、日本で劇場公開はされず配信/パッケージのみでの展開となった。日本では配信が2月3日から先行してスタート。パッケージはBDのみ(3月31日発売)となるので、日本で4K&ドルビービジョン+ドルビーアトモスで楽しめるのはApple TV(¥2,546税込)配信だけ
先行デジタル配信中 3月31日(水)ブルーレイ+DVDセット発売
© 2021 20th Century Studios. © 2021 MARVEL. 発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン

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