THE INVISIBLE MAN with DOLBY VISION, HDR10+ and DOLBY ATMOS

A very worthy 21st Century adaptation of the novel of the same name by H. G. Wells!
With an amazing use of sound and story this film was thrilling from start to finish!

Release Dates (Theater):February 26, 2020 (Domestic)
Domestic Total Gross:$70,410,000
(International: $72,741,000)

Taiwan Edition:Release date/September 10, 2020
(Japanes Edition:Release date/December 23, 2020)

画像: 透明人間(2020年) 監督 リー・ワネル 製作 ジェイソン・ブラム/カイリー・デュ・フレズネ 製作総指揮 リー・ワネル/クーパー・サミュエルソン/ベアトリス・セケイラ/ジャネット・ヴォルトゥルノ ローズマリー・ブライト/ベン・グラント 脚本 リー・ワネル 撮影 ステファン・ダスキオ 音楽 ベンジャミン・ウォルフィッシュ 出演 エリザベス・モス/オルディス・ホッジ/ストーム・リード/ハリエット・ダイアー/マイケル・ドーマン オリヴァー・ジャクソン=コーエン youtu.be

透明人間(2020年)
監督 リー・ワネル
製作 ジェイソン・ブラム/カイリー・デュ・フレズネ
製作総指揮 リー・ワネル/クーパー・サミュエルソン/ベアトリス・セケイラ/ジャネット・ヴォルトゥルノ
ローズマリー・ブライト/ベン・グラント
脚本 リー・ワネル
撮影 ステファン・ダスキオ
音楽 ベンジャミン・ウォルフィッシュ
出演 エリザベス・モス/オルディス・ホッジ/ストーム・リード/ハリエット・ダイアー/マイケル・ドーマン
オリヴァー・ジャクソン=コーエン

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画像: screen capture

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FILM

透明人間あらわるあらわる・・・・・・SACD『阿久悠 作品集/ピンク・レディー』のハナシではない。ユニバーサル・モンスターズ(ユニバーサル・ホラー)のドラキュラ、フランケンシュタイン、狼男と並ぶ人気ホラー・キャラクター、透明人間のハナシである。ユニバーサル・モンスターズとは、1920年代から50年代にかけてユニバーサル・スタジオが製作していた伝統ある怪奇映画。そのこけら落としは1923年製作の無声映画『ノートルダムのせむし男』(主演ロン・チェイニー)となる。続く『オペラの怪人』で高い評価を得たユニバーサルは、いよいよトーキー『魔人ドラキュラ』を製作、本格的なホラー映画の歴史をスタートさせることになった。トーキーと言っても、ドラキュラの心臓に杭を刺す場面も音声だけで表現したり、吸血鬼といっても吸血場面はマントで顔を隠したりと、まだまだ及び腰の演出であったが、当時としては衝撃的な恐怖を観客に与えたのであった。この『魔人ドラキュラ』のヒットで気を吐くユニバーサルは、間髪を入れず『フランケンシュタイン』を製作。それまでに作られたホラー映画の中で、もっともスケールが大きく、記憶に残り続ける作品に仕上げており、このジャンルにおける輝かしい業績となった。以後、ユニバーサルは『ミイラ再生』『狼男』『大アマゾンの半魚人』といったホラー映画史上に残る名作を生み出すことになる。

かのH・G・ウェルズのSF小説(1897年)を映画化、ユニバーサル・モンスターズのなかでも偉大なる傑作のひとつとされる『透明人間』は、洗練されたユーモアを織り込みながら、禁断の世界に踏み込んだ科学者の苦悩と野望を描いている。怪奇映画でありながら、サスペンスや人間ドラマとしても見応えがあり、その後も多くのリメイクやスピンオフが製作されたのも頷けよう(日本では円谷英二特撮による大映版/東宝版が有名)。今回紹介する2020年版は10数作品に及ぶ透明人間モノの最新作であるが、どうやら当初はダーク・ユニバース・シリーズ第2弾として予定されていたようだ。ダーク・ユニバースとは、ユニバーサル・モンスターズに登場したモンスターを最新技術を使ってリブートしていくプロジェクトで、その第1作がトム・クルーズ主演『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』であった。ところがだ。コレが興行的にコケてしまい、プロジェクト自体が暗礁に乗り上げてしまったのだ。すでに主演ジョニー・デップで製作が始動していた『透明人間』は、オクラ入りもままならず、ダーク・ユニバースの冠を外した新企画として再スタートを切ることになったのである。

ある夜のこと。恋人が眠りについたことを確認した女が、家中に張り巡らされた監視カメラを無効にすると、バッグを手に敷地の外に駆け出した。女の名はセシリア。富豪で天才科学者の恋人エイドリアンの常軌を逸した束縛に恐怖を抱き、耐えきれなくなったセシリアはついに豪邸から脱出したのであった。ここから恐怖と緊迫のドラマの幕が開くのだが、『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』と比べればぐっと地味な作りに思えよう。CG/VFXを多用した大作指向ではないが、恋人の恐怖に怯えるセシリアの視点を軸に練り上げたドラマツルギー、映像とサウンドに拘った通好みの感覚で仕上げた手腕に注目されたい。伝統的な映画文法に基づいた前半のホラーモチーフが効果を上げ、アクションも抑制が効いており、終幕に向かって用意される悪魔的な一手、二手、三手は観応えたっぷりだ。

製作は『パラノーマル・アクティビティ』『インシディアス』シリーズや、高い評価を得た『ゲット・アウト』のジェイソン・ブラム。重責を担って監督・脚本を務めたのは、『ソウ』シリーズの脚本(兼製作総指揮)、『インシディアス』シリーズの脚本(『インシディアス 序章』で監督デビュー)を担当したリー・ワネル。主演はTV『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』『ザ・スクエア 思いやりの聖域』『アス』のエリザベス・モス(パンクロッカーに扮した『ハースメル』は必見)。

画像: FILM

VIDEO

撮影は『 心霊ドクターと消された記憶』やワネル監督第2作『アップグレード』で知られるオーストラリアの新鋭ステファン・ダスキオ。アリ・アレクサLF(最大4.5Kの大判LFセンサー搭載/HDRやWCG=広色域のワークフローが向上)撮影。アスペクトはスコープサイズながら、アナモフィックレンズは未使用(上下マスキング)、鮮明な解像度で最高画質を実現することを目指した大判対応ハイエンド短焦点レンズ、シグネチャープライムレンズを使用。DIファイルは4Kとなり、UHD BLU-RAYはネイティヴ4K版となる。HDRはHDR10に加え、オプションとしてHDR10+、ドルビービジョン(DV)を採用。映像平均転送レートは60.8Mbps(HDR10+/BLU-RAY版のほぼ2倍)。DVは7.1Mbpsを記録する。収録アスペクトは2.39:1スコープサイズ(公称)。ちなみに、本作はアメリカ資本の映画であるが、撮影はワネルやダスキオの故郷オーストラリアで行われている(一部追加撮影はカナダ)。CG/VFXはオーストラリアのカッティングエッジ社が担当(日本支社あり)。

「私とステファンは、VFXを使用せずに透明人間をとてもリアルに感じさせるために、常にふたつのことに気を配った。ひとつはフレーミングだ。敢えてバランスの欠いた人物配置を狙い、故意に空きのスペースを作った。確信は持てないが、そこに何かがいるという感じで、不安や恐怖を深めたんだ。そうすることで観客は透明人間がいる兆候を意識することになるんだ。もうひとつは、観客の注意を集中させるために、頻繁に計算されたパンニングショットを使用することだった。こうした効果を高めるためにアナモフィックレンズを使わずに、スコープサイズの構図を決めていったんだ。ビスタサイズもカメラテストしたが、狙った効果が弱まってしまった」(リー・ワネル)

本作では逆光や反射光を多用した挑発的な低照度ショットが積み重ねられており(オープニングタイトルからして過激だ)、有機ELモデルとDVとの組み合わせが特薦鑑賞スタイルとなろうが、たとえ比較的安価なバックライト構成の液晶テレビをお使いの方であっても、HDR10+の採用は強い味方多となるはずだ。一貫して映像はピンシャープ、軟調さとは無縁の輪郭線で描かれる。ディテールやテクスチャの描画力も目覚ましく、BLU-RAY版からの強力なアップグレードも視認できよう。さまざまなストラクチャーやインテリアを飾るミニマルなオブジェクトが露わとなり、背景やパノラマショットの視認性も優秀。光学性能が飛躍的に向上したシグネチャープライムの特長を活かした光彩操演、浅い被写界深度による滑らかなボケ味は観どころのひとつ。

HDRの恩恵による鮮明なコントラストバランスを誇り、恐怖や不安、スリルやサスペンスの度合いを高めることに成功している。冷徹な光沢感を与えるスペキュラーハイライト、大胆な明暗法の効果に目を奪われることしきり。DVは黒レベルをより堅牢なものとし、(もっとも暗いコーナー内の細部の可視性が後退するショットもあるが)暗部ディテールを掘り起しつつ、低照度ショットにおけるさまざまなグレーや白、中間トーンに深みを宿らせている。色域の拡張も明快で、決して色数の多い作品ではないものの、セピアトーンにみる類似色相配色やわずかに濁った調子のグレイッシュトーンを基軸に、マリーゴールドオレンジ、キャラメルブラウン、淡い琥珀色といった温かみのあるウォームトーンを強化。活気のあるエメラルドグリーン、ディープな赤、冷たいスチールブルー、ライムやティール(小鴨色)が、不気味なムードを醸し出す一助となっている。たとえば、冷たいブルーとティールで溢れ、不機嫌で不気味なムードを醸し出すエイドリアンの家。対してセシリアが匿われる妹の恋人の家は居心地がよく、セピア・タン、マリーゴールドオレンジ、キャラメルブラウン、明るい琥珀といった、豊かで温かみのあるアレンジメントに浸っている。このようにHDRでWCG(広色域)で人間性を物語るかのような、建造物やインテリアのカラースキームも興味深い。

画像: VIDEO

AUDIO

ドルビーアトモス・サウンドトラック上映作品。ポストプロダクション・サウンドはロサンゼルスに拠点を置くパシフィック・スタンダード・サウンドが担当。サウンドデザインは『クレイジー・バカンス ツイてない女たちの南国旅行』『ハロウィン(2018)』のクリス・ターヒューン。音響編集監修/リレコーディングミキサーは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』のウィリアム・ファイルズ。記念すべきドルビーアトモス第1作『メリダとおそろしの森』のアトモス・ミックスを手掛けたひとりでもある。音声平均転送レートは3.5Mbps(24bit)。

本作は映像以上にサウンドトラックで魅了、背筋を凍らせる作品と言ってもよかろう。事実、本国公開時の海外評を見渡すと、「可能な限り上質で、最新の音響設備をもった映画館を選ぶように」といった評論家のコメントが多かった。その言葉通り、開幕からサスペンスフルな没入感を約束するシネソニックが披露され、決して奇をてらわず、じわりじわりと、だが確実にゾゾっとさせる恐怖が迫りくる音彩操演に酔わされる。発声は常に優先順位が高く、明晰を極めており、ことに気弱で疲弊した台詞廻しから強い意思を持った響きへと変貌を遂げる、セシリアの口跡は聴きどころのひとつだ。高密度で分解能に優れたミッドレンジに加え、予想以上に詰め込まれた堅牢で印象的なローエンドを披露。ときに驚くほどパワフルな存在感を示し、緊迫感に満ちた空気を増幅して加えてみせる。

音楽はハンス・ジマー率いるリモート・コントロールの一員であり、『ドリーム』『ブレードランナー 2049』『IT/イット』2部作で知られるベンジャミン・ウォルフィッシュ。不確かな悪の存在を語る不吉な音楽、痛き静寂、日常の音への意識を逆手に取った効果音が緊密な連関を持って響き、見えぬ男の発する気配に身を竦ませる。想像力をかき立てるドルビーアトモスは、フロントに沿って広く高いステージングを持ち、あらゆる場面でトップチャンネルを効果的に使用され、観る者の周囲に鋭い音楽の動きまでも感じさせつつ、ボリュームのある没入型のハーフドーム音場を構築している。

「些細な日常の音やアンビエントは、見えない “視覚的恐怖“ を盛り上げる重要なファクターなんだ。セシリアはかすかなノイズに惑い、自分の声で絶叫することもできない。そんな恐怖を観客に共有してもらいたかった。この映画はセシリアの視点から描かれていくので、恐怖を共有するという意味からもドルビーアトモスは不可欠だった。でも決して大袈裟なミックスはしていない。例えば、家の天井から携帯音がするシーンでは、セシリアが天井を見上げるショットがあるので、トップスピーカーを使ってさらに説明を加えるかのようにサウンドを作ってはいない。(中略)最初からドルビーアトモスありきで、撮影前から綿密な打ち合わせを行っているが、リーはより効果的なサウンドデザインを行えるように映像を作り上げてくれたんだ」(ウィリアム・ファイルズ)

画像: AUDIO

FINAL THOUGHTS

いちどは頓挫しかけた企画ではあるが、リー・ワネルの才能によって『透明人間』の再構築は見事に成功した。前述したジョニー・デップ版ではこうはいかなかったろう。ネグレクトのもとから逃亡したにもかかわらず、ヒロインは誰も見ることができない誰かによって支配され続け、心理的に拷問されていく。映像とサウンドは、いかにヒロインの心理状態を描き切ることができるか。これに注目しながら、本作を楽しんでいただきたい。必見。必聴。

SPECIAL FEATURES

  • Deleted Scenes (2160p/SDR, 13:24 total runtime): Included are Annie, Changing Room Montage, Blow It Up. Make It Rain. Out to Sea., Daisies, Where's My Phone?, Butt Chug, There's Someone Sitting In That Chair, I Can Do This, and Insanity Defense.
  • Moss Manifested (2160p/SDR, 3:54): A look at protagonist characterization and Moss' performance at the dramatic and physical levels.
  • Director's Journal with Leigh Whannell (2160p/SDR, 10:51): Whannell shares his love for the Horror genre and the opportunities inherent in the original source material. The piece also includes a collection of behind-the-scenes footage that opens up a few interesting bits from the making of the film.
  • The Players (2160p/SDR, 5:24): A closer look at the ensemble cast and the characters portrayed.
  • Timeless Terror (2160p/SDR, 3:04): Leigh Whannell discusses the story's updating without bowing fully to its predecessors, the story's victim perspective, his writing process, and more.
  • Audio Commentary: Writer/Director Leigh Whannell offers a sharp, insightful track that covers narrative and technical aspects alike. It's a fine companion to the film.

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DISC SPECS

TitleTHE INVISIBLE MAN
ReleasedMay 26, 2020 (from Universal Studios)
Sep 24, 2020 (from Chuan Xun Shi Dai Multimedia)
Dec 23, 2020 (from NBCUniversal Entertainment Japan)
SRP$29.98, US$99.99, ¥6980
Run Time2:04:23.038 (h:m:s.ms)
CodecHEVC / H.265 (Resolution: 4K / DOLBY VISION / HDR10+ compatible)
Aspect Ratio2.39:1
Audio FormatsEnglish Dolby Atmos (48kHz / 24bit / Dolby TrueHD 7.1 compatible)
Spanish Dolby Digital 5.1
French Dolby Digital Plus 7.1
SubtitlesEnglish SDH, French, Spanish

4K画質評価

解像感★★★★★★★★★  9
S/N感★★★★★★★★★  9
HDR効果★★★★★★★★★  9
色調★★★★★★★★★★ 10
階調★★★★★★★★★  9

音質評価

解像感★★★★★★★★★  9
S/N感★★★★★★★★★★ 10
サラウンド効果★★★★★★★★★★ 10
低音の迫力★★★★★★★★   8

SCORE

Film★★★★★★★★★  9
Image★★★★★★★★★  9
Sound★★★★★★★★★★ 10
Overall★★★★★★★★★  9

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