HDMIケーブルにおけるワールド・リーダーとして、自他ともに認めるエイムが、世界初の8K映像の信号を伝送する光HDMIケーブル、LS3シリーズとメタルHDMIケーブル、FLVシリーズの2種類のケーブルをリリースした。いずれもHDMIケーブルの最先端をゆく48Gbpsの8K信号を伝送できる優れたケーブルである。

 エイムは、4K映像にもいち早く対応した光HDMIケーブルを開発して話題を振りまいたが、8K対応のケーブルは、これまでとは比べものにならないほど技術的なハードルが高かった。しかもHDMI 2.1のフォーマットの発表は2017年に行なわれたが、テストスペックが提示されないまま2020年の初頭まで推移したこともあって、ケーブルメーカーはある面では手探りでの開発を余儀なくされてきたのである。しかしながら彼らはこれまでの実績と経験値をもとに研究開発を進め、見事にその課題をクリアーした。

 光HDMIケーブルのLS3の鍵を握るのは何と言っても光/電気変換素子部分だが、ここに彼らは通信分野のケーブル開発で培ったノウハウを投入。レーザーダイオードとコントローラー用のICを組み合わせた独自の設計を行ない、信号の制御用にメタル線を加えたハイブリッド構造に仕上げることで、長距離間の安定した信号伝送を実現している。またLS3では光ファイバーについても新規の石英素材が採用されている。8Kの映像を伝送するには帯域の拡張が必要になり、また光ファイバーの種類によって画質が変化するため、テストを重ねた結果、今回採用している素材に行き着いたということである。

 メタルHDMIケーブルのFLVは、フラットタイプの形状を採用し、無酸素銅に純銀をコーティングした導体を用いて伝送効率を高めているほか、パルシャットMUと呼ぶ高周波領域までノイズを吸収する素材をコネクター内部に組み込み、伝送信号の純度を高める工夫をした。

 LS3シリーズはすでに3月の時点で発売されていたが、FLVシリーズは10月に案内されたので多少意表を突かれた感じだった。というのもこれまで8K信号の伝送は光ケーブルでなくては難しいと言われていたからだ。確かに最長5mまでの製品化ではあるが(10mまでは技術的にはクリアーしているそうだが)、メタルケーブルで8K信号の伝送が可能になった背景には、導体をはじめ端子まで48Gbpsという高速対応に改めるという技術的なアプローチとともに、生産技術上のノウハウの賜物でもあるという。外観はこれまでのメタルケーブルと同じだが、構造や中身はまったくの別物なのだ。

写し出される画質は圧巻。絵と音で使い分けがベスト

 それではLS3の15mケーブルと、FLVの5mケーブルをそれぞれ使用した画質と音質についてリポートしよう。

 UHDブルーレイプレーヤーとプロジェクターをLS3でつないで確かめた4Kの画質には、正直驚いた。別の機会に業務用機器やパソコンを用いて8K映像を直視型のディスプレイで観たが、精細にしてパッション溢れる描き出しに感動したことを思い出す。現状で8K映像を伝送できる家庭用AV機器はないので、今回は4K映像で視聴しているが、それでも違いは明らかだ。UHDブルーレイは米国盤『エンド・オブ・ステイツ』を観たが、解像力が高く、コントラスト、ハイライトともに申し分のない再現性である。とにかくノイズが少なくクリアネスとトランスペアレンシーに優れていることがよくわかる。また米国盤『ターミネーター:ニュー・フェイト』では暗部階調をスムーズに描き出し、ざわついた感じもない。

 LS3の光HDMIケーブルはUSB端子から外部電源が供給できる仕様になっているが、これは8K信号伝送の安定性を高めるうえで基本的に必要な仕様だという。4K映像で試したせいか今回は何の問題もなかったが、試しに供給すると暗部の階調性がさらに高まり低輝度部での色付きが向上することからも、送信側、受信側とも外部電源の接続をお薦めする。音声も映像に似てクリアネスが高くダイアローグもきわめて明快だ。

 FLVも清潔感溢れる映像が味わえるが、LS3に比べると、いくぶん優しい映像描写。甘いという意味ではなくフィルム調の柔和な表現力に近い印象で、暗部のS/N感はLS3に譲るものの、しっかりとした色味で濃い口の映像を観せる。音声については中低域が厚く空間の密度も詰まっているので、サラウンド音場のつながりもいい。

 両者の映像再現力を紙焼き写真に例えるなら、LS3はアート紙で、FLVはマット紙のようでもある。このレベルになると好みで選択してもいいだろう。音声については、LS3はキレがよくシャープでクリアー。対してFLVは音に艶があり、立体的で声の表情をよく描き出す。いまHDMIケーブルにおける最高の信号伝送を望むなら、映像用にLS3、音声用にFLV、これがベストチョイスである。

画像: 写真下:LS3、写真上:FLV

写真下:LS3、写真上:FLV

HDMI CABLE

AIM

LS3

1.5m ¥160,000+税
3m ¥170,000+税 
10m ¥190,000+税
12m ¥200,000+税
15m ¥210,000+税
20m ¥230,000+税
30m ¥260,000+税

●伝送帯域:48Gbps ●ケーブル径:5Φ

FLV

1m ¥60,000+税
1.5m ¥70,000+税
2m ¥80,000+税
3m ¥100,000+税
5m ¥140,000+税

●伝送帯域:48Gbps ●ケーブルサイズ:W18×H4mm

問合せ先:エイム電子AIMコンシューマープロダクツ TEL. 046(253)4902

画像: LS3には給電用のUSBが付属する。本文でも触れているとおり、USB給電を行ないながらHDMIを接続するのが本ケーブルの本来の使い方だ

LS3には給電用のUSBが付属する。本文でも触れているとおり、USB給電を行ないながらHDMIを接続するのが本ケーブルの本来の使い方だ

画像: FLVのコネクター内部に巻いている旭化成のノイズ抑制シート「パルシャットMU」は、AV機器が発する放射ノイズや電源から流れ込む伝導ノイズを取り除く効果がある

FLVのコネクター内部に巻いている旭化成のノイズ抑制シート「パルシャットMU」は、AV機器が発する放射ノイズや電源から流れ込む伝導ノイズを取り除く効果がある

画像1: 問合せ先:エイム電子AIMコンシューマープロダクツ TEL. 046(253)4902
画像2: 問合せ先:エイム電子AIMコンシューマープロダクツ TEL. 046(253)4902
画像: エイム電子では、信号がスペック通り正常に伝送できているかを全数検査してからHDMIケーブルを出荷する。ちなみに8K信号においては、検査機器で48Gbpsをクリアーしているだけではなく、実際に映像を写して出力できることをチェック済みだ

エイム電子では、信号がスペック通り正常に伝送できているかを全数検査してからHDMIケーブルを出荷する。ちなみに8K信号においては、検査機器で48Gbpsをクリアーしているだけではなく、実際に映像を写して出力できることをチェック済みだ

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