MAD MAX with DOLBY VISION/4K DIGITAL RESTORATION

They say people don’t believe in heroes anymore.
Well damn them!
You and me, Max, we’re gonna give them back their heroes!

Release Dates (Theater):March 21, 1980 (Domestic)
Domestic Total Gross:$8,750,000
(International: $8,771,757)

画像: マッドマックス(1979年) 監督 ジョージ・ミラー 製作 バイロン・ケネディ 脚本 ジェームズ・マッカウスランド/ジョージ・ミラー 撮影 デヴィッド・エグビー 音楽 ブライアン・メイ 出演 メル・ギブソン/ヒュー・キース=バーン/スティーヴ・ビズレー/ジョアンヌ・サミュエル www.youtube.com

マッドマックス(1979年)
監督 ジョージ・ミラー
製作 バイロン・ケネディ
脚本 ジェームズ・マッカウスランド/ジョージ・ミラー
撮影 デヴィッド・エグビー
音楽 ブライアン・メイ
出演 メル・ギブソン/ヒュー・キース=バーン/スティーヴ・ビズレー/ジョアンヌ・サミュエル

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FILM

コッポラの苦心作『地獄の黙示録』がベトナム戦の悲惨さを振り返り、『クレイマー、クレイマー』が家族回帰を見つめ直した1979年。オーストラリアの映画産業を大きく復活させたオーストラリアン・ニューウェーブ(オーストラリア映画ルネッサンス/1970年代初頭ー1980年代後半)のなかで、ふたつの注目作が製作されている。ひとつは、マイルズ・フランクリンの半自伝小説を基に、女性監督ギリアン・アームストロングが演出した『わが青春の輝き』である。19世紀末の田園地帯で恋愛と自立との葛藤に悩んだ末、自由に生きることを選んだヒロイン(ジュディ・デイヴィス )を描き、カンヌ国際映画祭パルム・ドールとアカデミー衣装賞にノミネートされた(2019年にクライテリオン盤が登場)。一方の作品は、『わが青春の輝き』とはまったく異なるアクション映画、ジョージ・ミラー監督作『マッドマックス』である。復讐に燃える警察官マックスを描いた本作は、壮絶なロードレイジ・シークエンスが話題となり、本国オーストラリアはもちろん、世界的なヒット作となった。いまではオーストラリア映画の世界市場を開拓した映画のひとつとして知られており、製作費30万ドルというわずかな予算で高い収益を上げ、史上もっとも収益性の高いインディペンデント映画の新記録を樹立している(99年に『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が記録を塗り替える)。

1973年、世界的な石油危機にヒントを得た監督ミラーは、金融ジャーナリストで雑誌編集者でもあったジェームズ・マッカウスランドとともに『マッドマックス』の草稿を執筆。完成稿は214ページにも及び、実際に撮影されたのはその半分、さらに半分が編集で削除されている(のちにミラーは撮影されなかったカット部分を練り直して『マッドマックス2』を発表)。映画は1977年11月にクランクイン。ドラマ・パートに6週間、続いてスタントとカー・チェイス撮影に6週間を予定していたが、事故で2週間の撮影休止を余儀なくされ、1978年5月から2週間の予定で撮影が再開されている。クランプアップ後のポストプロダクションでは、編集者トニー・パターソン(『ドライビング・フォース/地獄のモンスター・トラック』)が4ヶ月、仕事の都合でパターソンと交代したTV畑の編集者クリフ・ヘイズが3ヶ月を費やして編集。ファイナルカットの作業は予算の都合でスタジオを借りられず、プロデューサーのバイロン・ケネディの知人宅で行われ、エンジニアであったケネディの父親が設計したオリジナル編集機で映像とサウンド編集が行われている。スコア録音には6000ドルの予算しか割けなかったが、78年『パトリック』の楽曲を高く評価していたミラーがブライアン・メイにスコアを依頼(『パトリック』はメイの作曲デビュー作)。メイによれば「ジョージはミュージシャンではなかったが、多くのアイデアを持っており、満足がいく仕事が出来た」という。

「『マッドマックス』をシンプルで、サウンドつきのサイレント映画にしたかった。つまりバスター・キートンやハロルド・ロイドの映画のように、ひじょうに動的なアクション・モンタージュ映画ににしたかったんだ。だが恐ろしいことに、私は脚本の書き方を知らなかった。そこで知り合いのジェームズ・マッカウスランドを雇うことになったんだが、なんと彼も脚本の書き方を知らなかった。われわれは映画館に通いつめ、西部劇、ロードムービー、アクション映画を見まくり、脚本を勉強したんだ。ストーリーラインを私が担当し、ジェームズが台詞構成を務め、時間をかけて脚本を練っていったんだが、なにしろ予算がないのでジェームズには1年間で3500ドルしか払えなかった。(中略)撮影はまさにゲリラ撮影だった。撮影許可なしに道路を封鎖して、レシーバーの周波数が警察無線と一致するので使用できず、アクション場面のリハーサルをまったく行えなかった。ところが撮影が進むにつれてビクトリア州警察が興味を持ちはじめ、なんと撮影に協力してくれることになったんだ。それからは余裕をもって撮影ができ、安全性も保たれた。感謝しているよ」(ジョージ・ミラー)

本国オーストラリア公開は1979年4月。配給はロードショー映画配給会社(現在のヴィレッジロードショーピクチャーズ)。日本公開は同年12月。全米公開は1980年2月。アメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ(AIP)が米国の配給権を取得し(主にドライブインシアターで上映された)、ワーナーがその他の地域を担当している。

1980年 洋画興行収入ランキング

順位作品名配給収入
1位スター・ウォーズ 帝国の逆襲32.0億円
2位007/ムーンレイカー22.8億円
3位地獄の黙示録22.5億円
4位クレイマー、クレイマー16.0億円
5位スター・トレック11.0億円
6位マッドマックス10.8億円
7位19418.6億円
8位カリギュラ6.0億円
9位青い珊瑚礁5.5億円
10位バトルクリーク・ブロー5.2億円
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VIDEO

撮影は『 ハーレーダビッドソン&マルボロマン』『デイライト』『ドラゴンハート』『リディック:ギャラクシー・バトル』のデヴィッド・エグビー。海軍航空写真家の腕前を買われて『マッドマックス』での起用となるが、珍しいところでは『プレデター』のサーマルカメラ(赤外線カメラ)ショットも彼の仕事である。アリフレックス35 BL/35mmアナモフィック撮影。監督ミラーの希望でアナモフィック撮影となったが、使用されたレンズは『ゲッタウェイ』(監督サム・ペキンパー)で使用されて破棄された中古Todd - AOレンズである。35mmオリジナルカメラネガからの最新4Kスキャン/2Kワークフロー(パラ消し、フリッカー除去、グレイン・マネジメント、HDRグレーディング)。LUT(ルックアップテーブル)はイーストマン・コダック5247(100T/詳細はREVIEW『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を参照)。HDRはHDR10、ドルビービジョン(DV)を採用。映像平均転送レートは79.5Mbps(HDR10)+8.8Mbps(DV)。収録アスペクトは2.34:1スコープサイズ。

『マッドマックス』史上最高画質。デジタルレストアによる改善は明快。BLU-RAY(2010年MGM版/同・2015年シャウト・ファクトリー版)で視認された傷痕や埃の大半が消去されており、ひじょうに見晴らしがよく、深度描画力も優秀だ。粒子感は中程度のレベルに抑えられており、オーガニックで過度になることはなく、フィルムルックな外観を提供。ディテール描画は予想以上にタイトでクリーン、4Kスキャンの恩恵を充分に授かっており、安定したテクスチャリングが施されている。監督ミラーによれば「撮影はビクトリア州で行っており、毎日メルボルンのラボに持ち込むのだが、デイリーのラッシュを確認する時間はなかった」「最終のカラータイミングはシドニーのカラーフィルム社で行っているが、色調の整合性をとるのは容易ではなかった」という。本盤を鑑賞してみると、ひとつのシーンのなかで晴天と曇天、陽光の傾きや強弱が変化しているのがわかる。だがHDRグレードは慎重に行われており、全編にわたりコントラストと明るさの均一性を確保している。

「イーストマン5245は最適な露出を得るために、2:1から3:1の補助光を使用するためのkey-light-plus-fill-lightが推奨されているが、多くのショットはアヴェイラブル(Available light/撮影現場に実際にある光源)で撮影して増感した。5245は驚くほど融通が利き、耐久性も高いフィルムストックだが、時間的余裕のない『マッドマックス』では、色彩や肌のトーン、ハイライトと影のディテールの均一性に必要以上に気を配らなくてはならなかった」と撮影監督エグビーは語っているが、ナイトショットの解像感や色調は後退するものの、作品トーンの整合性は極めて高い。HDRグレード監修にミラーやエグビーが立ち会った記載はないが、いずれかの最終承認は得ているのではなかろうか。

HDR10の完成度も高いが、DVではより光彩階調が拡張する。前半のナイトライダー追跡劇(デイライトショット)にみる陽光、車体の光沢、道路の照り返しは観どころのひとつ。中盤以降に点在する曇天の光彩、雲の鈍色も復讐劇のムードを盛り上げている。デイライトショットの黒レベルは堅牢。決して彩り豊かなカラー映画ではないが、乾性のアーストーンや硬質な車体カラーの強化が目覚ましい。お馴染みイエロー・インターセプター(1974年製フォードファルコンXBセダン)、赤を基調とした1959年製シボレーベルエアーセダンが目を奪うはずだ。

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AUDIO

『マッドマックス』20世紀3部作を担当した音響エンジニアは、『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐』『ムーラン・ルージュ(オスカー・ノミネート)』『HERO』『レッドクリフ』のロジャー・サヴェージ。収録は①オリジナル・オーストラリア英語DTS-HDマスターオーディオ2.0モノーラル、②オーストラリア英語DTS-HDマスターオーディオ5.1、③英語吹替DTS-HDマスターオーディオ2.0モノーラル。音声平均転送レートは1.86Mbps/4Mbps/1.91Mbps(24bit each)。②③2015年シャウト・ファクトリーBLU-RAY音声マスターのリユースとなり、ほぼ同等の品質となる。

お薦めはやはり②の5.1ch音声(評点)。わずかな予算を考えると、同時録音素材をよくここまでクリアにしたものだ。オーストラリア訛りがキツく感じるシーンが多いものの、発声は一部のシーンを除いておおむね良好。5.1chサウンドステージはミディアムワイド。クラッシュノイズやエキゾーストノートは聴きどころのひとつ。サラウンド効果は攻撃的とは言えないが、アクションシーンで活躍、エフェクトやアンビエントがリアチャンネルに拡張されている。監督ミラーはゴシック調、あるいはバーナード・ハーマン調のスコアを望み、ブライアン・メイはそれに応えるかたちでスコアを書き上げたという。このスコアがすこぶる心地よく響く。

①の収録はマックス・ジャンキーにとって喜ばしい出来事となろうが、ノイズと歪みが残存、スコアのボリュームが大きすぎる場面もあり、けっして期待通りの出来映えではない。とはいえ、これまでは②からのモノーラル・ミックスとなっており、初めて完全オリジナルのモノーラル音声が収録されたことになる。②と①を比較すると随所で明快となるのが、5.1chミックスにおける効果音の有無(追加と欠落)を聴取できる。③は全米公開時に監督ミラーの承諾なしに制作されたもので、オーストラリア語のスラングが意味不明だったこと、また通常の表現も観客の誤解を招きかねないといった理由によるものであった(例えば、「Oi!」⇒「Hey!」、「See looks!」⇒「See what I see!」)。吹替えパートの例外は、シュガータウン・キャバレーの歌手の歌声(ロビーナ・チャフェイ)、電気式人工喉頭を介したチャーリーの声(ジョン・レイ)、そしてジム・グース(スティーヴ・ビズレー)のみとなる。①と③に関しては品質の善し悪しを問うものではなく、貴重な音声収録特典として楽しんでいただければと思う。

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FINAL THOUGHTS

2015年、ジョージ・ミラーが2代目マックス・ロカンタンスキーにトム・ハーディを迎えて『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を演出、映画館や家庭劇場が興奮のるつぼと化したことも記憶に新しい。だが誰もが思ったはずだ。マックスは、メル・ギブソンじゃなくちゃ、と。実際のところ、ギブソンの魅力が全開となるのは『マッドマックス2』まで待たねばならないのだが、まだ幼い表情が残るギブソンの勇姿に心踊らせ、この傑作アクションを楽しんでいただきたい。そしてなにより、苦心のすえ賢く映画を撮り上げたジョージ・ミラーの力量、これぞ必見となろう。

SPECIAL FEATURES

4K BLU-RAY DISC

  • Commentary
    • this archival audio commentary was recorded by art director Jon Dowding, cinematographer David Eggby, special effects artist Chris Murray, and filmmaker Tim Ridge. It has appeared on a number of different home video releases of Mad Max.

BLU-RAY DISC

  • Road Rage
    • in this new video interview, director George Miller discusses the cultural environment in the rural town where he grew up, how he acquired his passion for cinema, his first encounter with producer Byron Kennedy, the conception of Mad Max and its visual style, the significance of graphic violence in the film, etc. The interview was conducted exclusively for Kino Lorber in 2020. In English, not subtitled. (31 min, 1080p).
  • Interviews with Mel Gibson, Joanne Samuel, and Cinematographer David Eggby
    • in this archival program, Mel Gibson, Joanne Samuel, and cinematographer David Eggby recall their initial impressions of the screenplay for Mad Max, contributions to the film, what it was like during the shooting process, the film's reception, etc. Also, there are some very interesting comments about the characterizations as well as the unique environment in which they are left to survive. The program previously appeared on Shout Factory's Collector's Edition of Mad Max. In English, not subtitled. (27 min, 1080p).
  • Mel Gibson: The Birth of a Superstar
    • this archival program takes a closer look at the cinematic career of Mel Gibson. Included in it are clips from interviews with Betty Williams (Mel's acting teacher), producer/actor Phil Avalon, actor John Jarratt, and talent agent Faith Martin, amongst others. In English, not subtitled. (17 min, 480/60i).
  • Max Max: The Film Phenomenon
    • this archival program examines the incredible success and lasting appeal of Max Max as well as the tremendous transformational impact it had on the Australia film industry. Included in it are clips from interviews with cinematographer David Eggby, art director Jon Dowding, special effects specialist Chris Murray, and Australian film critic David Stratton, amongst others. In English, not subtitled. (26 min, 480/60i).
  • Trailers From Hell
    • an archival episode of Trailers From Hell with writer/director Josh Olson (A History of Violence
      ). In English, not subtitled. (3 min, 1080p).
  • Radio Spots
    • a couple of vintage radio spots for Mad Max. In English, not subtitled. (3 min, 1080p).
  • TV Spots
    • a couple of vintage TV spots for Mad Max. In English, not subtitled. (2 min, 1080i).
  • Trailers
    • two vintage trailers for Mad Max.

SCREEN CAPTURES

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DISC SPECS

TitleMAD MAX
ReleasedNov 24, 2020S (from Kino Lorber)
SRP$39.95 (amazon: $27.99)
Run Time1:33:10.501 (h:m:s.ms)
CodecHEVC / H.265 (Resolution: 4K / DOLBY VISION / HDR10 compatible)
Aspect Ratio2.34:1
Audio FormatsEnglish (Australian) DTS-HD Master Audio 5.1 (48kHz / 24bit)
English (Australian) DTS-HD Master Audio 2.0 (48kHz / 24bit)
English (dubbing) DTS-HD Master Audio 2.0 (48kHz / 24bit)
SubtitlesEnglish SDH

FILM SPECS

タイトルマッドマックス
1979
監督ジョージ・ミラー
製作バイロン・ケネディ
製作総指揮N/A
脚本ジェームズ・マッカウスランド, ジョージ・ミラー
撮影デヴィッド・エグビー
音楽ブライアン・メイ
出演メル・ギブソン, スティーヴ・ビズレー, ジョアンヌ・サミュエル, ヒュー・キース=バーン
ティム・バーンズ, ロジャー・ウォード, ヴィンス・ギル, ジェフ・パリー, シーラ・フローランス

4K画質評価

解像感★★★★★★★★★ 9
S/N感★★★★★★★★  8
HDR効果★★★★★★★★  8
色調★★★★★★★★★ 9
階調★★★★★★★★  8

音質評価

解像感★★★★★★★★  8
S/N感★★★★★★★★  8
サラウンド効果★★★★★★★   7
低音の迫力★★★★★★★   7

SCORE

Film★★★★★★★★★★ 10
Image★★★★★★★★   8
Sound★★★★★★★    7
Overall★★★★★★★★★  9

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