テレビにとって、映像と音の関係は「フィフティ・フィフティ」が理想だが、現実は厳しい。最近は高級機を中心に音質重視のテレビも登場しているが、40、50インチを超える大画面と対等に渡り合えるスピーカーシステムを期待するのは、至難の業。現実問題として、ほぼ不可能といっていいだろう。

 そこで提案したいのが、小型アクティブスピーカーの活用だ。アンプを内蔵しているため、テレビとアナログ/デジタルケーブルで接続することで、お手軽かつスマート、しかも確実にテレビの音質改善が図れるのである。

 そして私がいま、もっとも注目しているおすすめのスピーカーがエアパルスA80だ。リボン型トゥイーターと11.5cm口径のメタルコーン・ウーファーとの組合せによる小型2ウェイシステムで、内蔵アンプは専用に開発されたバイアンプ仕様。内部配線材は高級オーディオ機器でも広く使われているトランスペアレント製だ。

 

画像1: いま人気のアンプ内蔵スピーカーでテレビの音を大きくグレードアップ AIRPULSE「A80」<ネット動画 音質強化テクニック:アンプ内蔵スピーカー活用>

一般的なスピーカーでは、ドーム型という半球型のユニットを高域に使う製品が大半を占めるが、本機では、リボン型という種類の方式が採用されている。リボン型は繊細でかつ情報量の豊富であるという優れた特徴を備えている。コスト面で不利になるケースがあり、またチューニング面でのノウハウも必要にはなるが、リボン型の独自の魅力を活かすべく、本機ではあえて採用されている

画像2: いま人気のアンプ内蔵スピーカーでテレビの音を大きくグレードアップ AIRPULSE「A80」<ネット動画 音質強化テクニック:アンプ内蔵スピーカー活用>

低域ユニットは11.5cm口径とデスクトップ前提のスピーカーとしては大口径のユニットを搭載。硬質アルマイトという処理が施されたアルミニウム振動板と、地上で最強の磁力を発生するといわれているネオジム磁石を採用。強力な高域ユニットに並びたつ、ハイパワー駆動を実現する低域部だ

 

 

 入力はRCAアナログ2系統、デジタル入力はUSBタイプB、光に加えて、高音質コーデック「aptX」対応のBluetooth接続が可能。さらにサブウーファー出力用のRCA端子も利用できる。しかもUSB、光デジタル、アナログの各種ケーブルが付属し、ワイヤレスリモコンも装備しているという優れものだ。

 

画像3: いま人気のアンプ内蔵スピーカーでテレビの音を大きくグレードアップ AIRPULSE「A80」<ネット動画 音質強化テクニック:アンプ内蔵スピーカー活用>

向かって右側用スピーカーの背面に入力端子やアンプを組み込んでいる。電源ケーブルも右側につなぐ。音量つまみのほか、高域/低域の調整用つまみも備えている。それぞれ±3d Bの範囲で調整可能。壁にスピーカーが近いと低音がボンつくことがあるが、その場合は低域を絞るなど、設置条件にあわせてお好みの音調を獲得しやすい

 

画像4: いま人気のアンプ内蔵スピーカーでテレビの音を大きくグレードアップ AIRPULSE「A80」<ネット動画 音質強化テクニック:アンプ内蔵スピーカー活用>

付属リモコン。テレビから光デジタルケーブルで本機をつなぐ場合は必須のものだろう。シンプルなタイプで操作に戸惑うことはない

 

 

声の再現が圧倒的に向上。デジタル接続の恩恵も大きい

 今回はパナソニックの55インチ4K有機ELテレビTH-55HZ1800と組合せで、その実力を検証していく。まずアナログ接続で通常のテレビ放送(ニュース、ドラマ、歌番組など)を確認してみたが、開放感に富んだ生きのいいサウンドで、男性、女性を問わず声の明瞭度が高く、ニュアンスも実に豊かだ。

 

画像5: いま人気のアンプ内蔵スピーカーでテレビの音を大きくグレードアップ AIRPULSE「A80」<ネット動画 音質強化テクニック:アンプ内蔵スピーカー活用>
画像6: いま人気のアンプ内蔵スピーカーでテレビの音を大きくグレードアップ AIRPULSE「A80」<ネット動画 音質強化テクニック:アンプ内蔵スピーカー活用>

本機とテレビをつなぐには大きく分けて、①テレビのヘッドホン出力を活用する方法と、②光デジタル出力を使う方法があり、後者が音質的には有利だ。ただし、テレビの音量調整が、A80のリモコンを使うことになり、使い勝手はやや落ちることになる。そこで、まず①の方法(ヘッドホン出力/RCA変換ケーブルを使用。今回はAmazonで¥898で購入した2.4m品を使った)と②の違いを確認し、さらにテレビ(パナソニックTH-55HZ1800)に備わるBluetooth送信機能を活用した接続も試した

 

 

 音質改善効果は明らかだが、それ以上に新鮮だったのが、画面のほぼ中央からセリフや歌声が聴こえること。最近のテレビは画面下にユニットを配置したアンダースピーカータイプが主流だが、この場合、どうしても人の声が画面下から聴こえてしまう違和感がありストレスを感じやすい。スピーカーを画面両サイドに設置できるメリットは計り知れない。

 そしてヘッドホン出力を活用したアナログ接続時の音質が、思っていた以上にいい。この接続法の場基本的な操作性は内蔵スピーカーとほとんど変わらず、テレビリモコンがそのまま活用できる。家族が集うリビングのテレビとしては、快適な操作性を担保しつつ、音質改善できるメリットは極めて大きい。

 続いて光デジタルによる接続。この場合、音質の要である「デジタル/アナログ変換」をA80側で行なうため、ノイズなどの影響は軽減される可能性が高いが、音量はスピーカー付属リモコンで調整することになる。ドラマやニュースを見る限り、音質的にはアナログ接続時と大きな変化はなく、画面中央に定位するアナウンサーの声が自然で、聴きやすい。

 しかし、NHK BSプレミアム放送の「The Covers」を録画したBD-Rを再生すると、細かい音の再現性ががぜん豊かになるのが分かる。多彩な弦の響きがきめ細かく解像されて、開放的。原田知世の歌声は手を伸ばせば届きそうなほど生々しく、しかもほんのりと温かく、聴き心地がいい。その場の空気感、テイストが鮮明で、スタジオの天井の高さ、奥行ともに、よりリアルに感じられた。良質な音楽番組では、デジタル接続の恩恵は思いのほか大きかった。

 そして最後にTH-55HZ1800のBluetooth送信機能と、A80の同受信機能を活用したワイヤレス接続も試してみたが、これも充分に実用になることが分かった。アナウンサーの声、ドラマのセリフ、音楽、効果音と、アナログ接続時のクォリティと大きく変わることなく、情報量、ノイズ感ともに不満はない。

 TH-55HZ1800側のBluetoothコーデックがSBC規格限定となるため、わずかに音の遅延を感じるシーンもあるが、番組視聴では充分に許容範囲。さらなる低遅延、高音質を期待する向きには、aptX対応のBluetooth送信機(別売り。Amazonで3~4000円で購入できる)がおすすめ。これをテレビ側に加えることで、より高度なワイヤレス伝送が可能だ。

 ドラマ、映画、音楽ライヴと、ネット配信動画ががぜん楽しくなるプラスワン・アイテム。その威力は絶大だった。

 

画像7: いま人気のアンプ内蔵スピーカーでテレビの音を大きくグレードアップ AIRPULSE「A80」<ネット動画 音質強化テクニック:アンプ内蔵スピーカー活用>

BLUETOOTH SPEAKER SYSTEM
AIRPULSE A80
オープン価格(実勢価格7万7000円前後)
● 型式:ワイヤレス再生対応アンプ内蔵スピーカー、2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
● 使用ユニット:リボン型トゥイーター、115mmコーン型ウーファー
● アンプ出力:10W×2(トゥイーター用)、40W×2(ウーファー用)
● 接続端子:デジタル音声入力2系統(光、USBタイプB)、アナログ音声入力2系統(アンバランス)、サブウーファー出力1系統
● 寸法/質量:W140×H255×D240mm/4.8kg
● 備考:リモコン、USBケーブル、光ケーブル、RCAケーブル、ウレタン製アングルベースなど付属
● 問合せ先:(株)ユキム ☎ 03(5743)6202

 

 

 

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