ドイツの風刺コメディ『100日間のシンプルライフ』が、いよいよ明日12月4日より公開される。フィンランドのドキュメンタリー映画『365日のシンプルライフ』をベースに、そのエッセンスをくみ取りながら、展開を大胆に脚色。現代の大量消費社会を風刺しつつ、人間にとって本当にたいせつなものは何かを問いかけるヒューマンな作品にまとめている。

 本作の主人公であるパウルとトニーはそれぞれ、現代に生きる我々のコンプレックスというかクセを具現化した存在。パウルは自分で開発した人工知能「NANA」に示されるままに買い物をしまくるスマホ&買い物依存症。トニーは、自分の弱点を見せたくないために、日々肉体の鍛錬を欠かさないマッチョマン。

画像: スマホ依存症のパウル

スマホ依存症のパウル

画像: コンプレックスの塊トニー

コンプレックスの塊トニー

 よくありがちな設定ながら、二人の人物造形はやはり欧州というかドイツ色が濃厚。どちらかといえばハリウッド作に触れることが多い筆者にとっては、なんとも不思議な感覚がある。随所に散りばめられるコメディ(?)も、そうくるか! と思わず膝を叩いてしまうほどで、往年のエスニックジョークを思い出してしまった。中でも、二人の会社の見習社員であるベティの怪演には注目だろう。後からじわじわと面白さがこみ上げてくる。

 さて本作では、そんな二人がドタバタを繰り広げるのだが、展開としてはそれだけでなく、恋愛要素や、最新のIT事情、契約社会の裏側、大企業の横暴などなど、いろいろな要素も詰め込まれていて、それらが結末へ向かって収束していく。まあそうなるよねと、勘のいい人なら(結末を)想像できそうな気もするが、清々しさを感じられるエンディングとなっている。ケン・ローチ監督の『家族を想うとき』では、さらに一段落とされる感覚になったが、救いを感じられるところは、監督の若さゆえか?

 各国、各媒体でのレビューも好評のようで、いま世界中で注目されている、シンプルライフやミニマルライフ、あるいは日本で言えば断捨離となるのだろうが、それらを実践することで、本作が提示している幸せの根源を見つめなおそうという主題には感動しつつも、劇中に登場するイセッタや煙人形のミニチュアが欲しくなってしまった自分には、まあ無理かもしれない。

映画『100日間のシンプルライフ』

12月4日より ヒューマントラストシネマ渋谷・有楽町、シネマート新宿ほか 全国順次公開
監督・脚本:フロリアン・ダーヴィト・フィッツマン
配給:トランスフォーマー、フラッグ
提供:フラッグ
【PG-12】
(C)2018 Pantaleon Films GmbH / Erfttal Film & Fernsehproduktion GmbH & Co. KG/ WS Filmproduktion / Warner Bros. Entertainment GmbH

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