2017年に発売したフォノイコライザーアンプTRX-EQ6の進化形がこのTRX-EQ7。電源をACアダプター方式として外部に追いやったのが大きな変化であり、電気ノイズや機械振動の問題を低減できる利点がある。またゲインを約10㏈大きくして使いやすさを改善した。

 外部電源は36VDCで1Aという電流容量のスイッチング方式。そしてEQ内部で±2電源に変換してICの動作条件を整え、過渡特性を維持している。MM用のEQはJRC製のデュアルオペアンプ5532Dをチャンネルごと1個ずつ使用。古くから業務用オーディオ機器に盛んに使われてきた定番のオーディオ用ICだ。MCについてはデュアルFETによるヘッドアンプ方式で対応している。

 まずMCカートリッジはフェーズメーションPP2000を使用。たぐいまれな純度と鋭敏な応答性を誇る逸品だ。これはそれらしい鮮度感がわかるのだが、過渡特性が良すぎて本機の志向とは異なるようだ。デノンDL103のようなバランス志向の方が似合いそうだ。そこでMM型のオーディオテクニカVM760SLCに換えると、これはいい。「玉置浩二ベスト」(SSAR045)のサビを含み熟した声音が実体感を示しつつ迫ってくるのだ。ピアソラの「エル・タンゴ」はばね仕掛けの律動が明らかであり、各パートの音色の変化も明瞭。情熱の注ぎ口が大口を開けてこちらを飲み込もうとしている。使いこなせばこれは趣味性の高い音を構築できる能力がある、と判断した次第。

画像: トライオードのフォノイコライザーアンプ「TRX-EQ7」は、声の実体感と旋律の動きを明瞭に聴かせる

Phono Equalizer Amp.
トライオード
TRX-EQ7
¥48,000

●入力端子:1系統(RCAアンバランス)●出力端子:1系統(RCAアンバランス)●入力感度/インピーダンス:2.5mV/47kΩ(MM)、0.25mV/2Ω〜47Ω(MC)●出力インピーダンス:300Ω ●利得:46dB(MM)、64dB(MC)●寸法/重量:W90×H100×D230mm/1kg ●備考:ACアダプター(DC36V/1A)付属 ●問合せ先:(株)トライオード TEL. 048(940)3852

リアビュー。入力、出力ともに1系統で、入力端子はPHONOと記された右側。MM/MCの切替えはフロントパネルのスイッチで行なう。

内部を見る。1枚の基板にディスクリートでパーツが取り付けられている。中央付近にはJRCの2回路入り低雑音オペアンプ5532Dを2基搭載、チャンネル毎に1基使用し±0.5㏈のRIAA偏差を得る。

画像: MM、MCの双方のカートリッジで試聴する吉田氏。

MM、MCの双方のカートリッジで試聴する吉田氏。

●試聴に使用したレコードプレーヤー
 テクニクス
 SL1000R ¥1,600,000

●試聴に使用したカートリッジ
 MM オーディオテクニカ
 VM760SLC ¥80,000
 MC フェーズメーション
 PP2000 ¥440,000

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画像: いい音を手軽に気持ちよく トライオードのフォノイコライザー TRX-EQ7 youtu.be

いい音を手軽に気持ちよく トライオードのフォノイコライザー TRX-EQ7

youtu.be

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