パナソニックは、テクニクスブランドの最上級クラスであるリファレンスクラスの新製品として、インテグレーテッドアンプ「SU-R1000」を12月11日に発売する。価格は¥830,000(税別)。

 SU-R1000は、同社が求め続ける理想の音に向けて長年研究・蓄積してきた技術やノウハウを投入した、ハイエンドプリメインアンプだ。フルデジタルアンプをさらに進化させ、力強く正確なスピーカー駆動を実現するとともに、応答性が高くノイズを抑えた新開発の電源により、純度が高く、エネルギー溢れた躍動感のある音楽再生を実現している。

 また、アナログ回路とデジタル処理を組み合わせた独自の信号処理を行う「Intelligent PHONO EQ(インテリジェントフォノイコライザー)」を搭載し、アナログレコードに刻まれた情報をさらに引き出し、レコードの音をより忠実に再現できるようになっている。

画像1: テクニクスが、リファレンスプリメインアンプ「SU-R1000」をリリース。第二世代フルデジタルアンプが、ハイレゾからアナログレコードまで、かつてない音で聴かせる

 SU-R1000の主な特長は以下の通り。

●高度な技術が結集したフルデジタルアンプ
 高精度なジッター削減回路とPWM変換回路により、音声信号をデジタルのまま入力段からパワー段まで低ジッター伝送・処理することで、純度の高い音楽再生を可能にした「JENO Engine」を搭載。また、スピーカーを接続した状態でのアンプの出力特性と位相特性を測定することで、幅広い種類のスピーカーを理想的な振幅・位相特性で駆動する「LAPC(Load Adaptive Phase Calibration)」など独自のデジタル技術により、低ノイズでクリアーな音質や広大な音場イメージの再現を実現。

画像: 「JENO Engine」

「JENO Engine」

●逆起電力等による歪みを抑える「Active Distortion Cancelling Technology」
 スピーカーをドライブしたときの瞬時的な供給電圧の落ち込みや、逆起電力などが原因でパワーアンプ部で発生する歪みを高精度に除去する、「Active Distortion Cancelling Technology(ADCT)」を搭載。パワーアンプ部からスピーカーに出力される信号の一部をデジタル変換し、「JENO Engine」の出力信号と比較することで歪み成分だけを抽出、歪みをキャンセルする。

 アナログアンプに用いられる負帰還回路(NFB)とは異なり、デジタル領域で歪み成分のみを抽出・キャンセルすることで、音質に影響を与える過渡特性を損なわずスピーカーのドライバビリティを向上している。

 なおADCTは毎回の起動時にアンプのゲインとオフセットを測定し、再生時の歪み抽出時に補正を行っている。ゲインとオフセットの測定自体はコンマ数秒で終了するので、ユーザーは気がつかないまま、最適な音を楽しめるようになっているわけだ。

●高速スイッチング電源と超低ノイズレギュレーターを採用した「Advanced Speed Silent Power Supply」
 スイッチング電源は、瞬時の電源能力に優れ、力強い音を実現できる反面、スイッチング動作が起因となるノイズが発生するという弊害もある。テクニクスでは従来からこのノイズ低減に着目し、スイッチング周波数を固定化していたが、SU-R1000ではスイッチング周波数をこれまでの約100kHzから約400kHzに変更。これにより、音楽再生帯域への影響をきわめて低いレベルに抑えている。

 さらに、高次元での低ノイズ化・安定性を実現するため、後段には超低ノイズレギュレーターを設けた。広帯域で低ノイズな基準電圧生成回路と安定したゲインを確保する制御回路により、安定した電源出力を実現している。

●各部の電源部を独立
 プリアンプ部とパワーアンプ部を上下2段に分離したセパレート構成を採用。下段のプリアンプ部は、アナログ信号処理のブロックとデジタル信号処理のブロックを分離し、それぞれに専用の電源から供給している。上段のパワーアンプ部は、左右対称の独立構造でそれぞれ単独の電源回路を備えている。各ブロックの電源を独立させることで、相互の不要な干渉を防ぎ、高S/N、高セパレーションを実現。

 なおSU-R1000は全段バランス伝号で処理が行われており、アナログのRCA入力からの信号も入力の直後にバンランス変換されている。

画像: フォノ入力基板

フォノ入力基板

●アナログレコードに刻まれた情報を引き出す「Intelligent PHONO EQ」
 フルデジタルアンプという特性を生かし、デジタル信号処理との組み合わせで、アナログ回路だけでは実現できない高音質化を実現する「Intelligent PHONO EQ」を搭載した。本機能は「Accurate EQ Curve」「Crosstalk Canceller」「PHONO Response Optimiser」の3つで構成されている。

●アナログとデジタルのハイブリッド処理で正確なEQカーブを実現する「Accurate EQ Curve」
 フォノイコライザーをアナログ回路とデジタル回路のハイブリッドで構成。レコードからの微小信号をアナログ回路で増幅し、A/D変換時の変換誤差を抑え、デジタルフィルターにより左右のレベルやバラツキのない正確なイコライザーカーブを実現することで、高精度なフォノイコライザーを実現した。

 さらにデジタルフィルターの特性を生かし、7種類(RIAA、IEC、Columbia、Decca/FFRR、AES、NAB、RCA ※)の補正カーブにも対応。膨大なアナログレコードの音をより忠実に再現する。
※RIAAを除くEQカーブは、さまざまな文献を参考にテクニクスでシミュレートしたものを搭載

画像: 「Crosstalk Canceller」の動作イメージ

「Crosstalk Canceller」の動作イメージ

●カートリッジ特有のクロストーク特性を測定・改善する「Crosstalk Canceller」
 カートリッジは1本の針でレコードの溝に刻まれたステレオ信号を拾うため、原理的に左右のクロストークの発生が避けられない。「Crosstalk Canceller」では、同梱される測定用の「キャリブレーション・レコード」を使用して愛用のアナログプレーヤー、カートリッジのクロストークを測定し、それをDSPでキャンセルすることでクロストークを改善する。

●カートリッジの周波数特性の乱れを補正する「PHONO Response Optimiser」
 カートリッジとフォノイコライザーのインピーダンスマッチングによる影響をDSPで補正する「PHONO Response Optimiser」を搭載。「Crosstalk Canceller」と同じく、同梱される「キャリブレーション・レコード」を用いて測定・補正する。インピーダンス整合のための切り替えスイッチを追加することによるノイズ混入の可能性を排除し、カートリッジ本来の音を引き出した再生を可能にした。

 なお「Crosstalk Canceller」と「PHONO Response Optimiser」は同時に測定・補正を行っており、内蔵メモリーに3つのカートリッジ補正データの保存や名前の入力が可能。カートリッジに合わせて切り替えて使用できる。

画像2: テクニクスが、リファレンスプリメインアンプ「SU-R1000」をリリース。第二世代フルデジタルアンプが、ハイレゾからアナログレコードまで、かつてない音で聴かせる

●高い強度を実現したシャーシ
 筐体内は補強を兼ねた鋼板シールドプレートでブロックごとに分割。筐体の高剛性化と、各ブロックが独立したレイアウト設計としている。筐体も10mm厚のアルミフロントパネルをはじめ、サイドパネルやトップパネルは6mm厚のアルミパネルを採用。鋳鉄製のインシュレーターを採用するなど、高剛性化により筐体の制振性を高めている。

●音質向上に寄与する高品位なパーツを採用
 アンプ部には高速でロスの少ないGaN-FETを採用。電源回路用のFET素子にも高速なGaN-FETを採用したほか、整流回路には高耐圧でリカバリー損失を大幅に削減できるSiCダイオードを使用している。またA/Dコンバーターには、旭化成エレクトロニクスの高性能チップを採用し、ほかにも極太のスピーカーケーブルの装着も可能な専用スピーカー端子を設けるなど、各所に音質向上に寄与する高品位なパーツを採用。

●豊富な入力に対応
 PHONO入力はピンジャック(RCA)に加え、ハイエンドのフォノイコライザーなどに搭載されているPHONOのXLR入力(MC専用)も装備。USB Type-Bはネットワークオーディオサーバーなどへの常時接続と、ノートPCなどとの接続用に2系統を備えている。また、デジタル入力はMQAにも対応し、接続機器でのMQAファイルやMQA-CD再生時のフルデコード再生もできる(オン/オフ可)。

画像3: テクニクスが、リファレンスプリメインアンプ「SU-R1000」をリリース。第二世代フルデジタルアンプが、ハイレゾからアナログレコードまで、かつてない音で聴かせる

 なお今回、SU-R1000の試作モデルの音を聴かせてもらうことができた。女性ヴォーカルをいくつか聴かせてもらったが、人物や楽器の定位が明瞭で、クリアーなサウンドを再現する。情報をしっかり描き出す方向で、冷静なニュアンスの音が楽しめる。

 またIntelligent PHONO EQの効果は絶大で、Crosstalk Cancellerのオン/オフを比較すると、カートリッジのクロストークが再生音にこれほど影響していたのかと、きっと改めて驚くはずだ。

「SU-R1000」の主なスペック

●定格出力:150W×2(1kHz、T.H.D. 0.5%、8Ω、20kHz LPF)、300W×2(1kHz、T.H.D. 0.5%、4Ω、20kHz LPF)
●周波数特性:PHONO(MM) 20Hz〜20kHz(RIAA DEVIATION ±1dB、8Ω)、LINE 5Hz〜80kHz(-3dB、8Ω)、DIGITAL 5Hz〜80kHz(-3dB、8Ω)
●推奨負荷インピーダンス:4Ω〜16Ω
●接続端子:アナログ音声入力3系統(RCA×2、XLR)、フォノ入力2系統(RCA、XLR ※XLRはMC専用)、USB Type-B 2系統、デジタル音声入力4系統(光×2、同軸×2)、MAIN IN 1系統(RCA)REC IN 1系統(RCA)、PRE OUT 1系統(RCA)、REC OUT 1系統(RCA)、ヘッドホン出力1系統(Φ6.3mm)、他
●対応フォーマット:同軸デジタル入力=最大192kHz/24ビット リニアPCM、光デジタル入力=最大96kHz/24ビット リニアPCM、USB Type-B=最大384kHz/32ビット リニアPCM、2.8/5.6/11.2/22.4MHz DSD(ASIO Native modeのみ)
●消費電力:220W(待機時 約0.3W)
●寸法/質量:W430×H191×D459mm/約22.8kg

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