パソコン用パーツや周辺機器、スマホ用のモバイルバッテリー、アクセサリーなどを発売しているオウルテック。このところ特に力を入れているのが、完全ワイヤレスイヤホンだ。主力となる「Samu-SE04」をはじめとし、高音質モデルからカジュアルモデル、コンパクトタイプまで、さまざまな製品をラインナップしている。ここでは、Samu-SE04のアップグレードモデル「Samu-SE04S」をメインに、オウルテックの最新モデルを聴き、その魅力を詳しく紹介していこう。

 オウルテックは、パソコンやスマホのアクセサリー以外にも、以前からイヤホンやスピーカーといったオーディオ機器も手掛けている。それは、純粋なHiFiオーディオ用というよりも、パソコン用のオーディオ機器やヘッドセットのイメージが強かった。しかし、ストリーミング音楽配信サービスの普及やBluetoothを使ったワイヤレスイヤホンの人気が高まるとともに、音質にもこだわったモデルを続々と投入。コストパフォーマンスの良さもあり、今やオーディオファンの間でも話題となっているのだ。

ナチュラルな感触で、心地良く音楽を楽しめる「Samu-SE04」

 そんな音質にこだわった完全ワイヤレス型の主力モデルが「Samu-SE04」。コンパクトなカナル型のイヤホンで、IPX7の防水性能、単体で9時間、充電ケース(5回充電可能)との併用で最長54時間の再生が行なえるモデルだ。Bluetoothのチップセットは「QCC3026」を採用し、対応コーデックはSBC、AAC、aptXとなる。音質面では、振動板には高い硬度を誇るグラフェン素材をコーティング。低歪みでレスポンスのよい音を実現している。

 また、ハウジング内部の音響特性を改善する「HDSS技術」を採用し、筐体内部の不要な音の反射を抑制。歪みのないクリアな音を実現している。

グラフェンコート振動板とHDSS技術の採用で
クリアでレスポンスの高いサウンドを再生

完全ワイヤレスイヤホン
オウルテック Samu-SE04 ¥12,980(税込)

画像1: 【鳥居一豊の名品探訪】コスパと音質が優れたイヤホンを探すならオウルテックに注目! クォリティをブラッシュアップした最新「Samu-SE04S」を中心に、ニューラインナップを聴いた

Samu-SE04の主な仕様
●Bluetoothバージョン:5.0
●Bluetoothチップ:QCC3026
●Bluetoothプロファイル:A2DP, AVRCP, HFP, HSP
●Bluetoothコーデック:SBC、AAC、aptX
●ドライバーユニット:6mm径ダイナミック型
●再生周波数帯域:20Hz~20kHz
●出力音圧レベル:91dB(±3dB)
●インピーダンス:16Ω±15%
●防水性能:IPX7
●再生時間:約9時間(イヤホン本体)、約54時間(充電ケース併用)
●充電時間:約2時間(イヤホン本体、充電ケースそれぞれ)
●充電端子:micro USB
●寸法:W84.5×D43×H40mm
●重量:4.5g(1個)、67.1g(充電ケース含)
●付属品:micro USB充電ケーブル、充電ケース、イヤーピース3サイズ(S/M/L)、取扱説明書兼保証書

 まずは、Samu-SE04を試してみた。外見は完全ワイヤレス型としてはオーソドックなもので、コンパクトなカナル型のイヤホンと小型の充電ケースのセットとなる。ケースの表面はファブリックで包まれていて、見た目の質感もいいし、滑りにくく使いやすい。プレーヤーにAstell&Kernの「SP1000」を使い、Bluetooth接続して音楽を聴いてみた(コーデックはaptX)。

 クルレンツィス指揮ムジカ・エテルナの『ベートベン/交響曲第5番「運命」』を聴いてみると、スピード感のある切れ味の鋭い演奏が明瞭な音で再現された。なかなかにテンションの高い演奏になるが、弦楽器の音色がしなやかになるなど、音色はスムーズ。柔らかな感触でのびのびとした音になるので、切れ味の鋭い演奏ではあっても尖った音にはならず、ナチュラルで聴き心地がいい。また、微小な響きまで豊かに鳴るので、コンサートホールの音の響きや音場の広がりも豊かだ。一方で、女性ボーカルを聴いても、声の強弱や抑揚がしっかりと出て、高域の伸びもスムーズ。クリアだが細身にならず、厚みのある声になるのも好ましい。

 そうした音の情報量を豊かに表現しつつ、音色はあくまでもナチュラルというのがSamu-SE04の持ち味。女性ボーカルはもちろんだが、アコースティック楽器主体の演奏(楽曲)が好みのユーザーには、気持ち良く音楽を楽しめる製品と言えるだろう。

音質をさらに向上させ、3タイプのイヤーチップをセットにした「Samu-SE04S」

 そのSamu-SE04をベースに、オーディオファン向けに、さらに音質向上を図ったのが「Samu-SE04S」となる。見た目に大きな違いはなく、IPX7の耐水性能やBluetoothチップセット「QCC3026」の搭載は継承。バッテリー寿命が単体で10時間に延び、充電ケース(5回充電可能)との併用で60時間と長時間となっている。

2層式カーボン振動板への変更で音質を向上
好みで選べる3種類10ペアのイヤーピース付属

完全ワイヤレスイヤホン
オウルテック Samu-SE04S ¥14,800(税込)

画像2: 【鳥居一豊の名品探訪】コスパと音質が優れたイヤホンを探すならオウルテックに注目! クォリティをブラッシュアップした最新「Samu-SE04S」を中心に、ニューラインナップを聴いた

Samu-SE04Sの主な仕様
●Bluetoothバージョン:5.0
●Bluetoothチップ:QCC3026
●Bluetoothプロファイル:A2DP、AVRCP、HFP、HSP
●Bluetoothコーデック:SBC、AAC、aptX
●ドライバーユニット:6mm 径ダイナミック型
●再生周波数帯域:20Hz~20kHz
●出力音圧レベル:90dB(±3dB)
●インピーダンス:16Ω±15%
●防水性能:IPX7準拠
●再生時間:約10 時間(イヤホン本体)
●充電時間:約2時間(イヤホン本体、充電ケースともに)
●充電端子:USB Type-C
●寸法:W84.5×D43×H40mm(充電ケース)
●質量:4.6g(1個)、約66.2g(充電ケース含)
●付属品:USB Type-A to Type-C充電ケーブル、充電ケース、シリコン製イヤーピース(固め:XS/S/M/L)4 サイズ(M サイズはイヤホンに装着済み)、シリコン製イヤーピース(柔らかめ:S/M/L)3 サイズ、低反発フォームイヤーピース(S/M/L)3 サイズ、取扱説明書兼保証書

 肝心の音質面では、振動板に、最新鋭2層構造の「デュアル・レイヤード・カーボン・ドライバー」を採用しているのが特徴。軽量で剛性の高いカーボン仕様とすることで、さらに低歪み化が図られている。ただし、本機にはSamu-SE04で採用されている「HDSS技術」は使われていない。ここが、大きな違いと言えるだろう。

 このほか、付属するイヤーピースは従来と同じ硬めのシリコン素材のもの(4サイズ)に加えて、柔らかいシリコン素材のもの(3サイズ)、低反発ウレタンタイプのもの(3サイズ)と、タイプの異なるイヤーチップが選べるようになっている。イヤーピースの違いは、装着感や外れにくさに影響するだけでなく、音質の差も大きい。好みの音のタイプを選べるなど、音にこだわる人のニーズも積極的に採り入れているところは注目だろう。また、カラーバリエーションにはブラック、ネイビー、アイボリー、ピンクと4色用意しており、男性だけでなく女性でも選びやすいカラーを用意しているのもポイントだ。

画像: Samu-SE04sには、3種類計10ペアのイヤーピースが付属しており、サイズや硬さに合わせて自由にセレクトできるようになっている。写真のブラックタイプは本体カラーがブラック、ネイビーに付属。ホワイトタイプは同アイボリー、ピンクに付属する

Samu-SE04sには、3種類計10ペアのイヤーピースが付属しており、サイズや硬さに合わせて自由にセレクトできるようになっている。写真のブラックタイプは本体カラーがブラック、ネイビーに付属。ホワイトタイプは同アイボリー、ピンクに付属する

 試聴は標準的な硬めのシリコンイヤーピースを使用し、Astell&KernのSP1000とaptXでBluetooth接続して聴いてみた。情報量が豊かで、音色の自然さといった持ち味は共通しているが、より音の粒立ちが向上し、低音域の伸びも増している。自然で聴き心地の良いSamu-SE04に対して、より周波数帯域が広くなり、さらに情報量豊かな音になったと感じた。

 クルレンツィス指揮ムジカ・エテルナの『ベートベン/交響曲第5番「運命」』では、低音楽器の朗々とした響きが豊かになり、オーケストラのスケール感もしっかりと出る。低音がパワフルになっても音階が不明瞭になることはなく、芯の通った力強い音になる。オーケストラの楽器の配置がわかるような広々とした音場と、粒立ちがよく個々の音がしっかりと描き分けられることでステージの見通しも良い。女性ボーカルでは、ボーカルのニュアンス豊かな声とコーラスとの調和がきれいだ。低域がしっかりと出ることで声のボディ感もしっかりと出るし、実体感のある生々しい感じになる。

 YMOの『TECHNODON』を聴くとシンセサイザーの音に四方から包み込まれるような広がりと、ドラムスやパーカッションの明確な定位、宙に浮かぶようなボーカルと、巧みに構築されたステレオ音場が鮮やかに再現された。各楽器の音色の再現やボーカルのニュアンス、ステレオ録音の巧みなバランス調整など、録音の工夫までじっくりと聴き取れる音になっていて、音質にこだわる人も満足できる実力を持っている。

 どちらもよく出来た音に仕上がっているが、ニューモデルSamu-SE04Sは、よりオーディオ的な正確さや情報量の豊かさを重視したHiFi調の音で、この実力ならばオーディオメーカーが発売するモデルにも負けない表現力がある。一方でSamu-SE04は、オーディオ的というより、音楽を気持ち良く聴きたい人に向く音で、自然な感触の音色や気持ち良い音場の広がりなど、楽しく・気軽に音楽を聴きたい人におススメしたい。

画像: Samu-SE04S(写真)は、Samu-SE04との外観上の差はないが、振動板には2層構造のカーボンタイプを搭載するなど、より音質にこだわった製品となる

Samu-SE04S(写真)は、Samu-SE04との外観上の差はないが、振動板には2層構造のカーボンタイプを搭載するなど、より音質にこだわった製品となる

 現在、Samu-SE04とSamu-SE04Sは併売されており、付属品の充実度やバッテリー寿命など、Samu-SE04Sの方がお買い得度は高い! ただし、先述したように音質にはかなり違いがあるので、実際に試聴して自分の好みに合うモデルを選ぶといいだろう。

オウルテックの新製品はまだまだ続々登場。注目は「Samu-SE06」

 Samu-SE04Sはオーディオにこだわる人にもぜひおすすめしたい実力があり、完全ワイヤレスイヤホン市場において、オウルテックは注目の存在と言えよう。ということで、今後発売予定の新モデルも聴かせていただいた。発売したばかりの「Samu-SE05」はよりカジュアルに使えるモデル。サイズはよりコンパクトで、充電ケースも小さく携帯しやすい。防水性能はIPX4となり、対応コーデックはSBC、AACとなる。

オシャレでコンパクトな完全ワイヤレス
薄型イヤーピースで装着性もアップさせた

完全ワイヤレスイヤホン
オウルテック Samu-SE05 ¥7,180(税込)

画像3: 【鳥居一豊の名品探訪】コスパと音質が優れたイヤホンを探すならオウルテックに注目! クォリティをブラッシュアップした最新「Samu-SE04S」を中心に、ニューラインナップを聴いた

Samu-SE05の主な仕様
●Bluetoothバージョン:5.0
●Bluetoothプロファイル:A2DP、AVRCP、HSP、HFP
●対応コーデック:SBC、AAC
●ドライバー:6mm径ダイナミック型
●再生周波数帯域:20Hz~20kHz
●出力音圧レベル:94dB
●インピーダンス:32Ω
●防水性能:IPX4
●再生時間:約4時間~4時間30分
●充電時間:本体約1時間10分、充電ケース約1時間20分
●充電端子:USB Type-C
●寸法:W25.2×D24×H24.5mm
●質量:4.8g

 その音は軽快で勢いがあり、楽器の音色の描き分けが上手。低音の伸びはやや足りないが、適度にふくらんだ低音はよく弾み、パワフルなロックを元気よく聴かせてくれる。声も溌剌として力強さもしっかりと出る。メリハリの効いた音だが、高域が荒れたり、多数の楽器が音を出すような曲で音が混濁することもなく、気持ち良く音楽を楽しめる。価格的にも手頃なので、スマホと組み合わせて日常的に使うワイヤレスイヤホンの入門機としてはおすすめだ。

 そして登場が楽しみなのが、2021年春に発売予定の「Samu-SE06」。Samu-SE04Sと同じく「デュアル・レイヤード・カーボン・ドライバー」を採用。Bluetoothチップセットには最新の「QCC3040」を採用する。IPX7の耐水性能を持ち、バッテリー寿命はSamu-SE04Sよりもさらに長くなるようだ。

2層構造のカーボンドライバーを搭載
最新「QCC3040」チップで長時間駆動も実現

完全ワイヤレスイヤホン
オウルテック Samu-SE06 2021年春発売予定 ¥12,800(予価)

画像4: 【鳥居一豊の名品探訪】コスパと音質が優れたイヤホンを探すならオウルテックに注目! クォリティをブラッシュアップした最新「Samu-SE04S」を中心に、ニューラインナップを聴いた

オウルテックの次の完全ワイヤレスイヤホンとして発売が予定されているのが、Samu-SE06。Samu-SE04Sと同じ2層構造のカーボンドライバーを採用し、音質と接続性、バッテリーの長寿命化を図った製品となる。

 試作モデルを試させていただいたが、まさにオウルテックの集大成と言える音だと感じた。音の正確さや音場の再現などはSamu-SE04S譲りだが、よりHiFi調の音になるのではなく、音の正確さや忠実さと聴いて楽しい音が絶妙にバランスしたものになっていて、生のライブを聴いているようなリアルさのある音になっていたことに感心した。

完全ワイヤレス型イヤホンを探すならおすすめ。
オーディオ好きもオウルテックに注目しよう

 ワイヤレスイヤホンの人気の高まりによって、歴史のあるオーディオメーカーだけでなく、さまざまなメーカーやブランドから製品が登場してきている今、そこから好みの製品を探すのはなかなか大変だ。その結果、ついつい有名メーカーやブランドの製品に注目してしまいがちになるが、オウルテックのようなメーカーにもぜひ注目してほしい。筆者としても今回聴いたモデルの実力の高さはちょっと意外だったが、新進気鋭のブランドらしい気合いの入ったモデルだし、コストパフォーマンスの高さでも見逃せない。

 オウルテックの開発担当の方にもお話をうかがったのだが、現在のところは完全ワイヤレス型の基本に沿ったモデルを中心にラインナップしているが、今後はよりユニークな製品も開発していく予定だという。例えば、完全ワイヤレス型モデルで実用上気になる部分であるバッテリーの寿命。単純な連続再生時間だけでなく、長期使用時のバッテリー性能の低下などへの対策も考えているという。

 オウルテックでは、パソコンやスマホ用のバッテリー関連の商品も発売しており、現行の製品も内蔵バッテリーの性能にはこだわりがあるという。音質に良さに加えて、オウルテックならではのこだわりも反映された新モデルの登場にはぜひとも期待したいところ。完全ワイヤレス型を探している人も、音質にこだわるオーディオファンも、オウルテックに注目しよう。

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