画像: Nmode X-PM3 FT ¥168,000+税 ●定格出力:19W×2(4Ω)、13W×2(8Ω)●接続端子:アナログ音声入力3系統(RCA)、クロック入力1系統●寸法/質量:W210×H62×D250mm/2.3kg(突起物除く)●備考:生産予定台数200台

Nmode
X-PM3 FT
¥168,000+税
●定格出力:19W×2(4Ω)、13W×2(8Ω)●接続端子:アナログ音声入力3系統(RCA)、クロック入力1系統●寸法/質量:W210×H62×D250mm/2.3kg(突起物除く)●備考:生産予定台数200台

注目すべきスペシャルチューニングモデル

 かつてのシャープ「1ビットデジタルアンプ」の技術を継承発展させ、佳作アンプをいくつも送り出しているエヌモードから、注目すべき新製品、X-PM3FTが登場した。 

 1ビット信号でスイッチング増幅を行なう、その名も「1ビットアンプ」はシャープが1999年に製品化したのが嚆矢だ。私は同年に、システム製品AuviのテレビCMに出演したことがあり、個人的にも本技術を親しく感じている。本技術の根源はサンプリング周波数だ。当時はSACDと同じ2.8MHzだったが、今や11.2MHzまで達した。もちろん本アンプも11.2MHzだ。

 本機は2018年に創立10年記念として発売されたハーフサイズシリーズのX-P3をベースにした新製品。専用の薄膜高分子積層コンデンサを組み込むなどこだわりを注入したアンプだ。そして型番最後の「FT」が出自を語る。「FT」とは「アンプメーカーのファンダメンタルがチューニングした」の意だ。

 何を変えたのだろう。エヌモードを展開するリリックの瀬戸山貴博社長に聞いた。

 「ファンダメンタルさんとは販売店のイベント等で昔から付き合いがあり、リリック設立の際にも助言いただいております。増幅度とインピーダンスの最適化、ポストフィルターの定数、信号系部品の選別……など長年アナログアンプで培われたノウハウの中で、デジタルアンプでも共通して使用できるアイテムを注入していただきました」

 UAレコードの情家みえ『エトレーヌ』から「チーク・トゥ・チーク」を聴く。1ビットアンプらしい、暖かさと潤いとキメの細かさが同居した音調だ。シルクのような質感で耳触りよい音。歌詞に込めた細やかな感情が感じられ音が舞い飛ぶスピードも速く、耳の快感そのもの。2018年のウィーン・フィル『ニューイヤー・コンサート』を聴く。音調が軽妙で、雰囲気が暖かく、抜けもクリアー。臨場感の豊かさ、会場の空気感の透明さが気持ちよい。弦にちょっとしゃくりあげるようなウィーン的な色気が感じられるのも1ビットアンプの魅力だ。

 映画『グレイテスト・ショーマン』を2chで聴いた。チャプター10のパーティでのダイアローグ。キャラクターの違いをていねいに描き分け、輪郭は優しく、声の階調感がとても細やか。チャプター11「ネバー・イナフ」のヴォーカルの声質のすべらかさ、粒子の細やかさ、なめらかさも感動的だ。曲の後半のクレッシェンドの盛り上がりで、切れ味が鋭く、鮮明になる声質の変化も見事に表現していた。AV系のコンテンツも、1ビットアンプらしい質感で愉しめた。

 細やかな階調感とスピード感、そして「清涼さがありながら暖かい」を聴かせる傑作1ビットアンプといえよう。

画像: ↑入力端子はRCAが3系統、クロックの端子はBNCコネクター。本体幅は、HiVi本誌の短辺よりもやや大きい程度と、かなりのミニサイズ

↑入力端子はRCAが3系統、クロックの端子はBNCコネクター。本体幅は、HiVi本誌の短辺よりもやや大きい程度と、かなりのミニサイズ

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