デノンでは、創立110周年の節目を迎えるにあたり、今持てる技術とノウハウを投入した記念モデルを4機種発表した。ここではオーディオビジュアルファンに向けて開発された最上級AVセンター「AVC-A110」を紹介したい。

●13.2 ch AVセンター 「AVC-A110」 ¥680,000(税別、10月上旬発売)

画像1: サラウンドの深淵が再現できるAVセンター「AVC-A110」。高音質化のためのアイデアをすべて見直し、さらに8K映像信号にも対応した、デノン創立110周年記念モデル

 AVC-A110は、現行AVセンターのフラッグシップモデル「AVC-X8500H」を超えるパフォーマンスを実現することを目標に開発された。AVC-X8500Hの開発時に、開発期間やパーツのコスト、検証に要するリソースなど、様々な要因により採用に至らなかった高音質化のためのアイデアをすべて見直し、サウンドマネージャーである高橋佑規氏の感性によって再構築したモデルとなる。

 たとえば、コンデンサーの薄膜を作る際にゆっくり引き出し、それを弱い力で巻くと低音が出るようになるという。AVC-A110ではこのコンデンサーを採用しているが、それだけではやわで力のない低音になってしまう。そこで他の部品も吟味し、全体のバランスを取り直すことでより力のある締まった低域が再生できるようにしたそうだ。DACについても、基板の箔厚を従来の2倍の70µmにすることでS/Nを改善している。

 このように回路構成自体はX8500Hから変更されていないが、ブロックコンデンサーや電源トランス、鋳鉄製フットをはじめ、純銅製のトランスベース、パワーアンプ回路のフィルムコンデンサーやインダクターなど、新たに開発、採用されたパーツは数百点にも及び、雄大なスケール感と手を伸ばせば触れられそうな音像の密度感を獲得。高橋氏自身も「もはや別次元」と語るほどのサウンドを実現しているそうだ。

 映像信号は、先頃発表された新製品ラインナップ同様に、8Kビデオ信号や多用なHDRフォーマットに対応しており、映像も音声もかつてないクォリティで楽しめるようになっている。

 フロントパネルは110周年記念モデル専用カラーのグラファイト・シルバーを採用。さらに5年間の無償保証サービスも付いている。

画像2: サラウンドの深淵が再現できるAVセンター「AVC-A110」。高音質化のためのアイデアをすべて見直し、さらに8K映像信号にも対応した、デノン創立110周年記念モデル

 その他の主な特長は以下の通り。

●DHCT搭載13chモノリス・コンストラクション・パワーアンプ
 パワーアンプ回路をチャンネル毎に個別の基板に独立させたモノリス・コンストラクション構成を採用。チャンネル間のクロストーク、振動による音質への影響を排除することにより、純度の高いリアルな音場再生を実現。増幅素子には大電流タイプのパワートランジスター「Denon High Current Transistor (DHCT)」を採用。このDHCTをヒートシンク上に格子状にレイアウト、さらにヒーシンク全体をカバーする2mm厚の銅板によって放熱効率を高め、発熱が大きくなる大音量再生時であっても安定性の高いスピーカー駆動を実現した。

●Dolby Atmos/DTS:Xに対応
 オブジェクトオーディオの「Dolby Atmos」「DTS:X」に対応。13chパワーアンプを搭載しているため、パワーアンプの追加なしに7.1.6やフロントワイドを含む9.1.4システムを構築可能。Dolby SurroundやNeural:Xにるアップミックスにも対応した。

●AURO-3Dに対応
 AURO-3Dデコーダーを搭載し、7.1chシステムにフロントハイト(FHL+FHR)、センターハイト(CH)、サラウンドハイト(SHL+SHR)、およびトップサラウンドスピーカー(TS)を組み合わせた13.1ch再生もできる。また、Auro-Matic.アルゴリズムによるアップミックスも可能。

●MPEG-4 AACに対応
 4K/8K衛星放送で使用されているMPEG-4 AAC(ステレオ、5.1ch)のデコードに対応。

●柔軟なアンプアサイン
 15ch分のスピーカー出力端子を装備し、最大9chのフロアスピーカーと、センターハイトやトップサラウンドを含む最大8chのハイトスピーカーのうち15chを同時に接続できる。最大13chの同時出力が可能で、再生フォーマットやサウンドモードに合わせて再生するスピーカーを自動で切り替えることもできる。さらに「バイアンプ」「5chフルバイアンプ機能」などの柔軟なアンプアサイン機能も搭載している。

画像3: サラウンドの深淵が再現できるAVセンター「AVC-A110」。高音質化のためのアイデアをすべて見直し、さらに8K映像信号にも対応した、デノン創立110周年記念モデル

●13.2chプロセッシング/15.2chプリアウト/プリアンプモード
 32ビットデュアルコアDSP「SHARC」プロセッサーを2基搭載。13.2ch分のデコードやアップミックス、AL 32 Processing Multi Channel、音場補正などの処理が同時に可能。またパワーアンプの動作を停止し、AVプリとしての使用を可能にする「プリアンプモード」も搭載済み。

●デノンAVサラウンド回路設計の中核技術「D.D.S.C.-HD32」
 32ビットプロセッシングを行うD.D.S.C.(Dynamic Discrete Surround Circuit)の最上位バージョンを搭載。サラウンド再生のために必要な信号処理回路を一つ一つのブロックに独立させ、32ビットフローティングポイントDSPなど専用デバイスを用いてディスクリート化している。

●アナログ波形再現技術「AL 32 Processing Multi Channel」
 マルチチャンネル信号を32ビットに拡張する「AL32 Processing Multi Channel」を搭載。オリジナルのアナログ波形を忠実に再現し、ホールに吸込まれるような残響音などの微小な音の再生能力を高めている。

●32ビット対応プレミアムステレオD/Aコンバーターを8基搭載
 厳選した32ビット対応プレミアムステレオD/Aコンバーターを8基搭載。D/A変換回路を専用基板にマウントすることにより周辺回路との相互干渉を排除した。また専用基板を用いることによってD/A変換回路、信号ラインおよび電源ラインのレイアウトの最適化を行い、音質対策パーツの選定、ポストフィルターの設計等と合わせ、D/Aコンバーターの性能を最大限に引き出している。

●大出力を支える強力な電源回路
 AVC-A110専用のEIコアトランスを開発。質量はトランス単体で8kgを超え、それを純銅製のトランスベースに取り付けて放熱性を向上した。メインシャーシにもそれぞれ1.2mm厚のトランスプレート、ボトムプレートを追加、合計3.6mmの堅牢なシャーシによって振動の伝搬を防止した。電源部のブロックコンデンサーには、専用チューニングされた大容量22,000uFのカスタムコンデンサーを2個使用。余裕のある電源供給能力はそのままに、AVC-X8500Hと比較してもさらに低い重心と豊かなスケール感を実現した。

●8K/60p、4K/120pに対応するHDMI端子を搭載
 8K/60pおよび4K/120pの映像信号に対応するHDMI入力を1系統(HDMI 7)、出力を2系統(モニター1/2)装備。また8入力/3出力すべてのHDMI端子で著作権保護技術「HDCP 2.3」に対応。

画像4: サラウンドの深淵が再現できるAVセンター「AVC-A110」。高音質化のためのアイデアをすべて見直し、さらに8K映像信号にも対応した、デノン創立110周年記念モデル

●HDR(ハイダミックレンジ)対応
 HDR10、Dolby Vision、HLGに加えて、HDR10+およびDynamic HDRにも対応。

●ALLM、VRR、QMS、QFTに対応
 HDMI 2.1の新機能「ALLM(Auto Low Latency Mode)」「VRR(Variable Refresh Rate)」「QMS(Quick Media Switching)」「QFT(Quick Frame Transport)」に対応。

●8Kアップスケーリング
 入力信号を8K/60pや4K/60pなどにアップスケーリングしてHDMIから出力。

●HEOSテクノロジーを搭載
 ワイヤレス・オーディオシステムの「HEOS」テクノロジーを搭載。ストリーミングサービスやインターネットラジオをはじめ、ローカルネットワーク上のミュージックサーバー(NAS/PC/Macなど)やUSBメモリーに保存した音源やスマートフォン、タブレット、Bluetooth.機器など、多彩な音源を再生できる。

●音楽ストリーミングサービス、インターネットラジオに対応
 Amazon Music HDやAWA、Spotify、SoundCloudなど幅広い音楽ストリーミングサービスに対応。また世界中のインターネットラジオも楽しむことができる。

●5.6 MHz DSD&ハイレゾ音源対応
 ミュージックサーバーやUSBメモリーに保存したDSDファイル、ハイレゾ音源が再生できる。DSDファイルは5.6MHzまで、PCM系ファイルは192kHz/24ビットまで再生可能。さらにDSD、WAV、FLAC、Apple Losslessファイルのギャップレス再生にも対応済み。

「AVC-A110」の主なスペック

画像: 「AVC-A110」の主なスペック

●搭載パワーアンプ数:13ch
●定格出力(8Ω、20Hz . 20kHz、THD 0.05%、2ch駆動):150W+150W
●実用最大出力(JEITA: 6Ω、1kHz、THD 10%、1ch駆動):260W
●適合インピーダンス:4〜16Ω
●周波数帯域:10Hz〜100kHz(+1,-3dB、ダイレクトモード時)
●S/N:102dB(IHF-A、ダイレクトモード時)
●無線LAN:IEEE 802.11a/b/g/n準拠
●Bluetooth対応コーデック:SBC
●接続端子:HDMI入力8系統(フロント1系統、8K対応入力はHDMI 7の1系統)、HDMI出力3系統(8K対応出力はモニター1/2の2系統)、コンポジット入力4系統、コンポーネント入力3系統、コンポジット出力2系統、コンポーネント出力1系統、アナログ音声入力7系統、Phono入力(MM)1系統、アナログ7.1ch入力1系統、デジタル入力4系統(光×2、同軸×2)、15.2chプリアウト1系統、ゾーンプリアウト2系統、ヘッドホン出力1系統、USB-TypeA 2系統、LAN端子1系統、他
●消費電力:900W(通常待機時0.1W)
●寸法/質量:W434×H195×D482mm(アンテナを寝かせた場合)/25.4kg

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