先日ご紹介した通り、NHKでは本日から『8K de 音楽フェス 〜音楽ライブざんまいの3日間〜』を開催している。新型コロナウィルス感染症対策もあり、この夏の音楽イベント、夏フェスが軒並み中止になっていることを受け、8Kでそれらをバーチャル体験してもらおうという企画だ。

画像: 450インチの大画面がそびえる。ソーシャルディスタンスを確保した状態で座席を配置

450インチの大画面がそびえる。ソーシャルディスタンスを確保した状態で座席を配置

 会場となった品川インターシティホールには、450インチ8Kスクリーン&22.2chサラウンドシステムが設置され、そこで様々なアーティストのパフォーマンスが上映されている。

 今回はソーシャルディスタンスを確保するために座席同士も距離を置いて、通常なら300席以上入る空間ながら、160弱の座席のみ配置していた。しかも事前予約による完全指定席(入れ替え制)という念の入れようだった。

 蛇足ながら、入場に際してはマスクの着用が必要で、かつ体温測定と手の消毒も準備されている。さらに上映終了後にスタッフが各座席を清掃しているなど、感染症対策にも充分配慮されていることが確認できた。

画像: 4台のDLPプロジェクターを使って8K映像を再生している

4台のDLPプロジェクターを使って8K映像を再生している

 そこで上映されるコンテンツは以下の通り。いずれもBS8Kで放送された番組だが、今回は映像・音声ともサーバーからの再生でHEVCやAACなどの圧縮を経ていないという点でも一見の価値がある。

上映コンテンツ
『星野源LIVE in New York』(約60分)
『サカナクションライブ2017』(約90分)
『8KスーパーライブSuperfly』(約60分)
『8KスーパーライブTHE YELLOW MONKEY』(約90分)
『8KスーパーライブLittle Glee Monster』(約60分)

 今回は16:30からスタートした『星野源LIVE in New York』の上映にお邪魔させてもらった。平日の夕方早めのスタートながら、会場には多くのファンが詰めかけ、みんな音楽体験を欲しているんだと言うことがひしひしと伝わってきた。

 冒頭「Pop Virus」が始まった瞬間、あたかもニューヨークのSONY HALLにトリップしたような気分になった。ライブ収録ということもあり、ステージ照明が赤や青、スポットといった具合に切り替わるが、どの状態でも星野さんの表情や衣装の艶再現が見事で、本物を見ているかのようなリアリティがある。

 ステージ背後のLEDを使ったイルミネーションもディテイルまでしっかり再現されているし、時折映り込んでいるカメラクルーが真剣そのもの表情をしていることまで判別できるなど、8Kの実力がしっかり確認できた次第だ。

画像: 会場側面や天井にもスピーカーを配置し、広い会場ながら粗密のない音場を再現していた

会場側面や天井にもスピーカーを配置し、広い会場ながら粗密のない音場を再現していた

 サウンドもさすがの22.2ch(先述の通り非圧縮のWAVファイル)のパフォーマンスで、自然な音場に包まれる。5曲目「地獄でなぜ悪い」ではSONY HALLの観客の拍手がテンポよく響くし、8曲目「恋」について「僕が考える日本のポップスです」という星野さんの言葉に会場が盛り上がる様もダイレクトに伝わってくる。今回は後ろから2列目の席で試聴したが、前方からサイド、後方まで音が粗になる部分もなく、密度の高い音が会場を包み込んでいた。

 約60分のコンテンツを見終わって思ったのは、本当の没入体験ができたということ。品川インターシティホールは広さ700平方メートル、SONY HALLは1115平方メートルと違いはあるが、8K映像と22.2chサウンドが絶妙なバランスで再現されたことで“場の空気”を感じることができたのだろう。

 先述の通り今回のイベントの予約は既に終了しているが(コンテンツによっては3倍近い応募があったとのこと)、NHKでは今後も同様の催しを考えているそうなので、8K&22.2chサラウンドに興味のある方はくれぐれもお見逃しなく! (取材・文:泉 哲也)

This article is a sponsored article by
''.