SACDプレーヤーやアンプ、AVセンターなどなど、StereoSound ONLINE読者が気になる多くの製品をリリースしているマランツ。同社は1953年の創業以来、様々な遍歴を経てその歴史を紡いできた。

 今回同社のご厚意でそれらの主立った時代の人気モデルを集めた展示を撮影することができたので、各時代のブランド背景と一緒にご紹介したい。当時の憧れのモデルや初のCDプレーヤーなど、マランツブランドの70年を超える名機の姿を楽しんでいただきたい。
※価格は発売当時の定価で、すべて税別です。

1951〜1964年 オールドマランツ時代

1951年 真空管式モノーラルプリアンプ「Audio Consolette」

画像1: 1951〜1964年 オールドマランツ時代

 1911年7月7日、ソウル・バーナード・マランツ氏が北米で生を受けた。ブルックリンでの少年時代に電気に興味を持ち、音楽愛好家となる。さらに自らクラシックギターやチェロの演奏を楽しむアマチュア音楽、レコード収集家、美術品コレクターなどなど、多彩な趣味人でもあった。

 そんな彼は1951年に個人的趣味として真空管式モノーラルプリアンプ「Audio Consolette」を製作、その後友人たちの間で評判となり、依頼を受けて製作するようになる。

 そして1953年、ソウル・バーナード・マランツ氏はニューヨーク州ロングアイランド市に「マランツ・カンパニー」を設立、工場を開いている。

1958年 真空管式ステレオプリアンプ「Model 7」(¥165,000、キャビネット付)

画像2: 1951〜1964年 オールドマランツ時代

 現在でも人気の高いマランツプリアンプの名機。ECC83/12AX7を6本使用。3段NF型イコライザー、NF型ステップ切替式トーンコントロールを採用する。

1960年 真空管式モノーラルパワーアンプ「Model 9」(¥300,000、スタンダードタイプ)

画像3: 1951〜1964年 オールドマランツ時代

 Model 7との組み合わせで一世を風靡したモノーラルパワーアンプの名機。6CA7/EL34パラレルプッシュプル構成の出力段を持ち、UL接続時で70W、3極管接続時で40Wの出力を備えていた。電源部はシリコンダイオードによる倍電圧整流方式。使用真空管は2-6DJ8/ECC88、1-6CG7、4-6CA7/EL34。

1962年 真空管式FM専用チューナー「Model 10B」(¥320,000)

画像4: 1951〜1964年 オールドマランツ時代

 マランツ初のFM専用チューナーで、メーターの代わりに小型スコープを搭載。マルチパス/チューニング・インジケーター用3インチ・オシロスコープ管を搭載していた。本機の開発に費用がかかりすぎて資金難に陥り、マランツ・カンパニーは1964年にスーパースコープに売却されることになる。

1963年 レコードプレーヤー「SLT-12」(¥159,000)

画像5: 1951〜1964年 オールドマランツ時代

 レコードの音溝(インサイドフォース)によってアームを送るリニアトラッキング方式アームを採用した、レコードプレーヤー。

1965〜1979年 スーパースコープ・マランツの時代

1976年 プリメインアンプ「Model 1250」(¥195,000)

画像1: 1965〜1979年 スーパースコープ・マランツの時代

 マランツを手に入れたスーパースコープ社社長ジョセフ・タシンスキー氏は、総合音響メーカーを目指す。1965年にはソリッドステート第一号のプリアンプ「Model 7T」を発売、以後多くのシリーズを発売する。

 1968年からは中級コンポやレシーバーの開発・生産を日本のスタンダード工業が担当。同社は後にスーパースコープ傘下となり、1975年に日本マランツに社名を変更している。

 この頃発売されたModel 1250は出力130W×2(8Ω)のプリメインアンプで、トライトーンコントロールやREC OUTセレクターを搭載、日本国内で大ヒットとなった。

1979年 レコードプレーヤー「TT1000」(¥390,000)

画像2: 1965〜1979年 スーパースコープ・マランツの時代

 8mm厚のアルミプレートと15mm厚の高密度ガラスで作られた3層のソリッドベースを含む意欲的なデザインが特徴のレコードプレーヤー。ダイナミック・バランス型のトーンアームを搭載した「TT1000」の他に、SME 3009 series IIIを搭載した「TT1000S」、トーンアームレスの「TT1000L」もラインナップされた。

※後編(8月18日公開予定)に続く

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