マランツのオーディオコンポーネントに、CDプレーヤー「CD6007」(¥50,000、税別)とプリメインアンプ「PM6007」(¥64,000、税別)が発売される。発売はどちらも9月中旬の予定。

 同社の6000シリーズは、普及価格帯ながら “最高のHi-Fiらしさ” が体験できる製品として国内はもとより海外でも評価を集めており、欧州のオーディオ雑誌が主催するアウォードにも入賞するなど人気が高い。

 新製品のCD6007とPM6007は日本では4年ぶりのモデルチェンジとなるが、実は欧州では2017年に「CD6006 UK EDITION」「PM6006 UK EDITION」が発売されており、今回はそれらをベースに音をチューンナップした、いわば二世代ぶんの進化を遂げたモデルとなる。

画像: 「CD6007」はフロントパネルのUSB Type-A端子からハイレゾソースの再生ができる。金メッキされた出力端子は余裕を持って配置されており、大型ケーブルの接続も容易だ

「CD6007」はフロントパネルのUSB Type-A端子からハイレゾソースの再生ができる。金メッキされた出力端子は余裕を持って配置されており、大型ケーブルの接続も容易だ

 まずCD6007の進化点から紹介しよう。

 一番のポイントは、D/Aコンバーターに、旭化成エレクトロニクスの2chプレミアムチップ「AK4490EQ」を採用している点にある。これは「AV8805」や「PM7000N」といった同社上位モデルでも採用実績のある、高品位デバイスだ。

 なおCD6007はフロントパネルのUSB Type-A端子からハイレゾソースの再生が可能で、その場合は192kHz/24ビットまでのリニアPCM(WAV/FLAC/AIFFなど)と5.6MHzまでのDSDに対応している。また新たにデジタルフィルター切り替え機能も装備され、再生する楽曲や好みに合わせて「フィルター1」(スローロールオフ)と「フィルター2」(シャープロールオフ)を切り替えて音の違いを楽しむことも可能だ。

画像: D/Aコンバーターチップの「AK4490EQ」はドライブメカ右横の基板に取り付けられている。その後段のアナログ回路は同社伝統のHDAM-SA2回路によるフルディスクリート構成を採用

D/Aコンバーターチップの「AK4490EQ」はドライブメカ右横の基板に取り付けられている。その後段のアナログ回路は同社伝統のHDAM-SA2回路によるフルディスクリート構成を採用

 そのD/Aコンバーター以降のアナログ出力回路には、フルディスクリート構成を採用。独自の高速アンプモジュールHDAM及びHDAM-SA2によって、フィルターアンプ兼送り出しアンプを構成している。またアナログオーディオ用電源回路に定電流回路を追加し、電源ラインのノイズを大幅に低減した。測定では100Hzで約30dBもの改善効果があったとかで、低域の再現性も向上している。

 ヘッドホンアンプには、HDAM-SA2型ディスクリート高速電流バッファーアンプとハイスルーレートオペアンプを組み合わせた本格的な仕様を採用。3段階のゲイン切替機能を搭載しており、接続するヘッドホンのインピーダンス、能率に合わせて最適値を選択できるという。

 また細かいことだが、この回路はヘッドホンジャックを挿した時に自動的にオンになる仕組みで、ヘッドホンを使っていない時は信号・電源供給を切ることでオーディオ回路への影響を最小限に抑えている。

 この他、アナログ回路電源用には新規に開発した2,200μFのエルナー製カスタム・ブロックコンデンサーを採用。アナログ出力回路にも、上級機と同様にオーディオグレードのフィルムコンデンサーや、金属皮膜抵抗や精密メルフ抵抗、低ESR導電性高分子コンデンサーなどの高品位パーツを多く搭載することで音質を磨き上げている。

画像: プリメインアンプ「PM6007」はアナログ入力4系統、デジタル入力3系統、フォノ入力を備える。入出力端子に加え、スピーカーターミナルにも金メッキ加工が施されるなど、音質への配慮も細かい

プリメインアンプ「PM6007」はアナログ入力4系統、デジタル入力3系統、フォノ入力を備える。入出力端子に加え、スピーカーターミナルにも金メッキ加工が施されるなど、音質への配慮も細かい

 一方のプリメインアンプPM6007も、CD6007と同様なチューニングが多く施されている。まずD/Aコンバーターチップは「AK4490EQ」を採用し、フィルター切り替え機能も搭載する。D/Aコンバーター以降のアナログステージは、HDAMによるローパスフィルター及びHDAM-SA2による出力バッファーを用いており、CD6007のアナログ出力回路と同等の構成となっている。

 なおDACチップを含めたデジタル入力基板は、周辺回路へのノイズ輻射を遮断するために専用のシールドボックスに封入。さらにデジタル回路の電源ラインには導電性ポリマーコンデンサーを用い、高周波ノイズを低減している。デジタル入力が選択されていないときは電源供給を停止し、アナログ入力の音質に影響を与えない設計を実現した。

 プリアンプ、パワーアンプ部には、上級機と同様にフルディスクリート構成の電流帰還型増幅回路として、プリアンプはHDAM-SA2を、パワーアンプはHDAM-SA3を搭載した。さらにPM6007では、温度変化に伴うアイドリング電流の変動を抑え、動作の安定性も改善された。

 アナログレコード再生用には、フォノイコライザー(MM)を搭載。入力部のカップリングコンデンサーを用いない回路構成とすることにより、鮮度の高いサウンドを可能にしている。前モデルのPM6006と比べても3kHz近辺では約10dBのノイズ改善が達成できているとかで、人の声の再現にも違いが出ているそうだ。

画像: 写真左上には上級モデルから継承した大型トロイダルトランスを搭載。右上のシールドされている部分がDACチップを含むデジタル回路だ

写真左上には上級モデルから継承した大型トロイダルトランスを搭載。右上のシールドされている部分がDACチップを含むデジタル回路だ

 その他、電源部には変換効率が高く漏洩磁束の少ない大型トロイダルトランスを採用。シールドケースに封入することで、不要輻射による周辺回路への影響と振動の発生を抑えている。またパワーアンプ用電源回路には新規開発された12,000μFのエルナー製カスタム・ブロックコンデンサーを採用し、ハイスピードで安定した電源供給を可能にしている。

 両モデルとも、サウンドマネージャーと音質担当エンジニアによる試作、試聴を繰り返し、細部に至るまで徹底したチューニングを施すことにより、6000シリーズとしてのサウンドをさらに一段高いレベルに引き上げているとのことだ。

 先日行われた発表会では、前モデルの「CD6006」「PM6006」との聴き比べもさせてもらった。チェロや女性ヴォーカル、ジャズ・フュージョンを再生したが、CD6007とPM6007の組み合わせでB&Wのスピーカー「802 D3」をドライブすると、L/Rスピーカー間に綺麗にステージが再現される。S/Nもよく、クリアーな空気の中で細かい音まできちんと再現されている印象だ。女性ヴォーカルも見事にセンターに定位して、声がいっそう艶やかに響いてきた。

画像: 両モデルともDACチップには旭化成エレクトロニクス「AK4490EQ」を搭載する(写真はPM6007の基板)。なおCD6007とPM6007を組み合わせる場合は、電源の余裕や投入された物量を勘案するとCD6007でディスクを再生した方が音質的には有利になるようだ。音の傾向はもちろん変わらない

両モデルともDACチップには旭化成エレクトロニクス「AK4490EQ」を搭載する(写真はPM6007の基板)。なおCD6007とPM6007を組み合わせる場合は、電源の余裕や投入された物量を勘案するとCD6007でディスクを再生した方が音質的には有利になるようだ。音の傾向はもちろん変わらない

「CD6007」の主なスペック

●再生周波数帯域:2Hz〜96kHz(192kHz)、2Hz〜20kHz(44.1kHz)、2Hz〜100kHz(DSD)
●再生周波数特性:2Hz〜50kHz(-3dB、192 kHz)、2Hz〜20kHz(44.1kHz)、2Hz〜50kHz(-3dB、DSD)
●S/N:110dB、110dB(DSD可聴帯域)
●接続端子:アナログ音声出力1系統(RCA)、デジタル音声出力2系統(同軸、光)、ヘッドホン出力1系統、USB Type-A、他
●消費電力:32W(待機時0.3W)
●寸法/質量:W440×H105×D341mm/6.5kg

「PM6007」の主なスペック

●定格出力:45W×2(8Ω、20Hz〜20kHz)、60W×2(4Ω、20Hz〜20kHz)
●全高調波歪率:0.08%(8Ω、20Hz〜20kHz)
●再生周波数特性:10Hz〜70kHz(+0dB、-1dB、CD、1W、8Ω)
●接続端子:デジタル音声入力3系統(同軸×1、光×2)、アナログ音声入力4系統(RCA)、フォノ入力1系統(RCA)、アナログ音声出力1系統(RCA)、サブウーファー出力1系統、ヘッドホン出力1系統
●消費電力:155W(待機時0.3W)
●寸法/質量:W440×H105×D370mm/7.8kg

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