オーディオファンなら一度はその名前を聞いたことがあるだろう「Double Woofers’」の会長にして、日々ご自身の音を探求し続けている永瀬宗重さん。StereoSound ONLINEでは土方久明さんのご紹介で、先日永瀬邸でハイレゾサウンドを体験させてもらった。

 詳しくは関連リンクの記事をご覧いただきたいが、永瀬邸のオーディオルームには合計9セットの大型・小型スピーカーが並び、それらをマルチアンプシステムで駆動するという、オーディオ好きにはたまらない憧れの空間となっている。

画像: 永瀬さんのオーディオルーム、東面にならんだスピーカー群。今回聴かせていただいた「Nautilus」はこの面の一番外側に置かれている(写真の調音材の後にあり)

永瀬さんのオーディオルーム、東面にならんだスピーカー群。今回聴かせていただいた「Nautilus」はこの面の一番外側に置かれている(写真の調音材の後にあり)

 そこでのルーミン「X1」やコード「DAVE+M Scaler」を使ったハイレゾの音ももちろん素晴らしかったのだが、取材後にひとつ残念に感じていたこともあった。

 というのも、永瀬さんはこの部屋でアナログレコードとハイレゾのふたつを楽しんでいるわけで、取材時にはアナログレコードをゆっくり聴かせてもらうことができなかったから。ということで、取材のお礼をかねて永瀬邸を再訪し、アナログレコードを試聴させてもらえないかとお願いしてみた。

 図々しいお願いにも関わらず永瀬さんからは即OKの返事。そこで弊社の新譜から『玉置浩二:群像の星《1stテイク 弾き語りヴァージョン》 』を持参して、音を聴かせてもらうことにした。というのも、永瀬さんは安全地帯もお好きで、『安全地帯ベスト』のアナログレコードをお褒めいただいていたからだ。

画像: レコードプレーヤーはテクニクス「SL-1000R」で、好みに応じて3種類のカートリッジを使い分けている。今回は写真上側のサエクのトーンアームとビクターのカートリッジを使用

レコードプレーヤーはテクニクス「SL-1000R」で、好みに応じて3種類のカートリッジを使い分けている。今回は写真上側のサエクのトーンアームとビクターのカートリッジを使用

 「僕は弾き語りというスタイルも大好きなんですよ」といいながら永瀬さんがレコードをセットしてくれる。今回の再生システムはレコードプレーヤーがテクニクス「SL-1000R」で、プリアンプがゴールドムンド「MIMESIS 22」。これをアキュフェーズ「DF-45」で帯域分割した後、ゴールドムンドのパワーアンプでマルチ駆動している。

 スピーカーはB&W「Nautilus」。今回Nautilusを選んでくれだのは、取材日に再生した音がとても自然でよかったからとのこと(取材の12時間前から電源を入れて音を鳴らしていてくれたとか。お心遣いに感謝です)。

 『群像の星』は先述した通り、玉置さんによる弾き語りで、誰もが知る名曲をカバーしている。その中から「みんな夢の中」「愛の賛歌」「あの素晴しい愛をもう一度」を聴かせてもらったが、Nautilusが再生した音は細かな質感まで感じさせるもので、玉置さんが弦をつまびく様子や、ギターのボディの共鳴が生々しい。もちろん玉置さんが喉を震わせる様も実にリアルだ。

画像: 再生機器やプリ、パワーアンプは西側の壁面にずらりと並ぶ。レコードプレーヤーも3台を使い分けている

再生機器やプリ、パワーアンプは西側の壁面にずらりと並ぶ。レコードプレーヤーも3台を使い分けている

 Nautilusという大型スピーカーから、ここまでの微細な情報を引き出し、かつクリアーな音像を再現してくれるあたり、永瀬さんの長年のオーディオ愛が充分に感じ取れる仕上がりだ。『群像の星』も充分に音質にこだわって仕上げたレコードだと自負してはいたが、これだけの超弩弓システムで聴かせてもらい改めて安心できた。

 わが家でもアナログレコードは聴いているが、永瀬邸の音とは次元が違う(もちろんわが家のレベルが低い!)。僕の嗜好もあってどうしてもサラウンドが主体になってしまうのだが、アナログレコードももっと研鑽しなくてはと強く反省した。

 永瀬邸での『群像の星』の印象について、ご本人からも以下のようなコメントをいただいたのでご紹介させてもらう。アナログレコードを楽しんでいる方は、ぜひご自宅で『群像の星』も聴いてみていただきたい。(取材・文:泉 哲也)

いいオーディオと、素晴らしい演奏の最高の出会い。
このレコード、一聴の価値大ありです (永瀬宗重)

 この度は、もの凄く好みに合うレコードを紹介いただき感激の極みです。

 安全地帯は、井上陽水さんのバックバンドの頃から知っていました。玉置浩二さんについても、神宮スタジアムでのライブ盤で「夏の終りのハーモニー」を聴いてから、歌のうまいシンガーとしてマークしていました。それが今回ギター弾き語りのアナログ盤として出たというのはギターファンとしてはすごくうれしいことです。

 今回は、最近好調なB&W Nautilusを前夜から試聴機として準備していましたが、音が出るや否や、身を乗り出しました。この渋いギターの音はマーチンじゃないなー、ギブソンかな? なんて口走りながら聴いていました。ついでに同席していた皆さんにマーチンの音はこうだよと、自分の下手なギターを聴かせた次第です。

 そして玉置浩二さんの歌は、ほとんどエコー無しの録音なのに、心に響く。まさに彼の独壇場です。歳がいって、枯れてきた声がますます渋みを出しています。小生はヴォーカルのレコードを一面通して聴くことは稀なのですが、試聴が終わってからも一人で聴き入って、途中で針を上げられませんでした。

 素晴らしい歌と音。正直な話、ここまで歌がいいと、音なんてラジカセで充分になっちゃうんですね。オーディオマニアとしては音のリアルさ、時には生以上のリアルさを追求していますが、やはりその前に演奏ですね。今回のアナログ盤に出会って、それも再確認した次第。

 選曲もまたいいですね。今はこの世にいない人たちの曲を集めています。フーテンの寅さんの「男はつらいよ」の語りでは、玉置さんの自分の生い立ちに言い換えていて、気取らない彼がますます好きになりました。

 そんなわけで、このレコード、一聴の価値大ありです。

画像: 「Double Woofers’」会長・永瀬宗重さんのオーディオルームで『玉置浩二:群像の星』を体験させてもらう。あまりに自然なギターとヴォーカルに、自宅の音を強く反省した

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