高画質液晶モニターで定評のあるEIZOから21.6型の4K有機ELモニター“FORIS NOVA”が発売された(直販のみで全世界500台限定)。サイズ表記からピンとくる方もおられると思うが、JOLED(ジェイオーレッド)製RGB印刷方式パネルが採用された小型モニターである。HDMI入力が2系統用意されており、ここではパナソニックのUHDブルーレイプレーヤーDP-UB9000を接続、UHDブルーレイ、ブルーレイ、4K放送録画BD-Rを再生し、その実力をチェックした。

 現在国内発売されている大画面有機ELテレビは、ご承知の通りすべてLGディスプレイから供給される白色蒸着パネルが採用されている。蒸着源によってパネル全面にRGBのEL(発光)層を積層形成して白色発光、RGBホワイトのカラーフィルターを組み合わせてフルカラーを得る仕組みだ。

 いっぽうパナソニックとソニーの有機EL開発部隊を母体とするJOLEDのRGB印刷方式は、RGB3色を印刷したEL層を、各発光ピークの波長成分を増強するマイクロキャビティに収め、TFT(駆動回路)に遮られない方向に光を取り出すトップエミッション構造を採っている。このRGB直接発光パネルは、白色蒸着+カラーフィルター方式よりも色純度の高さと色域の広さが期待できるわけだが、問題は量産の難しさ。4Kパネルの場合、約2400万サブピクセル(RGB×約800万画素)の微細な面積に個別印刷する困難さが立ちはだかるわけだ。

色の美しさ、精細度、立体感。RGB印刷ならではだ

 全暗環境のHiVi視聴室で、2H(画面高の2倍)くらいまで本機ににじり寄って、昨年末の『NHK紅白歌合戦』の4Kエアチェック映像を精査してみたが、色合いの豊かさ、おそろしいまでの精細感、ステージの深い陰影とMISIAのバックで踊るドラァグクイーンのキラキラ光るラメ入り衣裳の鮮やかさ、それらによって生成されるリアルな立体感に心を奪われた。21.6インチの窓に映し出される小人の国の住人たちが歌い踊る姿を見つめる気分は、まさにガリバーのそれ。神の視座から映像を見つめる特権的歓びを存分に味わった。とくに色の美しさは本機の真骨頂と言うべきで、朱から紅、緋色に至る赤系の色合いの豊富さは類を見ない。少なくとも現状の大画面有機ELテレビでは体験したことのない豊かな発色だ。

画像1: 4K有機ELモニター EIZO FORIS NOVA。RGB印刷方式の21.6型有機EL登場! 超精細画質の「箱庭」を嗜む
画像2: 4K有機ELモニター EIZO FORIS NOVA。RGB印刷方式の21.6型有機EL登場! 超精細画質の「箱庭」を嗜む

電源ボタンや音量などは支柱のサイド部分に、そしてボトム部分にHDMIやバッテリー供給の端子が配置されている

画像3: 4K有機ELモニター EIZO FORIS NOVA。RGB印刷方式の21.6型有機EL登場! 超精細画質の「箱庭」を嗜む

支柱の逆サイドにはUSBポートなどが配置される。画面の傾きは、11〜30度で調節ができる

 本機は画面下にスピーカーが内蔵されている。しかしこの音があまりにひどいので、HiVi編集部にあったJBL製アクティブスピーカーを両脇にステレオ配置、『紅白〜』のほかいくつかの映画ソフトを楽しんだが、悦楽の仙境に遊ぶ閑雅な気分が味わえ、深い精神的満足感が得られた。「立って半畳、寝て一畳」、壺中の天で遊ぶデスクトップAVスタイル、これは趣味として絶対アリだと思う。

 では本機使いこなしのポイントを記しておこう。本機の映像調整項目(カラー調整と表記)は「ブライトネス」「色温度」「超解像(オン/オフ)」のほか「ゲイン調整」があり、RGBレベルの個別制御にてホワイトバランスの微調整が可能だ。HDR関連では「PQ1」「PQ2(階調重視)」「PQ Hard Clip」の3ポジションがある。ここではパナソニックUB9000のトーンマップ機能を使うことにし、「PQ Hard Clip」に設定した。

画像: パナソニックUB9000(BDプレーヤー)のトーンマップ機能を使用するため、UB9000の初期設定画面で「HDRディスプレイタイプ」を『ベーシックな輝度のプロジェクター』にした

パナソニックUB9000(BDプレーヤー)のトーンマップ機能を使用するため、UB9000の初期設定画面で「HDRディスプレイタイプ」を『ベーシックな輝度のプロジェクター』にした

画像: HDR10コンテンツを表示する際、今回のように出力機器側でトーンマッピングを行なう場合は、FORIS NOVAのHDR設定を『PQ Hard Clip』にしておく。330nit以上をクリップさせる設定だ

HDR10コンテンツを表示する際、今回のように出力機器側でトーンマッピングを行なう場合は、FORIS NOVAのHDR設定を『PQ Hard Clip』にしておく。330nit以上をクリップさせる設定だ

 スペックを見ると、本機の最大輝度は330cd/㎡(=nit)。UB9000がプリセットしている最大輝度設定の『ベーシックな輝度のプロジェクター』が350nitなので、このポジションに固定、トーンマップ機能をはたらかせてUHDブルーレイのHDR10コンテンツを鑑賞した。

 4Kコンテンツもブルーレイも「ブライトネス」はデフォルトの最大値『100』、「色温度」も初期値の『6500K』、「超解像」は『オフ』で間然するところがない見事な画質が得られた。2Kのブルーレイでよかったのは映画『コールド・ウォー/あの歌、2つの心』。キレのよい美しいモノクローム映像が醸しだす詩情の豊かさに心揺さぶられる思いがした。

 この発色のよい超高精細画質で税抜35万円、全世界500台限定? あっと言う間に売り切れ必至だろう。ミクロコスモスの箱庭で想像力の翼を広げたいという高画質マニアは、急いだほうがいいと思います。

画質の調整は、リモコンの「SIGNAL」「MODE」「HDR」で行なう

画像: 色の美しさ、精細度、立体感。RGB印刷ならではだ

4K OLED Display EIZO FORIS NOVA
オープン価格(EIZOダイレクト販売価格¥350,000+税)
●解像度:水平3,840×垂直2,160画素 
●接続端子:HDMI入力2系統、ほか
●寸法/質量:W525.8×H318.5〜358.5×D139.7〜285mm/約3.2kg
●消費電力:58W(待機時0.5W以下) 
●問合せ:EIZOコンタクトセンター ︎0570(200)557

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