映画評論家 久保田明さんが注目する、きらりと光る名作を毎月、公開に合わせてタイムリーに紹介する映画コラム【コレミヨ映画館】の第38回をお送りします。今回取り上げるのは、昭和な雰囲気が満載の『星屑の町』。熱き昭和40~50年代の名曲が楽しめる珠玉の一作。ヒロインののんもいい味を出しています。とくとご賞味ください。(Stereo Sound ONLINE 編集部)

【PICK UP MOVIE】
『星屑の町』
3月6日(金)よりテアトル新宿、丸の内 TOEIほかにて全国公開

画像1: 【コレミヨ映画館vol.38】『星屑の町』 笑って泣いて、そして歌って。昭和の名歌謡曲が満載の人生応援シネマ!

 笑いとペーソス。昭和ムード歌謡ならではの、セロハン紙みたいなスポットライト。山並みに流れるコーラス。おじさん世代だけではないだろう。観たあとホッコリしてしまう人生応援映画の痛快作!

 1994年から25年間にわたって愛されてきた舞台「星屑の町」(全7作)初の映画化。舞台でのオリジナルメンバー6人(大平サブロー、ラサール石井、小宮孝泰、渡辺哲、でんでん、有薗芳記。全員揃っているのがスゴい!)が集結して、「山田修とハローナイツ」のわびしくも愉快なドサ回りの日々が描かれてゆく。

 タイトルの「星屑の町」は三橋美智也、1962年(昭和37年)のヒット曲から取られたもの。なんせオリジナル曲が「MISS YOU」ひとつしかないので、ハローナイツのステージは「お待たせしました。歌は世につれ世は歌につれ」の、昭和歌謡コーラス曲のオンパレードだ。

 内山田洋とクール・ファイブのカバーで知られる「中の島ブルース」(昭和50年)、島倉千代子の大ヒット曲「ほんきかしら」(昭和41年)、平和勝次とダークホースの「宗右衛門町ブルース」(昭和47年)。

 そこに舞台版にも出演していた女性歌手・キティ岩城役で戸田恵子が加わって、由紀さおりの「手紙」(昭和45年)、加藤登紀子やちあきなおみが歌ったバラード「愛のくらし」(昭和46年)といった名曲をしっとりと歌い上げる。

画像2: 【コレミヨ映画館vol.38】『星屑の町』 笑って泣いて、そして歌って。昭和の名歌謡曲が満載の人生応援シネマ!

 もうひとり、映画版のオリジナル・キャラで、のんが2014年の『海月姫』以来の実写映画出演。東北の田舎町で歌手を夢見る娘、愛ちゃんとして、ピンキーとキラーズの「恋の季節」(昭和43年。懐かしいにゃあ!)や、ザ・ピーナッツや伊藤ゆかり風の洋楽カバーテイストの新曲「シャボン玉」を歌う。カラフルでレトロな昭和のドレス姿が、のんの持ち味にぴったり。ふたりの歌姫を支えるハローナイツを演じるベテラン俳優たちも好演である。

画像3: 【コレミヨ映画館vol.38】『星屑の町』 笑って泣いて、そして歌って。昭和の名歌謡曲が満載の人生応援シネマ!

 演出は1981年の『の・ようなもの』から遺作の『僕達急行 A列車で行こう』(2011年)まで、助監督として森田芳光作品を支えつづけた杉山泰一。笑いのなかに品があり、役者の魅力を過不足なく伝えるのは森田監督の遺伝子だろう。

 気になるおねえちゃんを誘って出かけてみましょう。とても楽しい娯楽映画なので、昭和を知らない子にも受けるはず。ひととき夢を見るにはぴったりです!

『星屑の町』

3月6日(金)よりテアトル新宿、丸の内 TOEIほかにて全国公開
監督:杉山泰一
出演:大平サブロー ラサール石井 小宮孝泰 渡辺哲 でんでん 有園芳記 戸田恵子 のん/菅原大吉/戸田恵子 小日向星一 相築あきこ 柄本明
配給:東映ビデオ
配給協力:イオンエンターテイメント
2019年/日本/1時間42分/シネマスコープ
(C)2020「星屑の町」フィルムパートナーズ

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