映画本編は観たことないけれど、テーマ曲はよく知っているという作品は案外多いのではないだろうか。

 『007』『ロッキー』『スター・ウォーズ』などなど、これらのテーマ曲は作品を超えて、様々なテレビ番組のBGMやスポットで耳にしているはず。中には“え、これって映画のテーマだったの”なんていう人もいたりするわけです。

 そんな“テーマ曲先行”作品の最たるものが、今回UHDブルーレイでチェックした『バックドラフト』だろう。1991年公開作で、ユニバーサルスタジオにアトラクションができるくらいメジャーな作品なのだけど(アメリカの施設は2010年で終了。現在はUSJにあり)、日本では、あの料理番組のテーマとしての方が、よく知られている。

 お話はシカゴを舞台に、殉職した父の後を継いで消防士になった兄弟の葛藤と、そこにからむ連続放火犯、そして政治の闇……というもので、アクション&サスペンス作品として今観ても充分楽しめます。

 中でも火災現場の迫力とサラウンド効果が秀逸で、当時のLD(レーダーディスク)はホームシアターでのヘビーローテーションディスクとして活躍したもの。ちなみに監督はロン・ハワードで、視覚効果はILMが担当したことも話題になった。

画像: 『バックドラフト』 ●製作:1991年●本編:137分●映像圧縮方式:HEVC●音声:英語(DTS:X)、日本語(DTS)●画面サイズ:1.78対1 (C) 1991 UNIVERSAL CITY STUDIOS, INC. AND IMAGINE FILMS ENTERTEINMENT, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

『バックドラフト』●製作:1991年●本編:137分●映像圧縮方式:HEVC●音声:英語(DTS:X)、日本語(DTS)●画面サイズ:1.78対1 (C) 1991 UNIVERSAL CITY STUDIOS, INC. AND IMAGINE FILMS ENTERTEINMENT, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 で、その映像とサウンドは、4K UHDブルーレイでどう蘇ったのか。

 まず画質は、すっきりしたクリアーさを志向している。1991年なので撮影は35mmフィルム(一部の上映ではブルーアップした70mmもあったとか)のはずだけど、グレインは抑えられてほとんど目につかない(バックの青空などで若干見える)。色使いはもともと全体に抑えたトーンで、派手さはないが、いぶし銀というか、色に厚みを感じる。

 消防車の赤いボディ、ライトが当たった時の艶や光沢の再現が綺麗。カート・ラッセル、ウィリアム・ボールドウィンの髪の毛のトーンの違いも描き出すし、衣装の質感もいい。

 そして問題の火災現場。Ch(チャプター)4〜の初出動シーンでは、炎のオレンジが強烈。今となっては合成とわかってしまうシーンもあるが、それでも圧巻の迫力。レンガの濡れた壁面、すすけた顔もリアルだ。

 Ch13〜、クライマックスの化学工場の火災も、吹き寄せる炎に体がすくむほどの迫力を感じる。LDは当然として、DVDやブルーレイの時代よりも赤やオレンジの色の階調が増えていて、その結果、炎のリアリティが増したということだろう。「火に意思がある」というデ・ニーロの言葉も納得。

 ちなみにCh15〜葬儀のシーンで、LD時代から雨粒が見えるかどうかが話題になっていたけれど、今回のUHDブルーレイでも識別できなかった。ノイズに見えないように消しているのか、それとももともあまり降っていなかったのか、その謎は残った次第。

 続いて本作のキモともいえるサウンドはどうか。火災シーンでは、炎の迫力を増すために、音に動物(熊や虎だったはず)の咆吼をミックスしたといわれていたが、そのすさまじさは約30年経っても変わっていない。

 もちろんサウンドデザインは時代なりで、DTS:X収録になってはいるけれど、最新作のような包まれ具合とまではいかない。しかし頭の上を電車が走り抜けていくといったシーンの音作りはていねい。音楽が頭上から響いてくる点を含めて、サラウンドを意識した音作りがされている。

 先述の炎は、Ch4〜の勢いのある火事場の音、Ch10〜高層ビルの天井を炎が走る不気味な効果、Ch11〜ガス漏れから爆発につながる緊張感、Ch13〜ビルが壊れる際の衝撃音や主人公がエレベーターシャフトに落下する水音、連続した爆音があちこちから轟いてくる恐怖、といった具合に、これでもかといった演出で迫ってくる。ここは絶対サラウンドで聴かないと損します!

 最新作に慣れた耳には、もっと重低音や迫力が欲しいと思えてしまうかもしれないが、生音を使ってこれだけの怖さを感じさせるサウンドには改めて敬服。

 『バックドラフト』は、ストーリー、画質、サラウンドのどのポイントでも、時代を超えて楽しめる一枚だと思う。(取材・文:泉 哲也)

案外シンプルだったCGに驚く!? 2003年版『ハルク』で映像の進化を再確認

画像: 『ハルク』 ●製作:2003年●本編:138分●映像圧縮方式:HEVC●音声:英語(DTS:X)、日本語(DTS)●画面サイズ:1.78対1 THE HULK AND RELATED COMIC BOOK CHARACTERS TM & (C) 2003 MARVEL CHARACTERS, INC. (C) 2003 UNIVERSAL STUDIOS. LICENSED BY UNIVERSAL STUDIOS LICENSING LLLP.

『ハルク』●製作:2003年●本編:138分●映像圧縮方式:HEVC●音声:英語(DTS:X)、日本語(DTS)●画面サイズ:1.78対1THE HULK AND RELATED COMIC BOOK CHARACTERS TM & (C) 2003 MARVEL CHARACTERS, INC. (C) 2003 UNIVERSAL STUDIOS. LICENSED BY UNIVERSAL STUDIOS LICENSING LLLP.

 マーベルの「アベンジャーズ」シリーズですっかり陽気なオジサンとなってしまったハルクだが、こちらは2003年制作で、アベンジャーズシリーズシリーズには入っていない、監督:アン・リー、主演:エリック・バナ版。

 アメリカの映画サイトIMdBによると撮影は35mmフィルムとのことで、UHDブルーレイはそこから4Kスキャンして作られていると思われる。

 こちらも『バックドラフト』同様にグレインを抑えたすっきり目の映像。変身前のブルース・バナー(エリック・バナ)の肌のあばたや、ひげのそり跡がリアル。一方でベティ(ジェニファー・コネリー)の肌は化粧っけのないナチュラルな様子がとても綺麗に再現されている。

 怒りともにブルースがハルクに変身した後の描写は、さすがに時代を感じる。研究所での拘束シーンやその際のハルクの肌の階調が粗く、当時のCGの限界が4Kで描き出されてしまったということだろう。また、画面のカット、切り替えが時代の雰囲気表している。

 サラウンドはDTS:Xで収録。今回は7.1.4環境で再生したが、Ch11〜の初めてハルクに変身するシーンでは、サラウンドやトップスピーカーからも結構な低音が出てきた。演出として面白いが、これらのチャンネルに小型スピーカーを使っている方は注意が必要かも。

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