クリプトンから、同社スピーカーの人気モデル「KX-5P」の後継機となる「KX-5PX」と、スピーカーケーブルの新製品が3種類発表された。それぞれの価格は以下の通りで、すべて10月下旬の発売を予定している。

●スピーカーシステム
KX-5PX ¥498,000(ペア)
●スピーカーケーブル
SC-HR2000 ¥14,500(1m、税別)
SC-HR1500 ¥12,000(1m、税別)
SC-HR1300 ¥8,000(1m、税別)

画像: 左から新製品「KX-5PX」、従来モデルの「KX-5P」、マルチメディアスピーカー「KS-9Multi+」

左から新製品「KX-5PX」、従来モデルの「KX-5P」、マルチメディアスピーカー「KS-9Multi+」

 クリプトンは、2005年に初のスピーカーシステム「KX-3」を発売して以来、14年間で15機種のKXスピーカー(仕上げの違いを含む)を発売してきた。そして今回のKX-5PXが16モデル目、KX-5シリーズとしては3世代目となる。

 クリプトンオーディオ事業部長の渡邉勝さんによると、KX-5シリーズは同社製2ウェイブックシェルフスピーカーの中でも人気の高いモデルで、型番の「X」には今後も長く続けていきたいという願いも込められているそうだ。

 では、KX-5PからKX-5PXはどこが変わったのか。「密閉型」「アルニコマグネット」「クルトミューラーコーン」といういわゆるクリプトンの3種の神器はKX-5Pから継承され、ユニットやネットワーク、エンクロージャーも変わっていない。

画像: KX-5PXの内部構造。ネットワーク基板からふたつのユニットにつながっているケーブルが変更されている

KX-5PXの内部構造。ネットワーク基板からふたつのユニットにつながっているケーブルが変更されている

 今回のKX-5PXで変更されたのは、ネットワークからウーファー、トゥイーターにつながる内部配線が、これまでのPCOCC-Aを使った素材(同社のスピーカーケーブルSC-HR1000と同じもの)から、PC Triple-Cを使ったケーブルになった点だ。

 正確にはトゥイーター用とウーファー用もそれぞれ別々のケーブルが使われており、トゥイーター用にはマグネシウム芯線の外側にPC Triple-Cの線を6本撚り合わせたケーブル(後述のSC-HR1300と同じ)を、ウーファー用にはポリエチレン芯にPC-Triple Cを7本ツイストし、6束をロープ撚りしたケーブル(同SC-HR1500と同じ)が使われている。今回は、それぞれのケーブルが持つ音質的特長を吟味の上、トゥイーターとウーファーそれぞれに組み合わせたという。

 ちなみにクリプトンではKX-5Pで使っていたPCOCC-Aの線材を相当量ストックしていたが、とうとうそれがなくなってしまったのだそうだ。そのためKX-3PとSC-HR1000は今の在庫分で販売終了になる模様だ。

 そして同じく新製品となるスピーカーケーブルは、先述した通りPCOCC-Aがなくなってしまったことを受け、1年弱かけて作成している。

画像: 新製品のスピーカーケーブル。基本的には店頭での切り売りとなる

新製品のスピーカーケーブル。基本的には店頭での切り売りとなる

 SC-HR1300は、直径0.7mmの純マグネシウムのまわりに、同じく0.7mmのPC-Triple Cを6線ツイスト巻きした構造となる。絶縁皮膜はポリエチレンだ。ケーブル直径は9.8mm。高域の微小信号をマグネシウム芯線とポリエチレンパイクが吸収し、滑らかで透明感のある高域が再生できるという。渡邉さんによると、高域が耳に付くようなスピーカーと組み合わせると、落ち着いたバランスのいい音になるだろうとのことだ。

 SC-HR1500は、空洞のポリエチレン芯(直径1mm)に、0.33mmのPC-Triple Cを7本ツイスト、その6束をロープ撚りにした構造だ。こちらも絶縁被膜はポリエチレンで、周囲には絹糸を巻いて振動を吸収している。SC-HR1500は量感がある、エネルギッシュな低音を再生し、S/Nにも優れるという特長を持つ。スピーカーを鳴らして音のフォーカスが甘いと感じた場合などに使ってみて欲しいと渡邉さんは話していた。

 そして最後のSC-HR2000は、SC-HR1300とSC-HR1500を組み合わせた、バイワイアリング用ケーブルとなる。1本のケーブルの中に、構造の異なるケーブルが2ペア納められており、それを絹糸の介在で包んでいる。高域用はグリーン(+)とホワイト(-)、低域用がレッド(+)とブラック(-)に色分けされている。

画像1: HiViベストバイの定番スピーカーが、4年ぶりにモデルチェンジ。ニューモデル「KX-5PX」はピアニッシモと音場感情報の再現性を改善。3種類のスピーカーケーブルも同時発表

 本日開催された発表会で、KX-5PとKX-5PX、さらにそれぞれのスピーカーケーブルでどのように音が変化するかを聴かせてもらった。渡邉さんによると、KX-5PXの設計の狙いは、ピアニッシモと音場感情報を出したいという点にあったそうで、その狙いがどう反映されているかに注目した。

 ハイレゾ音源で女性ヴォーカルやクラシックを再生してもらったが、KX-5Pも充分に低域感や情報量を備えた、ハイレベルの音を聴かせてくれる。さすがHiViベストバイで長年1位を続けているだけのことはある。特に女声についてはふくよかさ、かわいらしさも感じられ、とても魅力的だ。

 スピーカーをKX-5PXに交換すると、ピアノの低音の密度が上がり、切れもよくなる印象。同時に高域の張り出しが強くなって、管楽器などがより高域まで抜けていくように感じた。

 内部配線の交換でこんな風に音が変化するとは不思議だが、組み合わせるアイテムによる音の変化を楽しむのがオーディオ趣味だと考えると、KX-5PXも正しい進化モデルといえるだろう。

 その後、KX-5PXを使って、SC-HR1300、SC-HR1500、SC-HR2000による音の違いも確認させてもらった。HR1300は若々しく、切れのあるサウンドで、女性ヴォーカルに勢いがつく。HR1500になると情報が増えて、音場にゆとりが出てくる。そしてHR2000では、空間がすっと広くなり、女声に厚みがでて肉感的に感じられた。

 なおスピーカーケーブルについては、基本的には店頭での切り売り(1m単位)となるが、クリプトンのオンラインサイトでは、端末処理と長さを指定したオーダーも可能だという。気になる方は一度同社サイトも確認してみて欲しい。

画像2: HiViベストバイの定番スピーカーが、4年ぶりにモデルチェンジ。ニューモデル「KX-5PX」はピアニッシモと音場感情報の再現性を改善。3種類のスピーカーケーブルも同時発表

 最後に、マルチメディアスピーカーの「KS-9Multi+」で、MQA-CDのデモも行なわれた。ここでは先日のワーナーMQA-CD発表会と同様に、HDMIケーブルと光デジタルケーブルでも音が違うといった点を確認したが、全体の印象としては、やはりHDMI接続の方がヌケがよく、フォーカスが上がったように感じられた。

 ちなみに渡邉さんによると、昨日発表のあったAmazon Music HDについても、Fire TV StickなどのデバイスをKS-9Multi+に直接挿すことで、簡単にハイレゾとして楽しめるそうだ。映像作品の場合はKS-9Multi+のHDMI出力をテレビにつなげば、音はKS-9Multi+、絵はテレビで再生されるわけで、シンプルながら高品質な2chシステムが構築できることになる。

 KS-9Multi+の活用法もまだまだ広がりそうだ。

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