ネットワークオーディオ機器を積極的に展開しているLUMIN(ルーミン)は、香港に拠点を置き、米国ロスアンジェルスに販社を持つPixel Magic Systems Limited(2003年設立)傘下の高級オーディオ・ブランド。

 昨年わが国に登場した旗艦モデル「X1」(¥2,000,000、税別)をステレオサウンド誌209号の新製品紹介ページで試聴、その力感あふれるダイナミックなサウンドに魅了され、リンのKLIMAX DSを10年ほど愛用してきたぼくの脳裏に、ルーミンのブランド名は深く刻み込まれることとなった。

 音を聴くまで「ルーミン? どうせリンの猿まねブランドでしょ。見た目そっくりだし……」と見下していたのだが、KLIMAX DSのノーブルな音とはひと味違うX1の鮮烈なサウンドに触れ、ぼくは大きな衝撃を受けたのだった。やはり音を聴かないで、偏見でものを言っちゃいけません。反省反省。

ネットワークトランスポート LUMIN U1 MINI
¥280,000円(税抜、Silver)、¥308,000円(税抜、Black)

画像: LUMINのネットワークプレーヤー「U1 MINI」を自室で体験し、そのパフォーマンスに驚いた。メリディアンDACとの“ネットワークオーディオ時代の新黄金の組合せ”も堪能!

●接続端子:Ethernet(1000Base-T)1系統、USB端子2系統、デジタル音声出力4系統(光、RCA同軸、BNC同軸、AES/EBU)
●対応サンプリング周波数/ビットレート:
 USB接続時=PCM 44.1kHz〜384kHz/16〜32ビット、DSD 11.2MHz/1ビット
 デジタル出力時=PCM 44.1kHz〜192kHz/16〜24ビット、DSD 2.8MHz/1ビット
●サポートフォーマット:DSD(DSF、DIFF、DoP)、FLAC、ALAC、WAV、AIFF、
 MP3、AAC、MQA
●寸法/質量:W300×H60×D244mm/2.5kg

画像: コントロールアプリ LUMIN APP (無料) ●サポートデバイス:iPad(v2以上)/iOS8.0以上推奨/Retinaディスプレイ対応、Android 4.0以上推奨 ●特長:MQAサポート、Tidal/Qobuz/TuneInラジオネイティブサポート、ハイレゾリューションアートワーク対応、AirPlay対応、マルチタグ対応('Composer'タグ含む)、プレイリスト保存(Tidal, Qobuz含む)、検索機能を用意

コントロールアプリ LUMIN APP(無料)
●サポートデバイス:iPad(v2以上)/iOS8.0以上推奨/Retinaディスプレイ対応、Android 4.0以上推奨
●特長:MQAサポート、Tidal/Qobuz/TuneInラジオネイティブサポート、ハイレゾリューションアートワーク対応、AirPlay対応、マルチタグ対応('Composer'タグ含む)、プレイリスト保存(Tidal, Qobuz含む)、検索機能を用意

LUMIN U1 MINIのお得なキャンペーンも開催中

 LUMINの輸入販売を手がけるブライトーンでは、X1やU1 MINIなどの一部製品を対象に、消費税増税直前スペシャルキャンペーンを実施している(2019年9月30日まで)。期間中に特設注文サイトから対象製品を購入すると、様々な特典がついてくるというものだ。ぜひ以下のページから詳細を確認していただきたい。

 その後、今年に入ってルーミンからD/Aコンバーター(DAC)セクションを持たないコンパクトなネットワークトランスポート「U1 MINI」(¥280,000、税別、シルバー仕上げ)が発売された。ステレオサウンド211号の取材で対面し、その音の可能性とともに、コストパフォーマンスの高さと最近ぼくが強い興味を抱いているMQA対応など機能面で大きな魅力を感じた。

 「これはぜひ一度自室のコード『Dave』と組み合わせてじっくり聴いてみたい」との思いを抱いていたら、今回ステレオサウンドオンラインの取材で自宅試聴が実現することに。数日間に渡ってU1 MINIでさまざまな音楽ファイルを聴いたインプレッションを記してみたい。

 加えて、愛用中のDaveの他にもう1台単体DACをお借りし、U1 MINIとの組合せを試してみた。「Meridian 218」である。¥125,000(税別)というお手頃価格の製品だが、MQAフルデコード再生が可能な注目製品だ。この製品のインプレッションは、このリポートの後半で述べようと思う。

 U1 MINIの佇まいはとても美しい。横幅300mmのコンパクトサイズだが、フロントパネルは10mm厚のアルミの無垢で、ボディはアルミ押出材。価格を考えれば贅を尽くした造りと言っていい。

画像: 山本さんはリファレンスDACとしてコード「DAVE」を愛用している。まずはU1 MINIのUSB出力をDAVEにつないで音の違いを確認してもらった。NASはデラ「N1A/2」を使用

山本さんはリファレンスDACとしてコード「DAVE」を愛用している。まずはU1 MINIのUSB出力をDAVEにつないで音の違いを確認してもらった。NASはデラ「N1A/2」を使用

 本機は先述の通り、DAC回路を持たないネットワークトランスポートだが、ハイレゾ対応は万全。2系統設けられたUSBインターフェイスでは、PCMは384kHz/32ビット(WAV/FLAC/ALAC/AIFF他)、DSDは11.2MHz/1ビット(DSF/DIFF/DoP)までサポートする。

 それから同社独自の「Lumin App」がとても充実している。先述したMQA対応の他、CDクォリティ以上で音楽配信する定額制ストリーミングサービスのTIDAL(タイダル)、qubus(クーバス)をサポート(Spotifyも)、またその使いやすさも出色だ。加えて昨今注目を集めている画期的な音楽管理・再生ソフトRoon(ルーン) レディ仕様も見逃せないポイントだろう。

 TIDALは2014年10月に始動した、CDクォリティ(44.1kHz/16ビット/FLAC)以上を保証する定額制音楽配信サービス(月々19.99ドル/約¥2,000)。世界数十ヵ国で展開されているが、4年以上経った今なお、なぜかわが国では正式なサービスが開始されていない。

 ぼくはリンのアプリ「kazoo(カズー)」がTIDALのスタートと同時にそのサポートを始めたことを知り、その楽曲数の多さ(スタート時で4,000万曲以上!)とCDとなんら変わらない高音質が実現されていることに衝撃を受け、2015年にアカウントを取得、以後毎日のようにこのストリーミングサービスで、あらゆるジャンルの音楽を縦横無尽に楽しんでいる(日本未上陸ゆえ邦楽はほとんどないが、洋楽のポップス、ロック、ジャズ、ワールドミュージック、クラシックは充実している)。

 その後、TIDALはMQA音源の配信を開始することになるのだが、残念ながらぼくが常用するリンのネットワークプレーヤーもコードのDACもMQAに対応していない。

画像: 「LUMIN APP」をインストールしたiPad miniで設定や楽曲の選択を行なう。その操作性も快適とのこと

「LUMIN APP」をインストールしたiPad miniで設定や楽曲の選択を行なう。その操作性も快適とのこと

 様々な場所でMQA音源に触れ、その音のよさとコンセプトの面白さに魅了されつつあったぼくが、本機U1 MINIを自室で聞いてみたかった理由は、じつはこんなところにもあったりするのだ。

 MQAはMaster Quality Authenticated(マスタークォリティを保証する)の頭文字。独自の折り紙理論によって、ハイレゾ音源のファイルサイズを小さくしながら高音質を実現するというもの。先進的なハイエンドオーディオ・メーカー、メリディアン(英国)の創設者ボブ・スチュワートが発案したこのフォーマットには、デジタル信号送出時にビットタイミングを揃えて時間軸精度を向上させるというひじょうに興味深い提案も含まれている。

 ではさっそくU1 MINIの音を聴いてみよう。ネットワークにつながった音楽専用NASのデラ「N1A/2」と本機をLAN接続、本機のUSB端子をコードDaveとつなぎ、DaveのXLRバランス出力を愛用プリアンプのオクターブ「Jubilee pre」に接続しての試聴である(パワーアンプはオクターブ『MRE220』、スピーカーはJBL『K2 S9900』+エニグマアコースティクス『Sopranino』)。

 これまで自室では、N1A/2のUSB DAC接続機能を活かして、Daveとのダイレクト接続でハイレゾファイルを聴いていたので、適宜つなぎ替えて比較試聴してみた。

 テストソースによく使っている『バーレイ/リズ・ライト』『ドント・ゴー・トゥ・ストレンジャーズ/ジェームソン・ロス』(ともに96kHz/24ビット/FLAC)やステレオサウンド社の<ハイレゾリューション・マスターサウンド>シリーズから『ホルスト:組曲<惑星>/メータ指揮ロサンゼルス・フィル』『J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲/ヤーノシュ・シュタルケル』(ともに11.2MHz/DSD)などを聴いてみた。

画像: メリディアンの単体D/Aコンバーター「Meridian 218」。定価¥125,000(税別)ながら、11.2MHzのDSDやMQAデコード機能を備えた注目モデルだ。MQAデコード時には本体右端のLEDが点灯する

メリディアンの単体D/Aコンバーター「Meridian 218」。定価¥125,000(税別)ながら、11.2MHzのDSDやMQAデコード機能を備えた注目モデルだ。MQAデコード時には本体右端のLEDが点灯する

 結論を先に言うと、従来のN1A/2+Dave間に本機U1 MINIを組み込むことで、再生品位は格段に向上した。なんというか音に背骨が1本通った感じで、低域の安定感、音の厚み、音の張り出しが俄然よくなるのである。とくに実使用上もっとも好ましく感じたのは、小音量再生時に音痩せがないことだった。

 安価なパッシブ・フェーダーから良質なプリアンプに換装したときと同じような音質向上ぶりと言えば、ベテランのオーディオファイルにはご理解いただけるかもしれない。聴き比べると、これまで満足して聴いていたN1A/2+Daveの音が遠く、実在感が薄く感じられるのだからオーディオはオソロシイ。

 『バーレイ』冒頭の天地をどよもす大太鼓の確かな手応え、ジェームソン・ロスの厚みのあるヴォーカルの艶やかさなどがU1 MINIを加えることでよりいっそう明らかになるのである。

 1971年にUCLAのロイス・ホールで収録された『惑星』のオーケストラの迫力はハンパではないし、ホールの波動とも思える低域のリアリティは、従来のN1A/2+Daveではここまで生々しく感じ取れなかった。チェロを弾くシュタルケルが眼前に現れたかのようなイリュージョンが堪能できる無伴奏チェロ組曲の再生音にも心がはずんだ。さすがの名録音であり、最高峰のハイレゾ=11.2MHzファイルの魅力である。

画像: Meridian 218はUSB入力を搭載していないので、今回はU1 MINIと同軸デジタルで接続した。この状態で、MQA音源をフルデコードしたクォリティで楽しめる(U1 MINIの出力設定に注意すること)

Meridian 218はUSB入力を搭載していないので、今回はU1 MINIと同軸デジタルで接続した。この状態で、MQA音源をフルデコードしたクォリティで楽しめる(U1 MINIの出力設定に注意すること)

 では次にMQA音源を聴いてみよう。ワーナーから登場したMQA-CD『浪漫/リッキー・リー・ジョーンズ』『ブルー/ジョニ・ミッチェル』のリッピング・ファイル、e-onkyoからダウンロードした『アルボロス/アヴィシャイ・コーエン』『Tenderly/Moon』のMQAファイルのほか、TIDALで聴ける音源などを取り混ぜて聴いてみる。

 操作アプリはLumin Appを使用したが、このアプリのTIDAL操作画面には<Masters>というフォルダーがあり、ここを開くとTIDALにアップロードされた最新のMQA音源がずらりと表示される(TIDALには現在約15,000タイトルのMQA音源が存在するという)。

 ちなみにコードDaveのようなMQA非対応のDACと接続した場合、U1 MINIはMQAコアデコードを行ない、最大96kHz(or 88.2kHz)/24ビットでDACに転送することになる。MQAフルデコード可能なDACと接続した場合は、未処理のMQAストリームを転送、384kHz(or 352.8kHz)/24ビットまでの再生が可能になる。

 なお、U1 MINIでMQAコアデコードをさせるためには、Lumin AppのMQA Modeを<Digital Out>設定にしなければならないことに注意しよう。

 同じ音源をN1A/2+DaveのFLACファイル再生とU1 MINIを加えてのMQA再生を比較してみたが、この音質差は決定的だった。何を聴いても断然MQA再生のほうがよいのである。

 ジョニ・ミッチェルやリッキー・リー・ジョーンズ、Moonなどの女性ヴォーカルでは、FLACに比べてMQAはヴォーカルのファントム音像がキュッと締って確かな実在感を伴なって中空に浮かぶ。イスラエル・ジャズの重鎮、ベース奏者アヴィシャイ・コーエンの最新アルバムは、MQA再生するとスタジオの緊迫した空気感が生々しく甦ってくる印象で、各楽器の質量感の描写もすばらしい。

画像: LUMIN APPのメニュー右上の歯車マーク(設定)から詳細項目を呼び出せる。「MQA Mode」はMQA信号の出力方法を選ぶもので、MQAフルデコード対応のDACと組み合わせる場合は「Passthrough」、非対応DACの場合は「Digital Out」に設定するといい

LUMIN APPのメニュー右上の歯車マーク(設定)から詳細項目を呼び出せる。「MQA Mode」はMQA信号の出力方法を選ぶもので、MQAフルデコード対応のDACと組み合わせる場合は「Passthrough」、非対応DACの場合は「Digital Out」に設定するといい

 この音像・音場表現の秀逸さは、デジタル信号送出時にビットタイミングを揃えて時間軸精度を向上させるというMQAならではの作用が効いているのではないかと思う。同一音源のFLACファイル再生では、MQA再生時のような音像フォーカスの鋭さや音場感の広大さが出てこないのである。

 TIDALのアーカイヴから192kHz/24ビットのMQA Studio音源『The Warner Bros.ALBUMS:1970〜1976/ジェームズ・テイラー』を聴いてみた。先述の通りU1 MINIとDaveの組合せではコアデコード状態となるので、Daveの入力情報窓には96kHzと表示される。

 コアデコードとはいえ、この音も驚くほどすばらしかった。2019年にリマスターされた音源をMQAエンコードしたものだが、今から50年近く前の録音とは思えないフレッシュな響きで、ヴォーカルには艶と輝きがあり、ギブソンJ45でアルペジオを爪弾くJ.Tが眼前に現れたかのようなイリュージョンが体感できる。

 このような「あ、脳が喜んでいる!」と実感できる至高体験の実現こそ、ハイエンドオーディオの魔法だろう。

 今回のテストで、ぼくの現用システムにU1 MINIを加えることで、FLACやDSF再生時においては音に背骨が1本通る感じになり、それに加えてコアデコードとはいえMQAならではの音の良さが実感できることを確信、「よし買おう!」と心を決めたワタクシであった。

画像: 山本さんのオーディオルーム。取材時の2ch再生システムは、プリ&パワーアンプはオクターブ「Jubilee Pre」+「MRE220」、スピーカーはJBL「K2 S9900」+スーパートゥイーターのエニグマアコースティクス「Sopranino」という構成だ

山本さんのオーディオルーム。取材時の2ch再生システムは、プリ&パワーアンプはオクターブ「Jubilee Pre」+「MRE220」、スピーカーはJBL「K2 S9900」+スーパートゥイーターのエニグマアコースティクス「Sopranino」という構成だ

 さて、最後に先述したメリディアンのMeridian 218とU1 MINIを組み合わせた音をリポートしよう。先述のようにMeridian 218は、MQAフルデコードを可能にしたお手頃価格のD/Aコンバーター。本機にはUSB端子が装備されていないので、SPDIF同軸端子でU1 MINIと接続した。

 U1 MINIのデジタル同軸出力のレゾリューションは、PCMは192kHz/24ビット、DSDは2.8MHz/1ビットまでとなる。しかし、実際に両モデルを組み合わせた音は、トータル40万円強という価格を考えると、とてもすばらしいものだった。

 192kHz/24ビットで正しく再生されるTIDALのMQA Studio音源『The Warner Bros.ALBUMS』など、ひじょうに芳醇なサウンドで、音に芯があり、引き締まった輝きを感じさせる。

 この高音質は、MQAフルデコードの効能に加えて、USBとは異なり5V直流伝送を行なわない、オーディオ専用インターフェイスSPDIF同軸接続のよさもあるのかもしれない。ちなみにMQA音源をMeridian 218でフルデコードさせるためには、Lumin AppのMQA Modeをコアデコード時の<Digital Out>から<Passthrough>に変更する必要がある。

 MQA音源再生時に気になったのは、ときおりロックがはずれてノイズが出ることだったが、メリディアンの輸入元のアドバイスに従って、専用操作アプリのコンフィグレーションを開いてFIFOメモリー設定をデフォルトのオンからオフに変更することで解決した。

 まあいずれにしても、U1 MINIとMeridian 218のペアは、40万円で実現するネットワークオーディオ時代の新「黄金の組合せ」と言っていい。ぜひ多くの方にこの組合せの音をお聴きいただきたい。どこかで体験イベントとかできるといいのだけど……。

画像: 今回の主な試聴ソース。上段はワーナーミュージックから発売されたMQA-CDで、これをFLACにリッピングしている。下段は弊社のDSD 11.2MHzの音源ディスク。こちらもディスクからNASにデータを保存して再生した。DSD音源は以下の関連サイトからお求めいただけます。2020年8月31日まで体験キャンペーンも開催中!

今回の主な試聴ソース。上段はワーナーミュージックから発売されたMQA-CDで、これをFLACにリッピングしている。下段は弊社のDSD 11.2MHzの音源ディスク。こちらもディスクからNASにデータを保存して再生した。DSD音源は以下の関連サイトからお求めいただけます。2020年8月31日まで体験キャンペーンも開催中!

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