映画評論家 久保田明さんが注目する、きらりと光る名作を毎月、公開に合わせてタイムリーに紹介する映画コラム【コレミヨ映画館】の第30回をお送りします。今回取り上げるのは、犬好きなら泣かずにはいられない!『僕のワンダフル・ジャーニー』。犬好きが犬好きのために創っただけではない、きらりと光る何かを備えた注目作。とくとご賞味ください。(Stereo Sound ONLINE 編集部)

【PICK UP MOVIE】
『僕のワンダフル・ジャーニー』
9月13日(金)全国ロードショー

画像1: 【コレミヨ映画館vol.30】『僕のワンダフル・ジャーニー』 犬とヒトの触れ合い、思い出を描いた人気作の続篇

 10年前に死んだ愛犬が、年に1回か2回夢に出てくる。夢のなかでありがとうとか言っていて、たぶん人生でいちばん幸せな夢だ。でも、こういう映画はなあ。泣かせに来てるでしょ。だいたいさ、ご主人さまに会いたいワン公が、何度も転生をくり返して走ってくるなんて、そんな都合のいい話はないよ!

 でさ、あー。泣いた。今回もたまらない。全米ベストセラー小説を原作にスマッシュヒットを飛ばした『僕のワンダフル・ライフ』の続篇。

 前回は孤独な中年男(デニス・クエイド。今回も助演している)のもとに少年時代に飼っていた愛犬が帰ってくるというお話だったけれど、今回の主人公はその身内である少女CJの成長物語だ。母親との関係が上手くいかない彼女の人生探し。そこに何匹かのワン公が絡んでくる。

 『ワンダフル・ライフ』を演出した名匠ラッセ・ハルストレム監督は製作に回り、演出にはTV界出身のゲイル・マンキューソが抜擢された。自身も5匹の犬を飼っているという彼女。犬の声を当てているコメディ俳優のジョシュ・ギャッド(『アナと雪の女王』のオラフ役)や、音楽のマーク・アイシャム(『リバー・ランズ・スルー・イット』)などスタッフにも愛犬家が多いようで、彼らの製作コメントになにげに親バカ、犬バカが混じっているのが微笑ましい。他人のことは言えないけれど。

 子ども時代のCJを演じているのは、2008年生まれのアビー・ライダー・フォートソン。マーベル映画の『アントマン』で主人公の娘キャシーをやっていたオシャマなあの子だ。

画像2: 【コレミヨ映画館vol.30】『僕のワンダフル・ジャーニー』 犬とヒトの触れ合い、思い出を描いた人気作の続篇

 幼いころは茶と白のビーグルを抱きしめていれば良かったけれど、おとなに近づくと迷いも悩みも増えてくる。シンガーソングライターを夢見るハイティーンからのCJに扮するのは、イギリス出身の新人キャスリン・ブレスコット。聡明そうな、いい女の子だ。

 犬だけでなく、何か大切なものやひとを失った貴方にも寄りそってくれるだろう。年間ベストワンになるような映画ではないけれど、こういう普通さのなかに光るなにかがあったりするもの。

 飼っていたのは柴犬の太郎というんだけど、知り合いにはよく太郎くんはお前よりよほど人間が出来ている、と言われたものだ。いまもどこかで笑っているだろう。

『僕のワンダフル・ジャーニー』

9月13日(金)より全国ロードショー
監督:ゲイル・マンキューソ
原題:A DOG’S JOURNEY
配給:東宝東和
2019年/アメリカ映画/1時間49分/シネマスコープ
(C)2019 Storyteller Distribution Co., LLC, Walden Media, LLC and Alibaba Pictures Media, LLC.

【コレミヨ映画館】
https://online.stereosound.co.jp/_ct/17285041

【先取りシネマ】
https://online.stereosound.co.jp/_ct/17298864

This article is a sponsored article by
''.