「テレビで映画を見る時には、テレビの動き補間機能をオフにしよう」とのトム・クルーズのメッセージが業界を動かした。

 ドルビー、パナソニック、サムスン、ユニバーサル、ワーナー・ブラザースなどのスタジオ、家電メーカー、技術企業など約40社からなるUHDアライアンスが、「フィルムメーカーモード」をIFA開幕直前に発表。組織としては存在するが、目立った成果がなかったUHDアライアンスとしては、初めてのヒット提案といってよい。

 トム・クルーズが言うように、24コマを60コマにフレーム補間した映像は動きの部分でまるで宇宙遊泳しているような不自然な浮遊感になるので、私は原則として映画はオリジナルの24コマ再生で見ている。

 監督、撮影監督の制作者からすると、この不自然なフレーム補間ーー業界では“ソープオペラ(安っぽいドラマ)効果”と揶揄されているーー、ノイズリダクションによる「のっぺり効果」、色温度が高すぎビデオ的な安っぽい絵……が、まさにナンセンスであった。われわれが感じていたテレビで映画鑑賞する時の問題点を、彼らも同じように感じていたのである。

 クリストファー・ノーラン監督や、ポール・トーマス・アンダーソン監督、マーティン・スコセッシ監督を始めとした著名な映画人が、UHDアライアンスに働きかけた。同時併行して監督と撮影監督400人にアンケートしたところ、圧倒的多数の賛成を得たという。

 「Filmmaker Mode」の名称には、当初は「Director Mode」はどうかとの提案もあったが、撮影監督の存在も大事ということから、もっと幅広い「Filmmaker」に落ち着いた。

 その内容は、①フレーム補間をオフ、②ノイズリダクションをオフ、③コンテンツのオリジナルのアスペクト比で表示、④オーバースキャンをオフ、⑤色温度はD65(6500K)……など、だ。採用テレビでは、「Filmmaker Mode」が、「ダイナミック」や「スタンダード」「シネマ」などのイコライジングモードのひとつとして出てくる。

 「Filmmaker Mode」に設定した後でも、明るさやコントラストなどの、いつもの調整は可能だ。フレームレート・コンバーターやノイズリダクションを効かせたい時は、有効にすればよい。

 採用メーカーはパナソニック、LG、VISIOで2020年製品からインプリメントされる予定だ。今後、メーカーは増える見通しだ。名称は各社とも「Filmmaker Mode」で統一だ。

画像: 左側が「Filmmaker Mode」。雨粒の大きさが細かいのは、ノイズリダクションの影響がないからだ

左側が「Filmmaker Mode」。雨粒の大きさが細かいのは、ノイズリダクションの影響がないからだ

画像: 【麻倉怜士のIFAリポート2019】その4:有名映画監督が要求した「Filmmaker Mode」の真意。UHDアライアンスの新提案は、映画ファンに喜ばれるだろう
画像: 色温度の差が如実に

色温度の差が如実に

画像: 来場者への解説書

来場者への解説書

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