ハイレゾ対応DAPの代名詞的存在のアステル&ケルン。豊富なラインナップを誇るその製品群に新たに加わったのがこのKANN CUBE。シリーズ最大サイズのボディに、ポータブル機としては初めてESSテクノロジー社の8ch DACチップES9038PROをデュアル駆動で搭載した点が話題だ。これが12Vrms(バランス)、6Vrms(アンバランス)という驚異的な高出力の源となっている。

 装備の面では、先代のKANNにあったライン出力端子が省かれた点を惜しむ声があるだろうが、その代わりに搭載されたMini XLR 5-pinがユニーク。これはホームオーディオとの親和性を高めるもので、XLR変換ケーブルを用いることで通常のXLR端子へバランス伝送できるのだ。

 再生対応ファイルフォーマットは、PCMは384kHz/32ビット、DSDは11.2MHzまでとハイスペック。本体の記憶容量は128Gバイトで、micro SDカードスロット1基分を側面に備える。また、7400mAhという大容量バッテリーによるタフネス設計も嬉しいところで、満充電で連続再生約8時間は頼もしい(44.1kHz/16ビット/FLAC再生時)。

 金属の塊のようなやや無骨な本体はアルミニウム製で、“Wolf Gray”というカラー仕上げ。横方向にスラントしたデザイン、左右で厚みが異なるのが独創的。外観からの印象や大きさの割に重くはないが、鞄の中ではそれなりにかさばるサイズであることは否めない。ダイヤモンドを彷彿とさせるボリュウムノブはひときわ大きい。

 操作性に関しては従来の同社製品と同様、タッチパネル式の大型ディスプレイによってサクサク動くという印象で、視認性も高い。

 試聴してみると、高出力の恩恵は圧倒的なS/Nの高さとダイナミックレンジの広さに結実している。微細な音の描写力が高く、通常であれば聴き取りにくいようなローレベルの音のニュアンスが実に精妙だ。表現に余裕があり、通常は飽和してしまうような大音量(耳を壊さない常識的な範囲で)でも余裕すら感じさせるのは素晴らしい。

 駆動力も高そうなので、一般的なDAPでは鳴らしにくいハイインピーダンスのヘッドホン/イヤホンであっても事もなげにドライブしてしまうのではないだろうか。

画像: Astell & Kernの新鋭機 KANN CUBE。シリーズ最大サイズのボディに詰まった高い駆動力が自慢。

Astell & Kern
KANN CUBE
オープン価格(実勢価格20万円前後)

●対応ファイル形式: WAV、FLAC、MP3、WMA、OGG、APE、AAC、ALAC、AIFF、DFF、DSF ●対応サンプリング周波数/量子化ビット数: ~384kHz/32ビット(PCM)、~11.2MHz(DSD) ●接続端子: 3.5mmヘッドホン出力1系統(デジタル音声出力[光]と兼用)、2.5mmバランスヘッドホン出力(4極)1系統、Mini XLR 5-pin 1系統、USBタイプC1系統(充電・転送、USB AUDIO出力) ●Bluetoothコーデック: SBC、aptX HD ●ディスプイ: 5.0型TFTカラーLCD(720×1280/静電容量式タッチスクリーン) ●寸法/質量: 約87.75×約140×約31.5mm/約493g
●問合せ先: 株式会社アユート サポートセンター ナビダイヤル TEL. 0570(002)220

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