デノンから、同ブランドの新世代フラッグシップモデルが発表された。SACD/CDプレーヤーの「DCD-SX1 LIMITED」(¥750,000、税別)と、プリメインアンプ「PMA-SX1 LIMITED」(¥780,000、税別)で、どちらも9月中旬の発売を予定している。

画像: SACD/CDプレーヤーの「DCD-SX1 LIMITED」

SACD/CDプレーヤーの「DCD-SX1 LIMITED」

画像: プリメインアンプ「PMA-SX1 LIMITED」

プリメインアンプ「PMA-SX1 LIMITED」

 今回の「SX1 LIMITED」2モデルの一番の特徴は、その開発コンセプトにあるだろう。“いつまでも聴いていたい、音楽に没頭できるオーディオを作りたい”というサウンドマネージャー、山内慎一氏の想いを具現化し、4年の歳月をかけて開発されたという。

 SX1 LIMITEDの発表会には、株式会社ディーアンドエムホールディングス 代表取締役の中川圭史氏も登場し、両モデルの位置づけについて解説してくれた。

 中川氏によると、SX1 LIMITEDは、デノンが掲げる「Vivid & Spacious」というハイファイフィロソフィーを具現化した製品で、来年(2020年)に創業110周年を迎える同社の集大成モデルになるそうだ。

 外観やスペックはSX1シリーズを踏襲しているが、デノンサウンドの最高到達点として、内容はほとんど刷新されている。またその製造についても留意されており、福島県白河市の自社工場で、一台一台手作りされているそうだ。

画像: ディーアンドエムホールディングス 代表取締役の中川圭史氏(左)と、サウンドマネージャーの山内慎一氏(右)

ディーアンドエムホールディングス 代表取締役の中川圭史氏(左)と、サウンドマネージャーの山内慎一氏(右)

 さてそのSX1 LIMITEDだが、もともとは製品化を予定したものではなかったそうだ。山内氏がサウンドマネージャーに就任後、製品開発用の新たなリファレンスモデルをSX1をベースに作成、それをModel Xとして社内にプレゼンしたところから始まった。

 その後、経営サイドの了解を得て製品化が決定したが、そこでコストや開発期間を設定せず、山内氏ひとりで開発を進めた点が通常と異なっていた。目標はあくまで「Vivid & Specious」を具現化することであり、同社の製品開発としても初めての試み、まさに英断だったそうだ。

 そんな両モデルに共通しているのは、部品ひとつひとつにまで音のための配慮が込められている点だ。どちらも400箇所以上に手が加えられており、リリース資料にも以下のようなポイントが列記されている。

DCD-SX1 LIMITEDの特長
●37種類に及ぶカスタムコンデナーを投入
●A7075(超々ジュラルミン)による新開発トップカバー&フット
●アルミ砂型鋳物ベース採用ドライブメカニズム「Advanced S.V.H. Mechanism」
●Advanced AL32 Processing
●フルバランス・ディファレンシャル構成のD/A変換&オーディオ出力回路
●L.C.マウント・ツイントランス&アルミ砂型鋳物ベース
●DSD5.6MHz&PCM 192kHz/24ビット対応USB DAC

PMA-SX1 LIMITEDの特長
●37種類に及ぶカスタムコンデナーを投入
●A7075(超々ジュラルミン)による新開発トップカバー&フット
●全段バランスアンプ構成
●Advanced UHC MOSシングルプッシュプル回路
●インピーダンス切り替えスイッチ付きMC/MM対応CR型フォノイコライザー
●低倍率箔採用の高音質カスタム・ブロックコンデンサー
●アルミ砂型鋳物ケース採用大容量電源トランス

画像: 写真左はSX1 LIMITEDのトップカバーで、右はフット部分。どちらも超々ジュラルミンで作られている

写真左はSX1 LIMITEDのトップカバーで、右はフット部分。どちらも超々ジュラルミンで作られている

 デノンによると、カスタムパーツを作ることはオーディオ回路を作ることと同じくらい大切だそうで、今回も山内氏が長年かけて作り上げたコンデンサーを合計37種類採用している。これなしにはSX1 LIMITEDは作り得なかったそうだ。

 その他に、天板とフットの素材として超々ジュラルミンが使われているが、これは住友金属工業が開発した素材で、アニメ映画『風立ちぬ』の主人公・堀越二郎氏が零戦の材料に使ったものだという。今回は軽量さ、音の響きなどを山内氏が吟味し、選定したという。ちなみに表面処理は開発当初は梨地仕上げだったが、音的にいまいちだったため、ヘアライン仕上げに変更している。

 さてそんなDSD-SX1 LIMITEDとPMA-SX1 LIMITEDの組み合わせでどれほどの音が楽しめるのか、同社試聴室で体験させてもらった。

画像: 発表会に続いて、デノン試聴室でSX1 LIMITEDのサウンドを体験させてもらった。写真右手前がDCD-SX1 LIMITEDで、中央奥がPMA-SX1 LIMITEDとなる

発表会に続いて、デノン試聴室でSX1 LIMITEDのサウンドを体験させてもらった。写真右手前がDCD-SX1 LIMITEDで、中央奥がPMA-SX1 LIMITEDとなる

 サウンドマネージャーの山内氏によると、開発時にオーディオ評論家氏にも試聴してもらったとかで、「国産機の枠を超えた、ワイドで広々とした音」とか、「S/N、Dレンジといったスペックを超越した次元のサウンド」「SX1 LIMITEDのペアで鳴らすと、1+1が6に化ける」といった高い評価を集めたという。

 そして当日も、そんな期待を超えたサウンドが楽しめた。同社の試聴室は20畳ほどあろうかという広さだが、両機の音はその空間を隙間なく埋め尽くすほどの情報量を持って迫ってくる。

 クラシックや女性ヴォーカル、ハウスなど様々なジャンルを聴かせてもらったが、どの楽曲でもまず音の立ち上がりが綺麗で、演奏が始まる瞬間の空気感、緊張感が伝わってくる。ピアノの高域もクリアーに伸びるし、ハープの弦をつま弾く様子も自然に再現される。何より低音がまったくぼやけることなく、きちんと質量を持って感じられるのが気持ちよかった。

 なお、DCD-SX1 LIMITEDとPMA-SX1 LIMITEDの発売に伴ない、現行のDCD-SX1とPMA-SX1は生産終了となるそうだ。

画像: DCD-SX1 LIMITEDのリアパネル

DCD-SX1 LIMITEDのリアパネル

「DCD-SX1 LIMITED」の主なスペック

●再生ディスク:SACD、音楽CD、MP3/WMAデータディスク(CD-R、CD-RW)
●再生周波数特性:2Hz〜20kHz(CD)、2Hz〜50kHz(SACD)
●S/N:122dB(CD)、122dB(SACD)
●ダイナミックレンジ:101dB(CD)、118dB(SACD)
●全高調波歪率:0.0015%(CD)、0005%(SACD)
●接続端子:アナログ音声出力×2(XLR、RCA)、デジタル音声出力×2(光、同軸)、デジタル音声入力×2(光、同軸)、USB×2(Type A/B)
●消費電力:39W(待機電力0.1W、オートスタンバイオン)
●寸法/質量:W434×H149×D406mm/23.5kg

画像: 同じくPMA-SX1 LIMITEDのリアパネル

同じくPMA-SX1 LIMITEDのリアパネル

「PMA-SX1 LIMITED」の主なスペック

●定格出力:50W+50W(8Ω、20Hz~20kHz、THD 0.1%)
●全高調波歪率:0.01%(定格出力、-3dB時)、負荷8Ω、1kHz
●接続端子:アナログ音声入力×6(XLR×1、RCA×5)、フォノ入力×2(MM/MC)、EXT.PRE×1、プリアウト×1
●消費電力:275W(待機電力0.1W、オートスタンバイオン)
●寸法/質量:W434×H181×D504mm/29.5kg

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