7月17日〜19日の3日間、東京江東区の青海展示棟で「第2回 4K・8K映像技術展」が開催されている。これは「通信・放送Week 2019」の一環であり、「5G/IoT通信展」などとの同時開催となる。その会場には380を超える出展ブースが並び、各種展示やセミナーが常時行われて活況を呈していた。

画像: ソニーPCLブースには、ブラビアの8Kモデル「85Z9G」が置かれ、ネイティブの8K映像が上映されていた

ソニーPCLブースには、ブラビアの8Kモデル「85Z9G」が置かれ、ネイティブの8K映像が上映されていた

 4K・8K映像技術展に入ってすぐに目に付くのは、ソニーPCLのブースに置かれた8Kモニターだろう。これはソニーが今年1月のラスベガスCESで展示したブラビアMASTERシリーズの液晶テレビ「85Z9G」で、リオのカーニバルなどの8K映像が繰り返し上映されていた。

 きらびやかなダンサーの衣装やパレードの装飾などHDRらしい輝きと色を備えており、平面なのに立体的に感じられる映像で、多くの人が85Z9Gの前で足を止めて、その画質に見入っていた。

 またソニーPCLブースでは、「RS+」「HDR/SDR Hybrid Grading」「Luminous Tone Mapping」などの技術展示も行なわれている。

画像: RS+のデモ映像。上は通常のアップコンバート処理で、下がRS+を使ったもの。ディテイルの再現性や光沢の再現に確かな違いが出ている

RS+のデモ映像。上は通常のアップコンバート処理で、下がRS+を使ったもの。ディテイルの再現性や光沢の再現に確かな違いが出ている

 RS+はいわゆる映像アップコンバートサービスで、SDからHD、あるいは2Kから4Kや8Kに解像度を変換するものだ。最大で8K/120pまで対応している。アップスケール時にサンプリングしたピクセル情報に方向性を定義しながら補完する技術を用い、単純に超解像処理を加えて解像度をアップするのではなく、オペレーターが全シーンをチェックして独自開発のフィルターも併用し最適なチューニングを加えているそうだ。これにより、エッジがすっきりして、テクスチャーの再現がよく、ジャギーのない映像を実現しているという。

 また2K/60iソースではi/p変換も重要になるが、RS+では機械学習式のAIを活用して、なめらかな60p映像の再現を実現したそうだ。

 ちなみに現在NHK BS4Kで放送されているアニメ番組『シドニアの騎士』は、オリジナルのマスターデータをRS+を使って4K/60pにリマスターしており、会場でも変換前と後の映像を比較していた。実際の4K放送もひじょうにクリアーで鮮明な映像が再現されており、4Kアニメ制作の現場でもRS+が活用されていくのかもしれない。

画像: HDR映像とSDR映像を同時に作成できるハイブリッドグレーディングシステム

HDR映像とSDR映像を同時に作成できるハイブリッドグレーディングシステム

 HDR/SDR Hybrid Gradingは、カメラで撮影したRAWデータから放送用のHDRやSDRフォーマットにグレーディングする際に、これまではHDR用を作り、それを元にSDR化するといった具合に処理していたが、それを同時に作業できるようにしたものだ。

 これによりオペレーターの作業時間が短縮できるだけでなく、SDRとHDRを見比べながら作業できることで、映像のトーンの統一も計りやすくなるという。デモはHLGとSDRのふたつで作業していたが、PQカーブ(HDR10)とSDRのハイブリッドグレーディングも可能だという。

画像: 制作者の意図に忠実な4Kマスターを作る、Luminous Tone Mappingシステムも展示されていた

制作者の意図に忠実な4Kマスターを作る、Luminous Tone Mappingシステムも展示されていた

 Luminous Tone Mappingは、制作者の意図を損なわないで、放送マスターを制作しようという技術になる。HDRマスターのハイライト階調のニュアンスをSDRでも再現したり、逆にSDR素材からHDRマスターを作ると言った使い方が想定されている。

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