ハリウッド版『ゴジラ』の最新作にも登場

 日本発、ハリウッド製作の超大作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』にアイリーン・チェン博士役で出演し“国際派女優、健在!”をアピールしたチャン・ツィイー。

画像1: ハリウッド版『ゴジラ』の最新作にも登場
画像: カイル・チャンドラー、ヴェラ・ファーミガ、渡辺謙らと共演する『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

カイル・チャンドラー、ヴェラ・ファーミガ、渡辺謙らと共演する『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

 奇しくも日本では、ハリウッドでも名を馳せたジョン・ウー監督の“集大成”と称される歴史超大作『The Crossing -ザ・クロッシング- PartI, II』(14年・15年)が同時期に公開される。中国の苛烈な国共内戦時代に、出征したまま行方不明になった恋人を探すため娼婦にまで身をやつす女性に扮したツィイーは、久しぶりに<中国の至宝>と讃えられる美しさと深い演技力を堪能させてくれて、大満足。

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画像: 『The Crossing -ザ・クロッシング-」では、激動の時代に翻弄されながらも、決して優しさと凛とした美しさを失わない女性を好演している

『The Crossing -ザ・クロッシング-」では、激動の時代に翻弄されながらも、決して優しさと凛とした美しさを失わない女性を好演している

約20年前、『初恋のきた道』で世の男性を骨抜きに!

 北京の名門演劇学校<中央戯劇学院>の学生だったチャン・ツィイーが一躍脚光を浴びたのは、1999年に製作された『初恋のきた道』。戯劇学院の教授でもあったチャン・イーモウが監督した本作のヒロインに、彼女が大抜擢されたのだ。

 ツィイーが演じたのは、町からやってきた青年教師にひと目惚れした田舎の少女。そのひたむきな眼差しと清純&可憐な佇まいに、映画が公開されるやいなや、男性たち(特におじさん)はイチコロになった。

 そう、ある女性雑誌の男性編集長は、ヒロインが大写しになったポスターを手に入れて自室に飾り、来日したご本人にはインタビューを申し込み、もちろん取材現場にもしっかり登場。くだんのポスターにサインまでいただく念の入れようだった。

 いえいえ、職権乱用だなんて、言いません! それくらい、ツィイーの純な輝きは威力があったということです。そして、そのインタビュアーとして同席させていただいたおかげで、私はちょっとだけツィイーに顔を覚えてもらい、以後のインタビューがとてもスムーズにできたのですから、感謝!

画像: ツィイーは男性の理想像を体現したようキャラクターを演じ、眩しいほどの清純さと健気さを見せる/DVD『初恋のきた道』/¥1,280(税別)/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

ツィイーは男性の理想像を体現したようキャラクターを演じ、眩しいほどの清純さと健気さを見せる/DVD『初恋のきた道』/¥1,280(税別)/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

 初めて会ったツィイーは、非の打ち所のない整った顔立ちのまさに美少女であり、20歳にしては幼い印象だった。とはいえ黒目がちの大きな瞳の奥には芯の強さも垣間見えて、同じくチャン・イーモウ監督に見出されてスター女優となったコン・リーの後を継ぐ大物の予感はたっぷりうかがえた。

 そして、その“予感”は次に出演した『グリーン・ディスティニー』(00年)で早くも現実になり、3作目の『ラッシュアワー2』(01年)では国際派スター、ジェッキー・チェンと共演。華々しいハリウッドデビューを果たしたのだ。

スターなのにまったく気取らない人柄に感激

 私が2度目に会見したのは、『初恋~』、『HERO』(02年)に続いてチャン・イーモウ監督と3度目のコラボとなった『LOVERS』(04年)を携えての来日時だ。

 金城武とアンディ・ラウが共演するこの武侠映画は、斬新かつスタイリッシュなアクションに息を呑むばかりだし、さらにはそのスリルを煽る禁断の愛にうっとり! ツィイーも「ハンサムな男性ふたりに愛されるなんて、演技だとわかっていても舞い上がっちゃう時があったの」とニコニコ顔だった。

 じつは、この時の中国語の通訳を担当した方が、映画会社の<日本語の分かるスタッフ>ということだったのだが、ほとんど役に立たず。そこでツィイーは片言の英語と日本語を駆使して、なんとか自分の言いたいことを伝えようとしてくれた。

画像: 美しい映像にうっとりと見惚れる/Blu-ray『LOVERS』/¥2,500(税別)/TCエンタテインメント

美しい映像にうっとりと見惚れる/Blu-ray『LOVERS』/¥2,500(税別)/TCエンタテインメント

 そういえば、05年の初めに巨匠・鈴木清順監督の『オペレッタ狸御殿』で会った時も助けられたっけ。共演のオダギリジョーとのツーショットインタビューだったのだが、知っての通りオダギリジョーは超・超・寡黙。なんとなくぎこちない雰囲気を察知したツィイーは、「ねぇ、オダギリさん」と話を何度か振って、その場を和ませてくれた。

 2回目の時点ですでにスター街道を歩んでいたにもかかわらず、少しも気取ることなくインタビュアーを気遣ってくれることに、感謝でいっぱいだった。

画像: 鈴木清順の摩訶不思議ワールドが炸裂!/DVD『オペレッタ狸御殿 デラックス版』/¥3,800(税別)/NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン

鈴木清順の摩訶不思議ワールドが炸裂!/DVD『オペレッタ狸御殿 デラックス版』/¥3,800(税別)/NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン

国際派女優として活躍できるのは弛まぬ努力があったから

 さて、英語力の話である。04年当時、ツィイーは英語について「勉強しているけど、ぜんぜんモノにならないの」と言っていた。

 しかし、05年に公開された『SAYURI』では達者な台詞まわしを披露。たった1年ほどでメキメキと上達した秘訣を聞くと。

 「ヒロインを演じると決まった時から、英語教師と同居を始めてレッスン。英語だけを喋る生活をしていて、頭が爆発しそうになって。たまにヒステリックになって、中国語でまくしたててウサを晴らしたこともあったわ(笑)。でも、これからもハリウッドで活躍するために勉強は続ける。英語は必須だもの」

 う~ん、この上昇志向とガッツがあればこそ、単なる美人女優では終わらず、国際派として活躍し続けられるのだ。

 ある製作スタッフの話では、『SAYURI』のヒロインの第一候補は、当時大ヒットしたハリウッド大作に出演した日本人女優だったそうだ。しかし、それが実現しなかったのはハリウッド映画業界での組合協定に阻まれたという説があるいっぽうで、彼女自身が「英語を学ぶのは大変だから」と断ったという噂もあり。もしそれが本当なら、なんとも残念だ。

 しつこいようだけど、以前のツィイーの英語力は本当に単語を並べるだけの片言。それでも臆せず、努力を惜しまず、役に食らいついてチャンスをモノにする女優根性はご立派!

画像: 2019年10月28日(月)~11月5日(火)に行われる第32回東京国際映画祭で、ツィイーがコンペティション部門の審査委員長に決定した。発表の際、「初めて東京に来たのは、長編映画のデビュー作ともに、中国から旅に出た若い俳優の時でした。『初恋のきた道』への歓迎の温かさにとても感動し、日本が映画制作に込める愛情と情熱を直に目の当たりにしたことを覚えています」とコメントしている

2019年10月28日(月)~11月5日(火)に行われる第32回東京国際映画祭で、ツィイーがコンペティション部門の審査委員長に決定した。発表の際、「初めて東京に来たのは、長編映画のデビュー作ともに、中国から旅に出た若い俳優の時でした。『初恋のきた道』への歓迎の温かさにとても感動し、日本が映画制作に込める愛情と情熱を直に目の当たりにしたことを覚えています」とコメントしている

大方の予想を裏切り(?)、結婚生活は順調

 今のところ、ツィイーに会ったのはそれが最後。中国メディアによると、私生活ではイスラエル人の投資家ヴィヴィ・ネヴォ氏と08年に結婚。彼が株主だったかつての映画制作会社ワインスタイン・カンパニー製作の作品3本に主演したが、10年に離婚した。

 その後15年にはロック・ミュージシャンのワン・フォンと結婚。2015年12月に第1子・醒醒(シンシン)ちゃんを出産している。夫には離婚歴が3回あり、二人の子連れでもあったため、当初は「どうせすぐに破局する」なんていう口さがない声もあった。しかし現在も仲睦まじく、今年の4月には人気リアリティ番組『妻子的浪漫旅』でシンシンちゃんの出産直後の秘蔵写真も公開している。

 『初恋のきた道』の可憐な少女も、いまや40歳。美しさに妖艶さも加わって、やっぱり<中国の至宝>の貫禄だった。スキャンダルにも負けないしたたかさに、強さに、長年のファンとしては拍手を贈るばかりです。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

監督:マイケル・ドハティ
出演:カイル・チャンドラー/ベラ・ファーミガ/ミリー・ボビー・ブラウン/渡辺謙/チャン・ツィイー/サリー・ホーキンス
原題:Godzilla: King of the Monsters
2019年/アメリカ/132分
配給:東宝
2019年5月31日(金)全国東宝系にて世界同時公開
(c) 2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

『The Crossing -ザ・クロッシング- PartI, II』

監督:ジョン・ウー
出演:チャン・ツィイー/金城武/長澤まさみ
原題:太平輪 乱世浮生・太平輪 彼岸
2014年・2015年/中国/129分・126分
配給:ツイン
6月7日(金)PartI、6月14日(金)PartII シネマート新宿・心斎橋他にてロードショー
(c) 2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

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