エラックの新シリーズ VELA400ラインとは

 エラックの新機軸を取り入れた新しい時代のスピーカーを造りたい。そんな熱い思いから開発がスタートしたのが、ここで紹介するVELA400ライン。フラットかつスクエアな形状から一歩踏み 出し、フロントバッフル面に柔らかなアールを与えつつ、わずかにスラントさせるというデザインコンシャスなフォルムが 特徴的だ。

 スピーカーから発せられるサウンドをリスナーに集中させるイメージを具現したものだが、そこには歪みを抑え、時間軸整合を図るという音質重視の思想も重なる。さらに音圧が強くかかるトップ面とベース面には、高剛性のアルミダイキャストの部品配置。これがデザイン的にもアクセントとなり、スピーカー本体のシルエットを引き締めている。

 本体を真上から見ると背中を絞った形状が把握できるが、これは内部定在波の音質への影響を抑え、同時にエンクロージャーの剛性アップを狙ったもの。そしてバスレフポートは、風切りノイズを抑えつつ、設置性の自由度が高められるダウンファイヤー式としている。

 スピーカーユニットについては、振動板 面積が拡大され(従来比20%)、超高域まで低歪みで描き出す最新のJETトゥイーター(第5世代目)と、アルミ振動板に織り目を加え、強度を確保しつつ、 その裏面に独クルトミューラーのペーパーコーンを配置したAS–XRコーンウーファーというエラック黄金の組合せだ。

質感のいい低音が好印象。 バイアンプ駆動は効果充分

 さっそくUHDブルーレイ『ボヘミアン・ラブソディ』の視聴といこう。手始めにスピーカーとしての素性を見極めるという意味合いも兼ねて、メインスピー カー(フロントL/R)となる、VELA FS409単独の2.0chシステムによるサウンドを確認してみよう。

 まずヒースロー空港で、飛行機から運び出される荷物をピックアップするフレディが映し出されるチャプター2。ステレオ再生になるが、ベルトコンベアのノイズ、荷物の衝突音、そして背後を走り 去るワゴン車の走行音と、着陸後の慌ただしさを効果音として再現しながら、作業員たちの会話はスピーカー中央に自然に定位している。

 音調としては明るく、おおらか。チャプター22のライヴ・エイドのステージも、 熱い歓声の中、エネルギーに満ちたフレディの声が鋭く、しかも深々と浸透していく感じも悪くない。

 ここでFS409のバイアンプ接続を試してみたところ、これがイケる。実に堂々とした抑えの効いたサウンドで、低域の量感が増す印象だ。適度な柔らかさを感じさせる質感のいい低音と、厚みのある中高音を持ち味にした骨格のしっかりとした聴かせ方で、セリフの定位が曖昧にならない。デノンAVC–X 8500H内蔵の パワーアンプを積極的に活かすという意味でも、ここはバ イアンプ接続で決まりだ。

画像: ▲まずVELA FS409を使ったステレオシステムで再生。当初はデ ノンのAVC-X8500Hとシングルワイヤリング接続でつないでいた が、X8500H側のバイアンプ接続機能を活用。バイアンプ接続を試 したところ、これが大当たり。再生品位がグッと高まった。従来の 400LINEはシングル接続専用だったが、VELA400LINEからは全モ デルでバイワイヤリング接続(バイアンプ接続)が可能となった

▲まずVELA FS409を使ったステレオシステムで再生。当初はデ ノンのAVC-X8500Hとシングルワイヤリング接続でつないでいた が、X8500H側のバイアンプ接続機能を活用。バイアンプ接続を試 したところ、これが大当たり。再生品位がグッと高まった。従来の 400LINEはシングル接続専用だったが、VELA400LINEからは全モ デルでバイワイヤリング接続(バイアンプ接続)が可能となった

 そこにブックシェルフのVELA BS 403をサラウンドスピーカーとして追加し、4.0chシステムへ発展させてみよう。このモデル、同じVELA400ラインということもあって、明るく、落ち着きのある音色はFS409とよく似ている。立ち上がりの鋭さと、スムーズな空間の拡がりが特徴的で、その小気味のいいリズム感が清々しい。

 サラウンドスピーカーとしての役回りだが、ここでもなかなかいい仕事をする。 まずチャプター9の「ボヘミアン・ラプ ソディ」をスタジオで収録する様子を中心に視聴したが、サラウンドスピーカー が2本加わっただけで、空間表現がにわかに変わり、より天井が高く、サラウンドの拡がりが立体的になる。

 ギターパートを収録しながら、演者のブライアンとまとめ役のフレディがやり取りするシーンでは、それぞれの空間の様子が明確に描き出され、その対比が実に面白い。具体的にはマイク、スピーカー 経由で聴こえるスタジオ内のブライアンの声と、調整室で音を確認しながら、ア ドバイスするフレディの声。声質の違い にとどまらず、その背後に拡がる空間の気配まで感じさせるほどの再現性で、そ れがそのまま録音現場ならではの張り詰めた空気、緊張感として感じ取れるのだ。

 チャプター22のライヴ・エイドのステージシーンでも、観客の熱狂が雄大なサラウンド感で、クイーンの各メンバー を覆い包んでしまう感じ。音の粒子がギュッと凝縮され、フワッと広い空間に解き放される様子が実に新鮮で、清々しい気分にさせてくれる。

 ただロンドンのウェンブリー・スタジ アムを埋めつくした7万人を超える観衆からすると、低音は控えめ。ここはぜひとも、地響きが伝わってくるような怒濤の低音を再現したい。

センターとサブウーファーを追加。5.1ch再生の興奮を聴く

 そこで用意したのが、4.0chシステムに同じシリーズのセンタースピーカー、VELA CC401と、SUB2070サブウーファーを追加した5.1chシステムだ。

 SUB2070は密閉型のエンクロージャーにASコー ン・ウーファーユニットを上下で2基搭載し、高効率の内蔵アンプによって同相で駆動するというシステムで、部屋の音響特性を加味したオートイ コライザー機能も備える。

 さて、ライヴ・エイドのステージやいかに。クイーンの登場を待ちわびる観客を前に、軽く体を動 かしながら、ピアノの前に座るフレディ。 そして「ボヘミアン~」のイントロが始まると、場内はウォーという歓声が拡がるが、この時の音圧感、包囲感が前の4.0chのシステムとはまったく違う。

 熱気に満ちた歓声は、地面を揺るがすように浸透し、スタジアム全体を覆い包む。フレディの歌声に合わせて歌う観客の声が、まるでエコーがかかっているかのように拡がり、さらにバックのドラムス、ベースが加わりボルテージが上がり、そしてキレキレのブライアンのギターが天に舞い上がり、その興奮に拍車をかける。

 センタースピーカーが加わったことで、 フレディの声の安定感が増したことは間違いない。そして体全体を揺さぶりかけ るかのような低音の音圧、量感の演出は0.1ch再生の賜物。スムーズな吹き 上がりといい、スピード感といい、SUB2070の期待に違わぬ活躍ぶりだった。この作品の再生では、サブウーファーを加えるメリットは計り知れない。

 なおSUB2070の設置位置については、視聴位置の横設置と前方設置を試してみたが、他のチャンネルとの馴染みのよさと自然な音のつながりなど、後者の設置が好ましかった。

画像: センターとサブウーファーを追加。5.1ch再生の興奮を聴く
画像: ▲サブウーファーの位置は、当初リスニングポイントからみて左横(写真上)としていたが、低音の音場感にやや違和感があり、 フロントLスピーカーとセンタースピーカーの間(写真下)に移動させてみた。その結果、後者のほうが圧倒的に自然な音場再現 となり、こちらを基準にした

▲サブウーファーの位置は、当初リスニングポイントからみて左横(写真上)としていたが、低音の音場感にやや違和感があり、 フロントLスピーカーとセンタースピーカーの間(写真下)に移動させてみた。その結果、後者のほうが圧倒的に自然な音場再現 となり、こちらを基準にした

 最後にトップスピーカーとして、引っ越したばかりの新視聴室常設のイクリプスのTD508MK2を加えた、5.1.6再生を試してみよう。この作品の場合、トップスピーカーはライヴシーン などで空間の構築に寄与する程度の演出だが、TD508MK2が6本加わるこ とで、頭上の空間の厚みが増して、より強固な一体感が得られる印象だ。絶対必要とは言わないが、高さ方向の表現力が、より豊かになることは間違いない

画像: 最終的には、エラックVELA400LINEの5.1chシステム(フロントLR スピーカーはバイアンプ駆動)に視聴室リファレンスのオーバーヘッ ドスピーカー、イクリプスTD508MK2を6本加えた、5.1.6システム構 成で『ボヘミアン・ラプソディ』を体験した。100インチ大画面のスケー ル感に比肩する迫力のサラウンドサウンドが実現できた

最終的には、エラックVELA400LINEの5.1chシステム(フロントLR スピーカーはバイアンプ駆動)に視聴室リファレンスのオーバーヘッ ドスピーカー、イクリプスTD508MK2を6本加えた、5.1.6システム構 成で『ボヘミアン・ラプソディ』を体験した。100インチ大画面のスケー ル感に比肩する迫力のサラウンドサウンドが実現できた

総括

VELA400LINE全体の確かなクォリティを軽やかで落ち着いたサウンドに実感

ステレオ再生から始まり、4.0ch、5.1ch、さらに5.1.6再生とシステムを発展さ せながら、新VELA400LINEで映画『ボヘミアン~』を楽しんだわけだが、こ こで再確認したのが、スピーカー単体としての確かなクォリティだった。サラウンド再生のまとまりのよさに止まらず、声、楽器の響き、余韻の描写が実に ていねいで、粗っぽくならない。そして大音量シーンでも、すべてのスピーカー がどっしりと鎮座して、慌てる様子がない。セリフ、効果音、音楽と、多彩な 音源がスピーカーにへばりつくことがなく、目の前の空間が軽やかに歌い、演奏する。この落ち着きこそ、VELA400LINEの最大の強みだと感じた。

画像: VELA400LINE全体の確かなクォリティを軽やかで落ち着いたサウンドに実感

 

画像: 『ボヘミアン・ラプソディ』 特集① エラックVELA400LINEで5.1 再生<興奮を誘う緻密な描写力>

ELAC
SPEAKER SYSTEM

VELA FS409
¥980,000(ペア)+税
●型式:3.5ウェイ4スピーカー・バスレフ型●使用ユニット:JET型トゥイーター、150mmコーン型ミッ ドレンジ、180mmコーン型ウーファー×2●クロスオーバー周波数:140Hz、360Hz、2.7kHz●出力音 圧レベル:89dB/2.83V/m●インピーダンス:4Ω●寸法/質量:W276×H1307×D332mm/32.1kg●カ ラリング:ブラック・ハイグロス(写真)、ホワイト・ハイグロス、ウォルナット・ハイグロス(¥1,050,000 ペア+税)あり

VELA BS403
¥330,000(ペア)+税
●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型●使用ユニット:JET型トゥイーター、150mmコーン型ウー ファー●クロスオーバー周波数:2.4k H z●出力音圧レベル:86dB /2.83V / m●インピーダンス:4Ω● 寸法/質量:W191×H362×D240mm/7.1kg●カラリング:ブラック・ハイグロス(写真)、ホワイト・ ハイグロス、ウォルナット・ハイグロス(¥350,000ペア+税)あり●備考:専用スタンド(LS80[¥70,000 ペア+税])あり

VELA CC401
¥300,000(本)+税
●型式:2.5ウェイ3スピーカー・バスレフ型●使用ユニット:JET型トゥイーター、150mmコーン型ウー ファー×2●クロスオーバー周波数:450Hz、2.4kHz●出力音圧レベル:88.5dB/2.83V/m●インピーダ ンス:4Ω●寸法/質量:W653×H191×D233mm/11.8kg●カラリング:ブラック・ハイグロス(写真)、 ホワイト・ハイグロス、ウォルナット・ハイグロス(¥320,000+税)あり

SUB2070
¥280,000+税
●型式:アンプ内蔵サブウーファー・密閉型●使用ユニット:250mmコーン型ウーファー×2●アンプ 出力:600W(最大)●接続端子:ステレオ音声入力1系統(RCA[L入力はLFE入力端子兼用])、スピーカー 入力3系統●寸法/質量:W360×H475×D385mm/32kg●専用コントロールアプリ(iOS用、Android OS用)あり●問合せ先:(株)ユキム☎03(5743)6202

 

PROFILE
本製品群は、昨年登場したドイツ・エラックの主力となる400LINEの最新シリーズで、VELA(ヴェラ)という愛称がつけられている。JET(ジェット)と呼ばれる独自のリボン型 ドライバーを共通して搭載している美点を引き継ぎつつ、エンクロージャー構造に改善を加えた。今回はシリーズ最上位のFS409をフロントLRに、ブックシェルフのBS403をサラウン ドに用いて、さらにセンター用のCC401を使った。サブウーファーは、25cmウーファーを筐 体上下にマウントした同社のセカンドモデルのSUB2070を用いた。なお、同社ではさらに上 位のSUB3070(30cmウーファー 2基搭載。¥450,000+税)も用意している(編集部)

 

そのほかの使用機器
●D-ILAプロジェクター:JVC DLA-V7●スクリーン:オーエス レイロドール(100イン チ/17:9)●UHDブルーレイプレーヤー:パナソニックDP-UB9000(Japan Limited)●AV センター:デノンAVC-X8500H●オーバーヘッドスピーカー:イクリプスTD508MK3×6

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