SCHINDLER'S LIST
- 4K UHD BLU-RAY with DOLBY VISION and DOLBY ATMOS

SCHINDLER'S LIST stands apart among Spielberg’s filmography

Release Dates (Theater):December 15, 1993 (USA)
Domestic Total Gross:$96,898,818
(Foreign: $322,139,355)

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FILM

『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』のメガヒットに続いて公開されたファンタジー『オールウェイズ』(43年『ジョーという名の男』のリメイク)、そして90年代に入って放ったファンタジー・アドベンチャー『フック』の興行成績が思いのほか伸び悩み、業界では「そろそろスピルバーグ映画も飽きられたか」などという声が上がり始めた。ところが93年、一切極秘に撮影されていた大特撮映画『ジュラシック・パーク』で久々のメガヒットを放ってみせ、ネガティヴな声を払拭する。それが1993年6月のこと。さらに驚いたことに、同年11月、スピルバーグは採算を度外視して製作した、ユダヤ人の存在をかけた重厚なるヒューマン・ドラマ『シンドラーのリスト』を発表した(※)。それまで無縁だったアカデミー賞では作品、監督賞をはじめ7冠(※)に輝き、93年度の映画賞を軒並み制覇。『ジュラシック・パーク』とともに興行・批評両方の成功を手に入れることになった(ちなみに『ジュラシック・パーク』はアカデミー視覚効果、音響、音響効果編集賞受賞)。

スピルバーグが長年にわたり温めてきた、トーマス・キニーリーによるノンフィクション・ノベル『シンドラーズ・リスト 1200人のユダヤ人を救ったドイツ人』(ブッカー賞受賞)を映画化。渾身の情熱を傾けつつ、感傷を抑えたドキュメンタリー・タッチの演出。息継ぎも許さぬ緊迫感で描かれるユダヤ人大虐殺。これは600万人のユダヤ人が命を奪われ、1200人が生き延びたことの記録である。綿密に練り上げられた脚本と演出、映像、音響、音楽、編集のすべてがただならぬ緊張感とともに観客を物語に引き摺り込んでいく。主演はリーアム・ニーソン。共演にベン・キングズレー、レイフ・ファインズ。とりわけ冷酷な収容所所長に扮したファインズは、大抜擢に応えてオスカーを獲得した。

(※)企画当初スピルバーグは演出は手掛けず、プロデューサーとして参加する予定であった。マーティン・スコセッシ、ロマン・ポランスキー、ビリー・ワイルダーが監督候補となるが、ポランスキーは自らの収容所体験のトラウマから断りを入れ(のちに『戦場のピアニスト』を監督)、映画化に興味を示していたスコセッシは「ユダヤ人が完成させるべき企画」と語り、ワイルダーは「君がやるべきだ」とスピルバーグに指示。ユニバーサルは『ジュラシック・パーク』の演出を手掛けることを条件にGOサインを出した(製作費は『ジュラシック・パーク』のおよそ1/3)。

画像: 。Schindler's List 25th Anniversary - Official Trailer - In Theaters December 7 www.youtube.com

。Schindler's List 25th Anniversary - Official Trailer - In Theaters December 7

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AWARDS(1993)

アカデミー賞
★作品・監督・脚色・撮影・編集・美術・作曲賞受賞
☆主演男優・助演男優・衣装デザイン・メイクアップ・音響賞ノミネート

ゴールデン・グローブ賞
★監督・脚本賞受賞
☆男優・助演男優・音楽賞ノミネート

全米批評家協会賞
★ 作品・監督・助演男優・撮影賞受賞

NY批評家協会賞
★作品・助演男優・撮影賞受賞

LA批評家協会賞
★作品・撮影・美術賞受賞

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VIDEO

撮影はスピルバーグ作品の”映像の顔”であるヤヌス・カミンスキー(※)。アリフレックス/球面レンズ使用による35mmスタンダード撮影。収録アスペクトは1.33:1/上映アスペクトは(上下マスキング)1.85:1ビスタサイズ。今回のUHDブルーレイ化においては、スピルバーグ自らが監修・最終承認。35mmオリジナル・モノクロームネガを4K解像度でスキャニング。その後にデジタルレストア、カラーグレーディング、HDRグレーディングが施されている。DIファイルは4K。HDRはHDR10とオプションとなるドルビービジョンHDRを採用したハイブリット仕様。映像平均転送レートは51.6Mbps(HDR10)+6.1Mbps(ドルビービジョン)を記録する。

いまさら申すまでもないが、モノクロームの映像再生は難易度が高い。カラー作品なら気づかず、あるいは誤魔化しもきくが、モノクロームは映像機器の再生能力を容赦なく問うてくる。ホワイトバランスの再確認は必須。加えてプロジェクターならパネルの色ムラが気になってしまうこともあろう(画面右側はグレーだが、左側は赤身を帯びている/中央はグレーだが、周囲は緑素が強いetc)。諸々の難関を乗り越えた先には、驚異的な4K映像が眼前に広がるはずだ。ここでは息を呑むほど美しい、ソフトでディープな映像を再現。2013年BLU-RAY/20周年記念版と比較して、ディテイル描画のアップグレードは明快だ。細かな粒状感も極上の表現。クローズアップやミッドレベルの顔絵も際立っている。あらゆる撮影環境での深度規模を的確に感知し、レンズ操演に準じた厳正な被写界深度を描画。

ドルビービジョンHDRプレゼンテーションの恩恵は、コントラストと明度の改善に表れ、自然光と人工光源の濃度を上げ、黒の表現により優れたダイナミックレンジと一貫性を与えている。さまざまなライティングスキーム(照明設計)が露わとなり、暗部から明部にかけての階調のなだらかな滑択性、多用される低輝度ショットのシャドウディテール・レベルも改善している。

幅広い感情表現を届ける視覚的なストーリーテリングを最重視するカミンスキーだが、唯一無二と言っていい光彩陰影操演はハリウッド的な照明法の規範を逸脱するものだ。それはまるで伝統的な自然主義から光彩を解放し、表現主義的なアプローチによって光彩陰影が観客の意識の内部にまで入り込むような錯覚を覚えさせるのだ。コレが凄い。この映像感覚をUHD BLU-RAYで堪能されたい。

(※)1959年ポーランド生まれのカミンスキーは、ギリシャ旅行中の81年、母国で戒厳令が引かれ米国に亡命した。渡米後、シカゴとLAで撮影技術を学び、80年代後半からロジャー・コーマン製作作品等の低予算映画を撮影。91年にTVムービー『ワイルドフラワー』(監督ダイアン・キートン)の映像がスピルバーグの目に止まり、『シンドラーのリスト』の撮影監督に抜擢。ポーランド出身という出自が抜擢理由のひとつでもあるが、以降(2017年『レディ・プレイヤー1』までの)25年間、スピルバーグの最良のパートナーであり続けている。

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AIDIO

オスカーにノミネートされたサウンドデザイン/音響編集監修は『太陽の帝国』『ロジャー・ラビット』のルイス・L・エデルマン、そして『E.T.』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のチャールズ・L・キャンベル。音楽は御大ジョン・ウィリアムズ(オスカー受賞)。音声平均転送レートは3578 kbps(16ビット仕様)。

2013年版のリマスターDTS-HDマスターオーディオ5.1音声の出来栄えが素晴らしかったため、アップグレードされたドルビーアトモス・サウンドトラックとは極端な差異を感じない。オリジナルの音彩デザインはフロントヘビーなプレゼンテーションであったが、本作では多くの効果音にハイトチャンネルを占有させている。ただしオブジェクト操演は適材適所に限られ、音彩空間を過激に揺るがすこともないが、誰もそうしたアクティヴな音彩操演を期待していないだろう。全編を通じて補完的な音彩効果を追加する一方で、オリジナルのサウンドトラックに聴くテーマ性と寒々しいトーンを的確に伝達。派手さとは無縁のリアリズム・シネソニックであり、スクリーン上のあらゆる出来事に観客を引き込む精巧なサウンドミックスとなっている。

サウンドステージの拡張は、作品テーマの掘り下げや劇的なインパクトを追加する瞬間のために活用され、開幕から終幕に至るまで卓越したバランス、忠実度、そして暖かさを示している。控えめでありながら説得力のある御大ウィリアムズのスコア(※)は、悲しく、恐く、ときに優しく、クリスタルのように透明な音彩空間に観客を浸漬させる。ローエンドは瞬発力に富み、極めて鋭敏。会話から囁き声に至るまで、発声は明晰を極めている。

(※)ウイリアムズに言わせると、スピルバーグ作品には一定のリズムがあって楽曲を提供しやすいという。通常、映画音楽の制作は映像を見ながら行われるが、本作では撮影前に作曲が行われた楽曲もあった。そのレコーディング音源を聴きながら、スピルバーグは撮影を進めたのである。

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FINAL THOUGHTS

もはや『シンドラーのリスト』で新たな発見はない。あなたがそう考えているのなら、映画の得がするりと逃げていこう。4Kデジタルレストア。ハイブリットHDRグレーディング。リミックス・ドルビーアトモス。さらには最新の特典映像。間違いなく新しい映画の発見に出会うはずだ。とりわけモノクロームとHDRの相性の良さに驚かされる。とはいえ、ホロコーストの悪夢に容赦なく引き摺り込む、3時間を超える長尺。観る側には覚悟がいる。その覚悟ができるなら、唯一無二の映画体験が約束されるだろう。待望の国内盤リリースは4月10日。必見。必聴。

SPECIAL FEATURES

  • NEW! Schindler's List: 25 Years Later
    (1080p, 39:56)
  • Voices from the List (480i, 1:17:30)
  • USC Shoah Foundation Story with Steven Spielberg (1080p, 4:55)
  • NEW! Let Their Testimonies Speak - Stronger Than Hate (1080p, 3:50)
  • About IWitness (1080p, 4:03)

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DISC SPECS

TitleSCHINDLER'S LIST:25TH ANNIVERSARY EDITION
ReleasedDec 18, 2018 (from Universal Studios)
SRP$39.98
Run Time3:15:07.737 (h:m:s.ms)
CodecHEVC / H.265 (Resolution: 4K / DOLBY VISION / HDR10 compatible)
Aspect Ratio1.85:1
Audio FormatsEnglish Dolby Atmos (48kHz / 16bit / Dolby TrueHD 7.1 compatible), Spanish DTS 5.1, French DTS 5.1
SubtitlesEnglish, Spanish, French

FILM SPECS

タイトルシンドラーのリスト
1993
監督スティーヴン・スピルバーグ
製作スティーヴン・スピルバーグ, ジェラルド・R・モーレン, ブランコ・ラスティグ
製作総指揮キャスリーン・ケネディ
脚本スティーヴン・ザイリアン, 《原作》トーマス・キニーリー
撮影ヤヌス・カミンスキー
音楽ジョン・ウィリアムズ
出演リーアム・ニーソン, ベン・キングズレー, レイフ・ファインズ, キャロライン・グッドオール, ジョナサン・サガール, エンベス・デイヴィッツ, マルゴーシャ・ゲベル

4K画質評価

解像感★★★★★★★★★☆9
S/N感★★★★★★★★★☆9
HDR効果★★★★★★★★★★10
色調N/A
階調★★★★★★★★★☆9

音質評価

解像感★★★★★★★★★☆9
S/N感★★★★★★★★★☆9
サラウンド効果★★★★★★★★★☆9
低音の迫力★★★★★★★★☆☆8

SCORE

Film★★★★★★★★★★10
Image★★★★★★★★★☆9
Sound★★★★★★★★★☆9
Overall★★★★★★★★★★10

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