画像: (左)Debut F5.2、(中央上)Debut C5.2、(中央下)Debut B5.2、(右)SUB3010

(左)Debut F5.2、(中央上)Debut C5.2、(中央下)Debut B5.2、(右)SUB3010

 世界的スピーカーデザイナー、アンドリュー・ジョーンズが、独エラックで手がけたDebut(デビュー)シリーズの第二弾。トールボーイ型のF5・2、ブックシェルフ型のB5・2に加えて、センタースピーカー、C5・2、イネーブルスピーカー、A4・2、サブウーファー(S10・2/ SUB3010)と、全モデル2・0シリーズへと進化を遂げ、シンプルなステレオ再生から、本格的なマルチチャンネル再生まで、充実したラインナップで多彩なニーズに応える。
 ブラック・マット仕上げの外観は初代機からそのまま継承しているが、ドライバーユニット、ネットワーク回路、エンクロージャーと、全て新規開発された意欲作であり、そこにはアンドリューの思いがより強く込められたという。
 135mm径のウーファーユニットの振動板は、従来通りアラミドファイバー製。ただ磁気回路は大型化され、同時にボイスコイルの効率的な冷却、及びウーファーダクト内の空気の通りをよりスムーズにするため、ベント構造のポールピースを採用している。
 トゥイーターは25mm 径シルクドームタイプ。35kHz まで再生周波数を拡張しながら、低域方向の周波数レンジも伸ばした新規設計のユニットで、無理なくクロスオーバー・ポイントを下げることができたという。この両ユニットはF5・2、B5・2、C5・2共通である。

重厚なベースの響きでは 適度な湿り気も感じる

 まず、F5・2だが、3ウェイ4スピーカー構成のダブルウーファー仕様は変わらないが、今回は3基のウーファーの使いこなしを変更。トゥイーター下のウーファーユニットについては、ミッドレンジ+ウーファーの役割が与えられ、90Hzからゆるやかなスロープでカットオフされているという。
 早速、女性ヴォーカル、ジャズトリオと、聴き慣れた曲を2~3曲と聴いてみたが、整った帯域バランスで、スムーズに拡がる豊かな空間と、明確な定位が好ましい。ただ私の好みとしては、もう少し中低域の厚みを増して、ベースの存在感を増したい。
 そこで付属のスパイクを外して、床にベタ置きの状態で聴いてみたところ、音場がグッと下がり、低域の量感が豊かになった。できればこのまま分解能をあげたいところ……。そこでスピーカーベース部と床の間にハイポリマー製のインシュレーターをかませたところ、これが大正解。
 明快な解像力を持ちながらもピーク感がなく、肌合いのいいサウンドが耳にスッとしみこむ感じで、ベース、バスドラが気持ちよく躍動する。重厚な響きは、適度な湿り気を感じさせ落つきのある質感で、腰砕けにならない。ちょっとした気遣い、ひと手間に、しっかり反応し、応えてくれるスピーカーは、実に楽しい。
 続いてB5・2も聴いてみたが、落ちつきのある抑えの効いたサウンドで、スピーカーとしての素性のよさが感じ取れる。そして2ウェイブックシェルフとしては、中低域の描写もなかなか意欲的。ピアノ、ベースとも、音階の描き分けが的確で、シーナ・エイの声は艶っぽく、息づかいが生々しい。  

全体に穏やかに表現する 肌触りのいいサウンド

 最後にF5・2をフロント用に、B5・2をサラウンド用に配置した、新生デビュー2・0シリーズによる5・1chのマルチチャンネル再生システムを聴いてみよう。なおサブウーファーはS10・2と、パッシブラジエーター付きで、ELAC Sub EQアプリケーションが使えるSUB3010の2モデルが用意されているが、ここでは後者を使用している。 まず『君に読む物語』を再生してみたが、全体に刺激臭のない肌触りのいいサウンドで、セリフの質感も滑らかだ。刺々しさがなく、輪郭も穏やかに聴かせるため、センターに定位するセリフと、その背後に拡がる音楽の関係性も把握しやすい。ストーリーに寄り添うように聴かせる感じは、悪くない。
 続いて映画『シカコ』のチャプター5(セルブロック・タンゴ)の再生では、牢獄で踊り、歌う彼女たちの声は凄味たっぷりで、その背後に拡がる音楽と効果音で恐怖感を演出する。フィナーレのステージではギター、サックス、トランペットと、各楽器の響きがおおらかで、声が明るい。そして銃声とともに迎えるエンディングはスケール感溢れるサウンドが素早く、立体的に拡がり、一気に臨場感を盛り上げてくれた。
 シームレスな広がり、一体感は、まさに音色、反応が整えられたスピーカーによるマルチチャンネルシステムならでは。このシステムに同軸2ウェイのイネーブルスピーカー、DebutA4・2を加え、5・1・2ch再生に発展させることも可能。このまとまりのよさはドルビーアトモス再生でも、そのまま引き継がれることになる。

← 搭載される25mmドーム型トゥイーターは、口径は前モデルに搭載されたものと同様ながら周波数帯域は上下帯域でともに大きく拡大。それに伴ないクロスオーバー周波数も2.2kHzまで下がっており、ウーファー帯域とのスムーズなつながりを実現できているという

← トールボーイ型のDebut F5.2の背面。内部は3つの部屋に分割(トゥーイーター/最上部ウーファー/残りのウーファー2基)されており、容積もそれぞれに異なる。エンクロージャー強度向上のためにブレーシング材も入っており、不要な共振を効果的に抑えているという。スピーカー端子はシングルワイヤリング仕様で、ブックシェルフ型、センター型も共通

← イネーブルドスピーカーも一新され、Debut A4.2として登場。同軸2ウェイ仕様で、価格はペア¥45,000+税

Debut F5.2
¥125,000(ペア)+税
●型式:3ウェイ4スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:25mmドーム型トゥイーター、135mmコーン型ウーファー×3
●クロスオーバー周波数:90Hz、2.2kHzインピーダンス:6Ω
●出力音圧レベル:86dB/2.83V/m
●再生周波数帯域:42Hz~35kHz
●寸法/質量:W180×H1016×D234mm/15.6kg

Debut C5.2
¥40,000+税
●型式:2ウェイ3スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:25mmドーム型トゥイーター、135mmコーン型ウーファー×2
●クロスオーバー周波数:2.2kHz
●インピーダンス:8Ω
●出力音圧レベル:87dB/2.83V/m
●再生周波数帯域:55Hz~35kHz
●寸法/質量:W540×H180×D219/8.3kg

Debut B5.2
¥55,000(ペア)+税
●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:25mmドーム型トゥイーター、135mmコーン型ウーファー
●クロスオーバー周波数:2.2kHz
●インピーダンス:6Ω
●出力音圧レベル:86dB/2.83V/m
●再生周波数帯域:46Hz~35kHz
●寸法/質量:W180×H341×D234mm/5.9kg

SUB3010
¥95,000+税
●型式:アンプ内蔵型
●使用ユニット:250mmコーン型ウーファー×2、250mmパッシブラジエーター
●最大出力:300W
●再生周波数帯域:28Hz?150Hz
●寸法/質量:W343×H364×D343mm/14.6kg

問合せ先:(株)ユキム /TEL 03(5743)6202

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