ヴィヴィッドな反応を魅せる、驚きの堂々肉厚なサウンド

パネルの仕上げを黒に変えた、Aura(オーラ)ブランド30周年を祝うプレミアムなブラック・エディションである。型名に従来機のCDプレーヤー“vivid(ヴィヴィッド)”とプリメインアンプ“vita(ヴィータ)”の文字を含むが、プレミアム・ブラック・エディションの両機は大幅な仕様アップを図っている。

まず外観意匠について。オーラと言えば薄型とクロームメッキの光沢パネルが象徴的だが、実は30年前の第1号機のVA-40は黒仕上げだった。記念モデルは、その佇まいに戻って、細密なヘアラインの黒仕上げとした。照明や見る角度によってはマットな黒にも見えるほど、緻密なヘアラインのていねい加工である。  

CDプレーヤーのヴィヴィッド・プレミアム・ブラック・エディションはCD専用機で、平衡と不平衡のアナログ出力および同軸と光のデジタル出力を装備する、シンプルな機能が特徴的だ。  

プリメインアンプのヴィータ・プレミアム・ブラック・エディションは、オリジナルのヴィータからチューナーを外したことでパネル上のプッシュボタンもなくなり、シンプルなレイアウトとなった。しかもパワーアンプ終段は連綿採用の日立製MOS-FETのシングル・プッシュプルからパラレル・プッシュプルに強化し、出力は50W/chから75W/chへと増強。さらにハイレゾ対応のDAC機能も搭載し、384kHz/32ビットとUSBからDSD11.2MHzをサポートできる。一世を風靡した魅力にとどまらず、現代ニーズも取り込んだプレミアムな記念仕様である。

低重心のパワフルな描写
調整次第で音抜けも変化する

試聴はデノンの組合せのHiVi視聴室リファレンスを聴いた後、プリメインアンプのみオーラに交換して開始。その印象はスカッとしたキレのいい音。CD『E.S.T. SYMPHONY』のオーケストラの弦楽器のしなやかな動きが鮮明に浮かび上がる。そんな魅力のいっぽう、低音系ブラスなど低域の厚みや表情は、デノンの重量級アンプを聴いた直後では、ちょっと物足りない気もする。  

次にジャズピアニストはセロニアス・モンクが1971年に録音した2枚組CD『コンプリート・ラスト・ロンドン・レコーディングス』からトリオ演奏を聴けば、やはり中高音域の繊細な情報感に魅力を想う。が、好みはもう少し分厚くガツンと聴きたいところである。

さて、いよいよCDプレーヤーも入れ替えて、オーラの新製品コンビで聴いてみる……と「まあビックリ」の堂々肉厚な音である。『E.S.T. SYMPHONY』の試聴曲「Viaticum Suite」の意味は辞書で調べると〈臨終の聖餐〉の〈組曲〉となろうか。まずは管弦楽を背景に低音系ブラスが重々しく主題を奏でるが、肉厚描写によっていかにも表題の雰囲気なのである。モンクの演奏も、録音黄金時代の音らしく、低重心のパワフルな描写だ。そう感嘆しつつも、聴き込むと僅かに、ホント僅かにだがボトム量感が多いような気もする。

そこで同軸接続をして高性能DACチップ搭載のプリメインアンプにD/A変換を任せると、モンクではピアノの低弦の響きが引き締まり演奏全体も晴れやかに。図太く録られたダブルベースも鮮やかな音像輪郭を描きフレッシュである。

さて、どっちの音にしようか、と悩む。基本的には前者の低重心肉厚描写が好みなのだが、しかし後者の晴れやかな音を体験してしまうと、ホント迷う。初心貫徹、前者の音を基本にして、後者の美点を取り込めないものだろうか……。

そこで……。取材では視認性や操作性などのために2台の3段ラックを用意し、それぞれの上段に両コンポーネントを置き試聴してきたが、その配置を改め1台のラックにプレーヤーとアンプを集約。結果、自重によってラック全体がしっかりとした。  
 
そんな恩恵だろうか、アナログ接続での音は、モンクでの“僅かにボトム量感が多い”印象も薄れて、ヌケのよい肉厚描写となった。ちょっとした作業だったが再生音楽の表情はかなりの変わりようだ。オーディオの面白いところである。それにしても、オーラブランド30周年記念のコンビはヴィヴィッドな反応を見せてくれた。

画像: 写真左: vita Premium Black Edition 写真右: vivid Premium Black Edition

写真左: vita Premium Black Edition
写真右: vivid Premium Black Edition

INTEGRATED AMPLIFIER
Aura vita Premium Black Edition
180,000円+税

●定格出力:75W×2(8Ω)●接続端子:アナログ音声入力3系統(RCA×2、XLR)、MM/MC対応フォノ入力1系統(RCA)、デジタル音声入力3系統(同軸、光、USBタイプB)、プリアウト出力1系統(RCA)、ヘッドホン出力1系統(6.3mm標準フォーン)●寸法/質量:W430×H67×D310mm/7.4kg
●備考:100台限定生産

CD PLAYER
Aura vivid Premium Black Edition
150,000円+税

●再生可能ディスク:CD●接続端子:アナログ音声出力2系統(RCA、XLR)、デジタル音声出力2系統(同軸、光)●寸法/質量:W430×H67×D275mm/4.6kg
●備考:100台限定生産
●問合せ先:オーラデザインジャパン(株) TEL.03(5743)6202

画像: vivid Premium Black Edition CDプレーヤーvivid Premium Black Editionのリアカット。中央にバランスとアンバランスのアナログ音声出力端子と、その右側に光と同軸のデジタル音声出力端子を持つシンプルな構成。デジタル/アナログともに入力端子は持たない、CD再生に特化した製品だ

vivid Premium Black Edition
CDプレーヤーvivid Premium Black Editionのリアカット。中央にバランスとアンバランスのアナログ音声出力端子と、その右側に光と同軸のデジタル音声出力端子を持つシンプルな構成。デジタル/アナログともに入力端子は持たない、CD再生に特化した製品だ

画像: vita Premium Black Edition プリメインアンプvita Premium Black Editionのリアカット。左側にアナログ音声入力端子、中央にデジタル入力端子、右側には1系統のスピーカーターミナルを用意。USBタイプB入力(DAC素子はESSテクノロジーのES9028Q2M)ではPCM 384kHz/32ビット、DSD 11.2MHzまで対応し、フォノ入力はMM/MC両対応と現代機らしい多機能モデルになっている

vita Premium Black Edition
プリメインアンプvita Premium Black Editionのリアカット。左側にアナログ音声入力端子、中央にデジタル入力端子、右側には1系統のスピーカーターミナルを用意。USBタイプB入力(DAC素子はESSテクノロジーのES9028Q2M)ではPCM 384kHz/32ビット、DSD 11.2MHzまで対応し、フォノ入力はMM/MC両対応と現代機らしい多機能モデルになっている

画像: vita Premium Black Editionの内部は、左側にトランスを含む電源部、右側に増幅部など各種回路基板を配する形になっている。内部配線材に独ムンドルフ社のものを用い、ELNA製の整流コンデンサーも搭載するなどオリジナル機に比べて、プレミアムな仕上がりになっている

vita Premium Black Editionの内部は、左側にトランスを含む電源部、右側に増幅部など各種回路基板を配する形になっている。内部配線材に独ムンドルフ社のものを用い、ELNA製の整流コンデンサーも搭載するなどオリジナル機に比べて、プレミアムな仕上がりになっている

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