ネットワークオーディオプレーヤーの人気ブランド、ピクセルマジックシステムズ社のLUMIN(ルーミン)から登場したフラッグシップ機、X1。HiVi 2019年1月号で行なった徹底取材では、大幅な音質向上ぶり、特に光LAN接続時の高音質に驚かされた。そこで今回はもう一歩踏み込んで、光LAN接続を徹底化したときのパフォーマンスと、X1をトランスポートとして使ったときのテストを行なってみた。

 HiVi 2019年1月号で、ルーミンX1の音質、操作性/レスポンス、ソースへの対応力などを徹底的にチェックした。その結果は誌面の通り。前フラッグシップだったS1を所有する筆者も衝撃を受けるほど圧倒的に向上した音質を確認できた。

 そして、その取材時に興味深い発見があったのだが、それは光ファイバーケーブルを用いた光イーサネットLAN接続(以下、光LAN接続)を、ハブとプレーヤー間で試した際の大幅な音質向上効果である。X1には、同接続方式に対応したSFP(Small Form-factor Pluggable)対応のポートが搭載されており、同じようにSFPポートを持つSOtM(ソム)のネットワークハブ、sNH-10Gと組み合わせて、一般的なRJ45端子を使ったLAN接続との違い、音質改善効果を確認したのだ。

サーバーからX1まで全経路を光LANにした音は圧倒的だ!

 まず、SOtMの外部クロック、sCLK-OCX10からクロックを供給したハブsNH-10Gに、フィダータのサーバーHFAS1S10とルーミンX1を通常のLANケーブルで接続して音を聴く。つまり私たちが普段利用するスタンダードなネットワーク構成である。

 

光LAN接続を徹底化。2ヵ所に用いる

画像: ▲1月号の取材でもっとも音の印象がよかった状態、クロック同期したSNH-10GとフィダータS10をLAN接続、SNH-10GとX1を光LAN接続した構成から取材スタート。そこから上図のように光メディアコンバーターを用いてSNH-10GとS10間も光LAN接続した時のパフォーマンスをチェックした

▲1月号の取材でもっとも音の印象がよかった状態、クロック同期したSNH-10GとフィダータS10をLAN接続、SNH-10GとX1を光LAN接続した構成から取材スタート。そこから上図のように光メディアコンバーターを用いてSNH-10GとS10間も光LAN接続した時のパフォーマンスをチェックした

画像: ▲X1は、RJ45と呼ばれる一般的なLAN端子のほか、SFP(Small Form-factor Pluggable)という規格の光LAN端子も備えている。SFP端子搭載のSOtMのSNH-10Gと光LANケーブルでダイレクトに接続できる

▲X1は、RJ45と呼ばれる一般的なLAN端子のほか、SFP(Small Form-factor Pluggable)という規格の光LAN端子も備えている。SFP端子搭載のSOtMのSNH-10Gと光LANケーブルでダイレクトに接続できる

画像: ▲RJ45端子のLAN接続をSFP端子を使った光LAN接続に変換する光メディアコンバーターというアイテムも市販されている。今回はSNH-10GとS10間の接続で、TP LinkのMC220というコンバーターを用いてサーバーとハブ間も光LAN接続した

▲RJ45端子のLAN接続をSFP端子を使った光LAN接続に変換する光メディアコンバーターというアイテムも市販されている。今回はSNH-10GとS10間の接続で、TP LinkのMC220というコンバーターを用いてサーバーとハブ間も光LAN接続した

画像: ▲SNH-10Gはクロック入力端子付きのネットワークハブ。今回はSOtMブランドのクロックsCLK-OCX10を使い10MHzクロック信号を送り込んだ。sCLK-OCX10は電源レス仕様のクロックジェネレーターだ(¥500,000+税。詳細は取扱い元の(株)ブライトーンにお問合せください)

▲SNH-10Gはクロック入力端子付きのネットワークハブ。今回はSOtMブランドのクロックsCLK-OCX10を使い10MHzクロック信号を送り込んだ。sCLK-OCX10は電源レス仕様のクロックジェネレーターだ(¥500,000+税。詳細は取扱い元の(株)ブライトーンにお問合せください)

画像1: 【HiVi新製品徹底テスト】ネットワークオーディオプレーヤー「ルーミン X1」多機能と高音質を高度に両立した逸品、音楽の感動をエモーショナルに描き切る

NETWORK HUB
SOtM
SNH-10G
¥200,000+税(リクロック機能+クロック入力機能付き仕様)

●接続端子:LAN 10系統(RJ45×8、SFP×2)、10MHzクロック入力1系統(BNC)
●寸法/質量:W296×H50×D211mm/2kg
●ラインナップ:通常仕様(¥160,000+税)、リクロック機能付き仕様(¥180,000+税)
●備考:いずれも電源アダプター別売。詳細は下記代理店にお問合せください
●問合せ先:(株)ブライトーン ☎03(6869)0516

 

 DSD11.2M㎐音源『ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ/アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団』(以下『ペトルーシュカ』)は、弦楽器に色艶があり全帯域にわたって躍動感がある。96kHz/24ビット/FLAC『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー/YMO』(以下、『YMO』と表記)は、シンセサイザーの音の立ち上がりがよく、70年代末とリンクするかのように空気感まで表現する。ロスレス音楽ストリーミングサービス、TIDAL(タイダル。日本未サービス)で聴いた『アテンション/チャーリー・プース』(以下『Cプース』)は、左右スピーカー間にヴォーカルがリアリスティックに定位し、情報量も豊富だ。ルーミンX1の見事な基本音質をまず再確認できた。

 次に、前回同様、ハブとプレーヤー間を光LANで接続する。具体的には光ファイバーケーブルが接続された専用のLCコネクターをネットワークプレーヤーとハブそれぞれのSFPポートに接続した。ちなみに光LAN接続には、シングルモードとマルチモードの大きく2規格があり、伝送プロトコル(通信手順)や光ファイバーの直径が違う。まずこの2方式を聴き比べると、シングルモードが聴感上のSN比や解像感に優れていた。ということで以後の光LAN接続時の印象はすべてシングルモード時のものである。

 

光LAN接続の2方式。シングルモードとマルチモードを比較

業務用で使われることの多い光LAN接続方式では、SFP端子を使いながらも伝送距離や信号帯域の違い等によってさまざまな規格で運用されている。ケーブルの構造および伝送方法に関しても「シングルモード(写真上)」と「マルチモード(写真下)」などがある。今回は条件を揃えて両モードの品位を試してみたところ、シングルモード時が好印象だった。HiVi 2019年1月号での徹底取材記事もシングルモードでのテストであり、今回もシングルモードを基本にリポートしている

画像2: 【HiVi新製品徹底テスト】ネットワークオーディオプレーヤー「ルーミン X1」多機能と高音質を高度に両立した逸品、音楽の感動をエモーショナルに描き切る
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 『ペトルーシュカ』は、LANケーブル接続と比較してノイズレベルが下がり空間の見通しががぜんよくなる。ピアニシモにおいても、音の明瞭度が高いところも特筆したい。『YMO』は周波数レンジが広がり、まるでマスターテープの鮮度が上がったような大幅な音質向上効果だ。光LAN接続の理論的なメリットとして考えられる「LANケーブルを通じて機器間に流れるノイズや、LANケーブルをアンテナとしてネットワークプレーヤーに伝わるRFI(無線周波数妨害)/EMI(電磁波妨害)ノイズ等を、物理的に遮断できる」ことを音質として明確に感じられたのである。

 次に、光LAN接続を一般的なLAN接続に変換するTP Linkのメディアコンバーター、MC220を用い、S10(サーバー)とsNH-10G(ハブ)間も光LAN接続してみた。ただし、このメディアコンバーターを使えば、メリットだけでなく「電気/光」の変換処理によるデメリットも生じ得る。

 しかし、『ペトルーシュカ』は、さらにノイズフロアーが下がり、絶対的な情報量が増して抑揚表現がより豊かに感じられ、楽曲や演奏の魅力 −音楽性と言ってよいかもしれない− が高まり感動した。『YMO』は、シンセサイザーの立ち上がりがさらに鋭くなるし、『Cプース』は、自然で躍動的にサウンドが変化する。あまり大げさに書きたくないのだが、サーバーからプレーヤーに至るすべての音声ラインを光LAN接続した効果は絶大。一度聴いたら元に戻れない、そんな感じだ。

トランスポートの実力はどう?最新DACとの連携を試す

 光LAN接続の感激も冷めやらないが、次にX1のUSBデジタル出力を用いて、トランスポートとしてのチェックを行なう。専用アプリ「ルーミンApp」にてUSBデジタル出力を選び、X1とD/AコンバーターをUSBケーブルで接続する。LANは先程と同じ全経由で光LAN接続としている。

 

X1をネットワークトランスポートとして活用

画像: ▲接続は、掲載した光LAN接続を2ヵ所に用いた状態をベースに、ルーミンX1をUSB出力し、土方さん注目の3機種のDACにUSBタイプB端子でつないだ

▲接続は、掲載した光LAN接続を2ヵ所に用いた状態をベースに、ルーミンX1をUSB出力し、土方さん注目の3機種のDACにUSBタイプB端子でつないだ

画像4: 【HiVi新製品徹底テスト】ネットワークオーディオプレーヤー「ルーミン X1」多機能と高音質を高度に両立した逸品、音楽の感動をエモーショナルに描き切る

USB出力を用いてルーミンX1をネットワークトランスポートとして使う発展形の使い方も試した。X1のアナログ音声出力をあえて使わずに愛用のD/Aコンバーターを活かす方法だ。なお、X1とDAC側の関係でファイル再生の対応が変わり、今回の3機種ではD-2とDAVEではDSD11.2MHz音源の再生ができたが、DP-750ではDSD5.6MHz音源までの再生となった

 

画像: SOULNOTE D-2

SOULNOTE D-2

D/A CONVERTER
SOULNOTE
D-2
¥600,000+税
●問合せ先:(株)CSR☎042(703)5100
▲D-1に引き続き、ESSテクノロジーの最高峰DAC素子、ES9038PROを搭載し、最高性能を目指したソウルノートの最新DAC。ES9038PROを左右2基ずつ、合計4基を搭載した豪華な構成をベースに高性能クロックを採用。さらにこだわりのNOS(ノンオーバーサンプリング)モードにも対応している

 

画像: CHORD DAVE

CHORD DAVE

D/A CONVERTER
CHORD
DAVE
¥1,500,000+税(写真のスタンドは別売り)
●問合せ先:(株)タイムロード☎03(6435)5710
▲2016年登場の英国コードの最上位DAC。デバイスメーカーが供給するDAC素子に頼らず、独自アルゴリズムでのD/A変換回路を搭載している。同社DACのアイデンティティともいえるアナログ出力段に採用したパルスアレイ回路も20エレメント仕様と贅を尽くしている

 

画像: ACCUPHASE DP-750

ACCUPHASE DP-750

SACD/CD PLAYER
ACCUPHASE
DP-750
¥1,200,000+税 ※単体DACとして使用
●問合せ先:アキュフェーズ(株)☎045(901)2771
▲アキュフェーズの最新・最高の一体型SACD/CDプレーヤー。ディスク再生以外にも充実した内容の単体D/Aコンバーターとしても使用可能であり、今回はそのUSB入力を活用してみた。X1との連携で368kHz/32ビットのPCM信号や5.6MHz/1ビットのDSD信号を再生した

 まず、ソウルノートのD2から。『ペトルーシュカ』は、サウンドステージがグッと広がり、しかも躍動的に描写する。『YMO』は密度感と優れた音色のエレクトリックサウンドを絶妙なグルーヴで鳴らす。グイグイとリスナーを引き込むような勢いがあるサウンドで、X1が備えている基本性能の高さに加えて、D2のよさを兼ね備えた印象だ。

 次は、ハイエンド・オーディオファンに人気が高いことで知られている、英国コードのDAVE。『ペトルーシュカ』は、ハーモニー豊かな音で、情報量指向だけに陥らない、絶妙かつ豊かな音楽性が魅力的だ。『Cプース』のシンセベースは重量感がありながらも思わずカラダ全体でリズムをとってしまうような躍動感のある表現。これが実に素晴らしい。X1がD/Aコンバーターの個性をしっかりと引き出している印象だ。

 最後はアキュフェーズのSACDプレーヤー、DP750のDAC機能を使ってみた。相性の問題なのか、この組合せでは、DSD11.2M㎐の再生ができなかったので、DSD5.6M㎐の『The Very ThoUghT Of YoU/エミリー・クレア・バーロウ』を再生した。本曲ではDSDらしいなめらかな質感が魅力的。この組合せには、リスナーを強く引き込む、そんな求心力に満ちたサウンドといった佇まいを感じた。

プレーヤーとしてだけでなく、トランスポートとしても魅力的

 2回に渡ってルーミンX1のパフォーマンスをじっくりチェックしてみたがいかがだっただろうか? X1は、最新鋭DACチップやFPGA(プログラム可能なゲートアレイ素子)によるフェムトクロックシステム、さらにデジタル部とアナログ部が強力にアイソレートされた新型電源部など、徹底した音質対策を施している。加えてPCMは768kHz/32ビットまで、DSDは22.5MHzまでに対応。MQAのフルデコーダーを内蔵するなどX1のスペックはほぼ完璧だ。しかも、スペックに優れるだけでなく、音も舌を巻くほどの仕上がりのよさ。2014年発売のS1から足かけ4年。「X1の開発期間の多くは音質向上のために費やした」と開発者は話しているが、それは伊達ではない。

 結論を述べよう。X1は単体ネットワークプレーヤーとしては、実にエモーショナルな音が最大の魅力だといえる。そしてトランスポートとして使った場合は、D/Aコンバーターの個性を決してスポイルせずに、基本性能を全体に底上げするような存在にもなれる。いろいろな考え方があろうが、これは、トランスポートとしてもっとも重要な性能だと筆者は考えている。どちらで使う場合も、光LAN接続を導入できる点はX1の大きなアドバンテージだ。

 ルーミンは昨年末から今年にかけて、X1以外にも、ミドルクラスのネットワークプレーヤーのT2、小型ネットワークトランスポートのU1 MINIを発表するなど、積極的な製品展開を見せている。ルーミンの今後の展開から目が離せない。

 

NETWORK PLAYER
LUMIN
X1
¥2,000,000(シルバー)+税

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画像7: 【HiVi新製品徹底テスト】ネットワークオーディオプレーヤー「ルーミン X1」多機能と高音質を高度に両立した逸品、音楽の感動をエモーショナルに描き切る

●接続端子:アナログ音声出力2系統(XLR、RCA)、デジタル音声出力2系統(BNC、USBタイプA)、LAN 2系統(RJ45、SFP) 他
●寸法/質量:本体・W350×H60×D345mm/8kg、電源・W106×H60×D334mm/4kg
●特徴:TIDAL、QobUz対応、MQAデコード対応、最高PCM384kHz/24ビットおよびDSD5.6MHz/1ビットまでのアップサンプリング対応
●カラリング:シルバー(写真)、ブラック(¥2,220,000+税) 
●問合せ先:(株)ブライトーン☎03(6869)0516
 

 

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リファレンス機器
●ミュージックサーバー:フィダータHFAS1-S10
●プリアンプ:アキュフェーズC-2850
●パワーアンプ:アキュフェーズA-75
●スピーカーシステム:モニターオーディオPL300Ⅱ

試聴ソフト
『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー(2018 Bob LUDwig RemaSTering)/YELLOW MAGIC ORCHESTRA』(96kHz/24ビット/FLAC、文中表記『YMO』)、
『ATTenTion / Charlie PUTh』(44.1kHz/16ビット/FLAC、TIDAL音源、文中表記『Cプース』)、
『ストラヴィンスキー:バレエ「ペトルーシュカ」/アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団』(11.2MHz/1ビット/DSF、文中表記『ペトルーシュカ』)
『ドヴォルザーク:交響曲第9番/ケルテス指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団』(11.2MHz/1ビット/DSF)、
『The Very ThoUghT of YoU / EMIlie-Claire Barlow』(5.6MHz/1ビット/DSF)

 

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