フォノ入力からデジタル入力まで多彩に対応する
パイオニアのエントリー プリメインアンプ

  最近のパイオニアはステレオ・オーディオ機器のラインナップが充実している。近年のアナログレコードの復興が関係していると思うが、ユーザーにとっては選択肢が増えてうれしい限り。
 今回紹介するA40AEは、パイオニアのプリメインアンプとしてはエントリークラスにあたる製品だ。本機はA30の後継機で、およそ6年ぶりの新製品となる。今回は型番を30から40としたことで、同社としては「それ相応のグレードアップを施した」との思惑があるのだろう。

 エントリークラスの製品だが、パイオニアの思想でもある「ダイレクトエナジー」を継承。これは、アンプから放たれた音楽を、ロスなくスピーカーに届けるよう設計がなされていることを意味する。この思想を元にした音質向上の策が新たに採用された「ダイレクトエナジーコンストラクション」というわけだ。

 これはオーディオ製品に限らず大半の電化製品の配線に用いられる銅線を、なるべく短くしているのが大きな特徴。熱心なオーディオファンであればご存知だと思うが、ワイヤーの長さやツイストする回数、さらにどのように筐体内でワイヤリングするかによって音に大きく影響がでる。そこでワイヤリング自体を可能な限り減らすことで音質向上を図っているのだ。この手法は一見、簡単そうに思うかもしれないが、信号や電気の流れを限られた筐体内でスムーズにレイアウトするとなると、いろいろと制約が出てくる。そこでパイオニアは電源専用基板を使い、さらに一部基板を2階建て構造とし、電気と信号の経路の最適化を図っている。

 他にはパイオニア定番となりつつある定在波対策が施されたインシュレーターや、ボリュウムノブの振動を低減するスタビライザーも装備。フォノ入力はもちろん、新たにデジタル入力も装備され、幅広い再生環境に適合できる。さて、どんなサウンドか気になるところだ。

ドライブ力は高く
低音もタイトで心地よい

試聴環境は筆者のオーディオルームで、スピーカーはダイヤトーンのDS100ZV、ソース機器にはパイオニアのN70AEを使用している。音源はシノーポリ指揮ニューヨーク・フィルハーモニックの『レスピーギ:交響詩《ローマの松》』から「カタコンベ付近の松」(96kHz/24ビット/FLAC)を聴いた。

 A40AEは帯域バランスが良好で、エントリークラスながら、音の勘所を抑えている。このクラスだとキャラクター性を持たせて、インパクトのある音で聴かせるタイプもあるが、本機はスピーカードライブ力も感じられ、芯のある音で真っ当なピュアオーディオ製品と言えるだろう。「カタコンベ~」冒頭の旋律は緩みのないタイトな低音が心地よい。

 これからオーディオを始める人は、導入してからすぐに一定以上の音質が得られるのだから幸せだ。また本機はパワーアンプ入力も備えるなどシステム拡張性も高く、後々のシステム全体のグレードアップを考えても安心して購入できるだろう。パイオニアからシステムの中核も担なってくれるアンプの登場だ。

画像: ドライブ力は高く 低音もタイトで心地よい

INTEGRATED AMPLIFIER
Pioneer A-40AE (写真左)
¥57,500+税

●定格出力:60W×2(4Ω) ●接続端子:アナログ音声入力5系統(RCA)、MM対応フォノ入力1系統(RCA)、デジタル音声入力2系統(同軸、光)、プリアウト出力1系統(RCA)、パワーアンプ入力1系統(RCA)、ヘッドホン出力1系統(6.3mm標準フォーン)他 ●消費電力:110W(待機時0.1W) ●寸法/質量:W435×H129×D323mm/8.2kg

Pioneer A-10AE (写真右)
¥38,000+税

●定格出力:50W×2(4Ω) ●接続端子:アナログ音声入力4系統(RCA)、MM対応フォノ入力1系統(RCA)、プリアウト1系統(RCA) 他 ●消費電力:100W(待機時0.1W)●寸法/質量:W435×H129×D323mm/6.8kg
●問合せ先:パイオニアホームオーディオコールセンター TEL.050(3388)9425

画像: A-40AEの背面。左側にデジタル/アナログの音声入出力端子を備え、中央にはスピーカー端子を2系統用意している


A-40AEの背面。左側にデジタル/アナログの音声入出力端子を備え、中央にはスピーカー端子を2系統用意している

付属のリモコンはA-40AE、A-10AEともに共通。トーンコントロールなどの回路をバイパスする「ダイレクトモード」の切替えはリモコン下部中央の「DIRECT」ボタンでも操作可能

画像: 芯のある音の真っ当なピュアオーディオ製品
パイオニアA-40AE/A-10AE

A-10AEは シンプルな構造で 素直なサウンド
A-40AEと同時に発表されたA-10AEは出力を50Wにダウンサイジングしたモデル(D/Aコンバーターは非搭載)。A-40AEと比べると、A-10AEの方が好みのサウンド。内容がシンプルなだけに出音も素直であった。試聴時にいろいろと調整をしてみたが、それぞれに音の変化が感じられたのが面白い。例えば振動対策はかなり効果的で、本機はいろいろなチューニングをする楽しみがあるのが魅力と言えよう。音を聴いてどちらにするか悩む方がいるかもしれないが、D/Aコンバーターが不要ならば本機をオススメする(木村)

画像: A-10AEはMM対応フォノ入力とアナログ音声入力5系統のみの用意。電源ケーブルはA-40AEが着脱式だったのに対し、こちらでは直出しとなっている

A-10AEはMM対応フォノ入力とアナログ音声入力5系統のみの用意。電源ケーブルはA-40AEが着脱式だったのに対し、こちらでは直出しとなっている

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