ソニーはCES2019で、8Kテレビ「Z9G」を発表。有機ELではなく液晶だ。98/85型で展開する。注目すべきポイントは、①大画面での8K展開、②HDRをさらにインプレッシブにする白ピークの伸び、③8Kへのアップコンバート技術だ。

画像: 8K液晶テレビ 「Z9G」の98インチ

8K液晶テレビ 「Z9G」の98インチ

 詳しくは近日公開予定の、長尾和芳・ソニービジュアルプロダクツ企画マーケティング部門
部門長のインタビュー記事を参照いただきたいが、私的に、ひじょうに注目したのが、③のアップコンバートだ。

 昨秋のIFAのインタビューで、高木一郎・ソニービジュアルプロダクツ/ソニービデオ&サウンドプロダクツ社長が、こう言っていたからだ。「まだ8Kは早いです。現実には4Kが中心であり、8Kは感動価値を感じてもらえるような製品ができたら考えたいと思います」。

 つまり当時としては8Kは開発中であり、12月の新4K8K衛星放送の開始時には、リリースできないということであった。

 ところが、今回のCESで8Kテレビ試作機を発表し、具体的な発売時期、価格などは春にアナウンスするとした。なぜ今、8Kは現実化したのか。性能的に満足がいく、アップコンバート技術が完成したからだ。

画像: 8Kネイティブ映像も素晴らしい。リオのカーニバル8Kの最新版

8Kネイティブ映像も素晴らしい。リオのカーニバル8Kの最新版

 高木氏は言った。「8Kはコンテンツがきわめて少ない。そこで4K、2K映像を、いかに8Kまでアップコンバートするかが、重要になります。その見極めがついたのが、8K進出の最大の理由です」

 開発したのが8K対応の「X-Reality PRO」。オブジェクトベースの超解像アップコンバートだ。もともと近藤哲二郎氏が開発したDRC系の最新バージョン。4K用との違いは8K用のデータベースを持つことだ。より細かくオブジェクトを探索し、8K画像に置き換える。

 実際に、業務用有機ELモニターX300の4K映像と98インチのZ9G映像を比較してみたが、X300が持っている緻密な情報感、密度感にひじょうに近い8Kアップコンバート映像がZ9Gで得られていることが分かった。

 アップコンバートのアルゴリズムが優れているだけでなく、輝度方向のダイナミックレンジが広大で、カラーボリュウムの多さやグラデーションの数が効いている。やはり画素数が増えた時、グラデーションをより細かく描けるメリットはひじょうに大きいと感じた。

 隣に現行の65型4K液晶テレビで同じ映像を表示している。つまりネイティブ4K表示だが、X300とは相当違う。薄く、緻密さが減る。これまでX300は比較したら敵う者はないとされていた。確かにそれはX300の映像を薄くした感じだ。一方、Z9Gの8Kアップコンバートは大袈裟にいうと、X300をそのまま大きくしたような感覚だ。

 Z9Gは、8Kはもちろん、4Kからのアップコンバート映像も超絶ということが分かった。

画像: 【麻倉怜士のCES2019レポート6】ソニーが、8K液晶テレビ「MASTER Series  Z9G」シリーズを展示。このアップコンバートは超絶的だ!
画像: 写真上はX300で、下がZ9G。X300の緻密な情報感、密度感が、アップコンバートされ、98インチ/8Kで、ほとんどそのまま観れる

写真上はX300で、下がZ9G。X300の緻密な情報感、密度感が、アップコンバートされ、98インチ/8Kで、ほとんどそのまま観れる

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