クリプトンから超小型スピーカーシステム、KS-55(ダブル・ファイブ)が登場した。

 KS-55は、既に評価の高い同社のKS-7HQMやKS-9Multiなどの設計思想を継承した、KSシリーズ中最少のハイレゾ対応/ニアフィールドスピーカーシステムである。したがってD/Dコンバーターと最新のDSP、デジタルクロスオーバー、そしてフルデジタルアンプをそれぞれ組み込んだ2ウェイスピーカーシステムという点は同様だ。

 しかし本機は、実は見逃せない最新のフィーチャーを備えている。それはハイレゾ対応の高品質ブルートゥースコーデック、「クァルコム aptX HD(アプトX HD)」を、一体型コンポではない“左右スピーカーが独立した”スピーカーシステムとして、世界で初めて採用していることである。同コーデックは、従来の「aptX」がCD相当の音質までの対応であったのに対し、「HD」はハイレゾファイル(最大48k㎐/24ビット)の伝送を可能としている。したがって本コーデック伝送に対応したスマホやDAP(デジタルオーディオプレーヤー)をお使いの方は、ワイヤレスで簡単にスピーカーから高音質を楽しむことが出来るのである。

 なお、本機はKSシリーズ共通のアルミ押出し材による高剛性エンクロージャーを採用。カラリングはレッド・メタリックとシルバー・メタリックが用意されており、この2色は近くで見るとひじょうに美しいカラリングだ。

 このクリプトンKSシリーズは、デジタル音源が入力されると、一度もアナログ変換されずにスピーカーユニットの直前までフルデジタルで伝送される。つまり音質を損なう要素が極少で、純度の高い音質が約束されるのである。

小さな筐体でも充実した低域
帯域バランスも整っている

 試聴は、プレーヤーがMac+オーディルヴァーナプラスで、KS-55とはUSB接続。なお、KS-55はスピーカースタンドに載せて芯々で1mにセット。スピーカーとリスニングポジションまでの距離も約1mである。

 『ザ・ビーチ・ボーイズ・ウィズ・ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団』は、ビーチ・ボーイズのヒット曲に、英国ロイヤル・フィルのストリングオーケストラをダビングした作品で、帯域バランスをチェックするには好適である。音場は広大で、さらに低音も意外なほど豊か。帯域バランスもよく整っている。女性歌手SOMIの歌う「フォア・アフリカン・ウーマン」は、音量を上げ気味で聴いたが、63.5mmウーファーとは思えない充実した低域は中高域とよく調和して、ガットギターソロは生々しくヴォーカルは眼前で歌っているよう。ムターのヴァイオリンを中心としたシューベルト『ます』は、コントラバスが入ったピアノ5重奏というユニークな編成だが、コントラバスの動きがこんなに小さなスピーカーながらよく分かる。リング型トゥイーターは、下手をすると輝かしい音を出しがちだが、本機に搭載の30mmリングドーム型は、実になめらかな音色で感心させられた。

 ここで本機の特徴的な機能aptX HD接続を試してみる。DAP(A&ultima SP1000)からブルートゥース伝送で、パンチ・ブラザーズ『ALL ASHORE』(96k㎐/24ビット/FLAC)は、48k㎐/24ビットにダウンコンバートされるが、録音の素晴らしさがストレートに伝わってきた。ブルーグラス編成の弦楽器は生々しく、ヴォーカルは硬質感のない温もりが感じられる。途中で音切れもなく充分使えるな、という印象。続けてアナログ接続(3.5mmステレオミニ)に変えて聴いてみると、やはりこちらの方が音はもう少し滑らかでニュアンスも豊か。とは言え、aptX HDもかなり頑張っていて、何より無線の便利さはありがたい。

  最後にオッポデジタルUDP-205とKS-55を光デジタル接続、液晶ディスプレイとプレーヤー間をHDMI接続として、カティア・ブニアティシヴィリ&ズービン・メータのUHDブルーレイ『リスト&ベートーヴェン:ピアノ協奏曲』を視聴。超小型スピーカーなのでオーケストラのスケール感は欲ばれないが、それでも帯域バランスは整ってピアノはひじょうにクリアー。超ミニチュアの世界だが生々しく、吸引力のある音が飛び出した。

 ACアダプター方式電源は3Pのしっかりしたコンセントが付いた、クリプトンクォリティと言える信頼できるもの。小さいけれど表現力は大きく、高音質の立派なオーディオシステムと言える。

画像: 小さな筐体でも充実した低域 帯域バランスも整っている

KRIPTON KS-55
¥92,500(ペア)+税

●型式:D/Aコンバーター+パワーアンプ内蔵2ウェイ2スピーカー・バスレフ型 ●使用ユニット:30mmリング型トゥイーター、63.5mmコーン型ウーファー ●対応サンプリング周波数/量子化ビット数:〜192kHz/24ビット(PCM)●接続端子:デジタル音声入力2系統(光、USBタイプB)、アナログ音声入力1系統(3.5mmステレオミニ)●寸法/質量:W109×H159.5×D203.4mm/2kg(右)、1.9kg(左)●カラリング:クリプトン・レッド・メタリック(写真)、クリプトン・シルバー・メタリック●備考:クリプトンオンラインサイト専用販売モデル
●問合せ先:株式会社クリプトン☎03(3353)5017

画像: 入力端子はすべて右スピーカーに用意されている。デジタル音声入力はUSBタイプBと光、アナログ音声入力は3.5mmステレオミニとなっている。右上の端子は左スピーカーとのつなぐ専用ケーブルで使うもの

入力端子はすべて右スピーカーに用意されている。デジタル音声入力はUSBタイプBと光、アナログ音声入力は3.5mmステレオミニとなっている。右上の端子は左スピーカーとのつなぐ専用ケーブルで使うもの

画像: 高域を担うリング型トゥイーターはすでに同社スピーカーシステムの定番と言えるもの。砲弾型のイコライザーが搭載されているもので、60kHzまでの超高域再生ができるハイレゾ対応だ。63.5mm径のウーファーユニットはKSシリーズですでに採用実績のあるユニット

高域を担うリング型トゥイーターはすでに同社スピーカーシステムの定番と言えるもの。砲弾型のイコライザーが搭載されているもので、60kHzまでの超高域再生ができるハイレゾ対応だ。63.5mm径のウーファーユニットはKSシリーズですでに採用実績のあるユニット

画像: 別カラリング、シルバー・メタリックはアルミ本来の色を活かした仕上げを目指したという。価格はレッド・メタリックと同じだ

別カラリング、シルバー・メタリックはアルミ本来の色を活かした仕上げを目指したという。価格はレッド・メタリックと同じだ

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