東芝4K液晶レグザの中でも人気の高いZシリーズの最新モデルが登場。今回は実売でおよそ20万円と価格的にも魅力の大きな49Z720Xを徹底視聴。新4K衛星放送用チューナーはもちろん、4Kスカパー! チューナーを内蔵し、レグザお馴染の全録機能「タイムシフトマシン」も備える。そして画質・音質の点でも液晶テレビの最高峰を目指したという注目モデルの実力を、さまざまなソースでじっくりチェックしてみた。
画像: TOSHIBA 49Z720X

TOSHIBA 49Z720X

 東芝の4K液晶レグザのトップモデルとなるZ720Xシリーズ。映像エンジンには有機ELテレビのX920シリーズと同じく新開発の「レグザエンジン Evolution PRO」を搭載。スピーカーは重低音の再現性を高めたその名もズバリの「重低音バズーカオーディオシステムPRO」を内蔵し、画質と音質の両面で高品質を追求している。

 

画像: 映像エンジンには「レグザエンジン Evolution PRO」を搭載。この回路は有機ELテレビX920シリーズ用に開発されたもので、今回はその能力を活かして高精細な4K映像を生み出している

映像エンジンには「レグザエンジン Evolution PRO」を搭載。この回路は有機ELテレビX920シリーズ用に開発されたもので、今回はその能力を活かして高精細な4K映像を生み出している

 

 12月1日からスタートするBS/CS 4K放送用チューナーを内蔵した点も注目で、別送のBS/CS 4K視聴チップを装着すれば放送が見られるようになる。その他にも、スカパー! の4K放送も視聴可能な4Kスカパー! チューナーの内蔵や、地デジ放送を6チャンネルぶん全録できる「タイムシフトマシン」、多彩な動画配信サービスに対応するネットワーク機能を備えるなど、テレビに求められるあらゆる機能を盛り込んでいる。

基礎体力の高さを感じる映像。重低音モードも効果は大きい

 では、その実力を見ていこう。まずは「タイムシフトマシン」で録画した地デジ放送をいくつかチェックしてみた。部屋の明るさはやや薄暗くして、映像モードは「標準」、音声モードも同じく「標準」、重低音モードは「弱」としている。

 ニュース番組やドラマ番組を観ると、画質は鮮明で色のりも豊かだ。地デジ放送のHD信号(1440×1080画素)を超解像処理で4K化する「地デジビューティX PRO」の恩恵だろう、細部まで緻密に描写しながらも、ノイズのチラつきはごくわずか。4Kテレビの地デジ画質というとS/Nを重視した無難なまとめ方をするものが多いが、Z720Xはノイズを抑えながらもディテイルがしっかり出ている。やや明るめの画調ということもあり、自然な質感でありながら、見映えのする映像だ。

 また、外光の反射を抑えて明所コントラストを向上させた新開発のIPS液晶パネルと直下型LEDバックライトの効果も大きい。IPSパネルとは思えないコントラスト感の豊かな映像が楽しめる。LEDバックライト方式にありがちな周辺部の輝度低下などによる明るい画面での輝度ムラもよく抑えられており、ディスプレイとしての基礎体力が向上していると感じた。

 

画像: 液晶パネルには視野角の広いIPS方式を採用。従来比約2倍の高コントラストを実現する新世代パネルで、組み合わせるバックライトは直下型LED方式。LEDの点滅を厳密に制御する「リアルブラックエリアコントロール」技術を加えて、HDR映像など幅広い輝度レンジに対応する

液晶パネルには視野角の広いIPS方式を採用。従来比約2倍の高コントラストを実現する新世代パネルで、組み合わせるバックライトは直下型LED方式。LEDの点滅を厳密に制御する「リアルブラックエリアコントロール」技術を加えて、HDR映像など幅広い輝度レンジに対応する

 

 あまりに地デジ画質が素晴らしいので、動きの激しいスポーツ番組や空撮シーンなどでザワザワとしたノイズが目立ちやすいドキュメント番組も観てみたが、映像ソースにノイズが多い場合は、精細感を欲張らずにノイズ感や映像のざわつきを抑えた見やすい映像にしていることに気がついた。ソースの状態に合わせた処理がよく出来ていて、映像の破綻や粗さが気にならないようになっている。こうした細やかな映像処理は見事なものだ。

 音もなかなかの実力だ。吹奏楽のライヴを収めた音楽番組では、たくさんの楽器の音を混濁させずに明瞭に描き、音質は自然な感触。大太鼓などの低音楽器の音もよく出ていて充実感がある。

 「重低音バズーカオーディオシステムPRO」は、2ウェイスピーカーをフロントL/Rに前向きに配置し、中央背面に重低音用バズーカウーファーを置いたもの。大口径のポートで両サイドから放出することで、広がりのある低音再生を可能にしている。音声メニューで選択できる重低音モードは、「オフ」のほか「弱/中/強」の3段階となるが、スピーカーシステムとしてフラットな特性になっているのは「弱」。音楽番組ではもっとも自然なバランスだった。「弱」でも低音感がしっかりしているので、映画作品であっても「中」で充分だろう。「強」はごく一部の爆音映画で使うくらいがちょうどよい設定だと感じた。

下部に設けた重低音用のバズーカウーファーが特徴的なZ720Xシリーズ。スタンドを含めた奥行は49型/55型モデルともに189mm

スピーカーは「重低音バズーカオーディオシステムPRO」を採用。ボックスタイプの2ウェイスピーカーを左右それぞれに、そして中央背面に重低音用のバズーカウーファーを配置した2.1ch構成となり、総合出力は66W(15W+15W+8W+8W+20W)。4K映像に負けないダイナミックレンジの広い音を目指している

画像: 重低音モードは「オフ」のほか、「弱」「中」「強」の3段階から選択可能。イコライザーの調整項目や、サラウンドモード(『ライヴ』『映画』など)も用意される

重低音モードは「オフ」のほか、「弱」「中」「強」の3段階から選択可能。イコライザーの調整項目や、サラウンドモード(『ライヴ』『映画』など)も用意される

 

 スポーツ番組を観ていても歓声の音の広がりはスムーズだし、ドラマのダイアローグはきちんと画面に定位し、映像との一体感もある。BGMもややメリハリを効かせて聴き心地のよいものになっている。音声処理もそれぞれのユニットを独立したアンプで駆動するほか、DSPによる周波数特性など高精度な処理が行なわれているが、基本的な音の実力を高めて補正後も不自然さのない音に仕上げている。番組のジャンルを問わない自然な音質は大きな魅力と言える。

 

東芝レグザと言えばタイムシフトマシン録画(全自動録画)が特徴のひとつ。ひとつのハードディスクに6チャンネルまで録画が可能で、録画時間帯を1時間単位で細かく指定することもできる

ディスク再生中にリモコンの「画面表示」ボタンを長押しすると、写真のようにHDRのピーク輝度や平均輝度(ディスクによっては表示されない)など詳細情報を確認することができる。ただし、事前に「その他の設定」から「信号フォーマット詳細表示設定」をオンに変更しておく必要がある

HDRコンテンツの再生時に重宝しそうなのが「HDRコントラスト」。中間部の明るさを調整する項目で、『0』から『10』まで手動で変更可能。自分好みのHDR感を探りたい

「HDRコントラスト」でHDR感を高めたあとは黒味を加えたくなるはず。ここは「ガンマ調整」の「暗部調整」でバランスをとりたい。プラスマイナスそれぞれに10段階で調整が可能

 

解像感に優れるHDR画質。暗部階調もしっかり描く

 今度は、ネットフリックスで『ジャスティス・リーグ』を再生してみた。ネットフリックスに限らないが、動画配信サービスでは映像が途切れないように回線状況に合わせてリアルタイムで映像の転送レートを可変しながら配信している。こうしたネット動画の特性に合わせて、Z720Xでは「ネット映像オートピクチャー」という機能を実装。変動する転送レートや解像度に合わせて、リアルタイムで適切な超解像処理とノイズリダクションをするという。

 その成果か、再生開始直後や場面を大きく飛ばした通常は低レートで映るようなところでも極端な画質の劣化はなく、実にスムーズに解像度が変化していく。映像の破綻や画質の劣化を気にせず、違和感なくストリーミング映像を楽しめるようになっている。

 肝心な作品画質は、『ジャスティス・リーグ』のように暗いシーンの多い作品の場合、黒浮きはややあるものの、しっかりとコントラスト感も確保できていて、不満は少ない。

 最後にオッポデジタルのユニバーサルプレーヤーUDP205を使って、UHDブルーレイ作品を再生してみた。映像モードは「映画プロ」、音声モードは「映画」、重低音モードは「中」としている。

 『デッドプール2』で、妻を殺された主人公が暗いバーで嘆いている場面を観たが、暗部の階調をしっかりと描き、見通しのよい映像だ。解像感の高さは見事で、薄汚れた部屋の質感がしっかりと伝わる。バーの中の照明などの強い光は力強く発光し、コントラスト感も充分。また、後半の強敵との対決場面は、明るさに余裕があるせいか実にパワフル。HDRとの兼ね合いもありそうだが、明るいシーンでの彩度の高い色がやや鮮やかに映りすぎるきらいはあるものの、迫力のあるバトルが存分に楽しめた。

 音については、爆発音などの低音域の伸びに限界はあるものの、格闘での打撃の効果音や音楽のしっかりとした中低域の再現性など、間違いなくテレビの内蔵スピーカーを超えるレベルだ。重低音モードを切り替えれば低音の量感が増すので、好みに応じて使い分けるといいだろう。サラウンドモードの「映画」も試してみたが、無理に包囲感や後方の音の再現は欲張らず、にわかに広がりが豊かになる程度。サラウンドとしての効果は弱めだが、位相がずれた不自然な感じはなく、聴きやすい音だった。

 視野角の点でも、さすがはIPSパネル。画面正面から外れて斜め視聴をしても精細感や色の変化はごくわずか。若干、暗部の黒浮きが増えたと感じる程度だった。斜めから見ても映像が見づらくなることはほとんどないだろう。また、映り込みもやや薄暗いくらいの視聴環境では、映像の暗部でほんの少し気になる程度だ。

 チューナーの装備なども万全だが、それら多彩なソースに合わせて適切な映像と音を楽しめる作りは見事なもの。総合力に優れた完成度の高い液晶テレビが登場した。

 

 

入力端子部。HDMI端子は4系統ともHDCP2.2に対応。USB端子はタイムシフトマシン用を2系統、通常録画用を1系統、汎用1系統を備える。スカパー!の4K放送対応チューナー接続用端子も見える

画像1: 解像感に優れるHDR画質。暗部階調もしっかり描く
画像: X720Xシリーズは今年12月1日からスタートするBS/CS 4K放送用チューナーを内蔵する。事前に申し込んでおけばBS/CS 4K視聴用のチップが届けられ、12月1日以降に4K放送が見られるようになる。写真上部がそのチップを挿し込む拡張端子部分

X720Xシリーズは今年12月1日からスタートするBS/CS 4K放送用チューナーを内蔵する。事前に申し込んでおけばBS/CS 4K視聴用のチップが届けられ、12月1日以降に4K放送が見られるようになる。写真上部がそのチップを挿し込む拡張端子部分

リモコンは従来のデザインを踏襲したもの。上段左側に「4K」の選局ボタンが配置される。また、本機もソニーZ9Fシリーズと同様にNetfliX作品の映像解像度やビットレート値が確認可能で、再生中に青ボタンを押すと詳細データが表示され

 

視聴リファレンス機器

●UHDブルーレイプレーヤー  オッポデジタル UDP-205

視聴ソフト

●UHDブルーレイ 『デッドプール2』『レディ・プレイヤー1』
●NetfliX 『ジャスティス・リーグ』 他

 

画像2: 解像感に優れるHDR画質。暗部階調もしっかり描く

4K LCD DISPLAY
オープン価格(実勢価格20万円前後)

TOSHIBA 49Z720X

●画面サイズ:49型
●画素数:水平3840×垂直2160
●内蔵チューナー:BS/CS 4Kチューナー×1、地上デジタル×9、BS/110度CSデジタル×3 他
●接続端子:HDMI入力4系統、デジタル音声出力1系統(光)、USBタイプA 4系統、LAN 1系統 他
●消費電力:236W(待機時0.4W)
●寸法/質量:W1105×H692×D189mm/17.5kg(スタンド含む)
●ラインナップ:55Z720X(実勢価格24万円前後)
●問合せ先:東芝テレビご相談センター70120-97-9674

 

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