去る9月29日、30日の2日間、長野県松本市のオーディオ専門ショップ「ロイヤルオーディオ」の主催で、特別な試聴会が開催された。「JBLとマークレビンソンで、ステレオサウンドが制作するソフトを聴いてみよう」というイベントである。そのために用意されたスピーカーは、長野県ではほぼ初めてのお披露目となる、JBLのProject EVEREST DD67000。DD67000は、2発の38cmウーファー、4インチ/1インチ口径の高域/超高域再生用コンプレッションドライヴァーを搭載した、JBLのフラッグシップ。そのサウンドは体を震わせるがごとき中低音の迫力と、繊細な表現力を兼ね備えた卓抜たるもので、オーディオマニアなら絶対に聴き逃せないはず。そんなハイエンドスピーカーをドライヴするセパレートアンプやアナログプレーヤーが、あのマークレビンソンということになれば、その思いは一層強まることだろう。

 今回の会場は、松本市内中心部に新しくオープンした「信毎メディアガーデン」3階に設けられたスタジオで、オーディオ試聴会の場としては初めて使われるスペースだ。ここは一般的な展示会などの他、ダンススタジオなどとしても使えるよう、周囲の壁面がガラスと鏡という特殊なつくりになっている。一見して、とてもライブな空間と思いがちだが、実際にDD67000をセッティングして音を出してみると、きちんとした音響設計がなされているのだろう、意外や意外、なかなかいいフィーリング。開催前日に行なったリハーサルでも、会場の広大なエアボリュウムとも相まって、雄大な空間表現を確認することができた。もちろん、懸念された「うゎんうゎん」という嫌な響きもない。2つのスピーカーの間に定位するヴォーカルもとてもシャープだった。

 イベント両日は、あいにく台風接近の最中だったが、それでもたくさんのオーディオ愛好家が集まり、主催のロイヤルオーディオ取締役 営業部長の丸山浩明さんも驚くほど。1日目の11時からスタートした試聴プログラムは満席となった。
 今回は、ステレオサウンド制作ソフトの中でも、アナログレコードを数多くお聴きいただく構成の内容とした。というのも、レコード制作を担当したスタッフが同行し、ダイレクトにその制作の思いを伝えたいという意向があったからだ。みなさんに一番聴いていただきたかったのは、何と言っても新作の「ステレオサウンド リファレンス・レコード Vol.1」 先ごろ惜しくも亡くなられたオーディオ評論家の菅野沖彦氏が選曲・構成したCDをアナログレコード化した作品である。本作は、CDリリース当時の1992年、菅野氏がオーディオ機器の評価に使っていたフィリップス(当時)音源から選び抜いた音楽を収録したソフトで、この1作があれば、各オーディオコンポーネントがどんな個性を備えているのか、またどんな長所、短所があるのかを見極めることさえできる。試聴会では、マークレビンソンのターンテーブルNo515にオルトフォンのカートリッジを装着。フォノイコライザーを内蔵する同プリアンプNo52からモノーラルパワーアンプNo536へ信号を送り込み、DD67000をドライヴした。お聴きいただいたのは、Disc1のA面1曲め、ヴェルディの歌劇「マクベス」前奏曲。
 試聴機器とソフトの説明を終え、ゆっくりとレコード盤に針が落とされる。ボリュウムをあげてしばし待つと、勇壮なオーケストラのサウンドが、DD67000から流れてきた。会場の空気を揺らすトゥッティ、それがスパっと止んで、演奏会場の音の余韻が滑らかに消えていく。自然な音の強弱、そして空間を感じさせる豊かな響きと伸びやかさ……。描き出されたサウンドステージは、まさにJBL+マークレビンソンという組合せならではのもの。客席のお客様もその音の迫力に圧倒されたようで、プログラム終了後には、会場にずらりと並んだステレオサウンド制作の最新高音質ソフトを手に取り、たくさんの方がお気に入りの1枚を買い求めていた。

 試聴プログラムでは、このアナログレコードの他、フラットトランスファーシリーズの端緒となった、美空ひばりやテレサ・テンのCD-Rシリーズや、発売されたばかりの尾崎亜美初SACDなどもお聴きいただいている。今回、この壮大な試聴システムを東京から運び入れ、緻密なセッティングを担っていただいた、ハーマンインターナショナルのスタッフからは、DD67000とマークレビンソン各モデルの解説をダイレクトに聞くことができ、そのパフォーマンスをフルに引き出すデモンストレーションも行なわれた。

 今回は、試聴会2日目が終った翌日、「ロイヤルオーディオ」のショップにもお邪魔させていただいた。歴史を感じる店内には往年の名機や、最新コンポーネントがずらりと展示され、あらゆるオーディオマニアの要望に応えられる幅広い対応力がうかがえる。2階には、オーディオ機器の魅力をじっくり味わうための試聴室があり、お目当の1台を射留めるのにふさわしい空間を演出。とくに試聴用のCDソフトがたくさん揃っていたのが印象的だった。
 松本駅から徒歩10分ほどのところにあるロイヤルオーディオ。近郊にお住いの方、あるいは松本に足を運んだら、ぜひ一度訪ねていただきたいオーディオ専門店だ。

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