プリメインアンプ/ヘッドホンアンプの「エルネストーロ50k EX」と
プリアンプ/ヘッドホンアンプの「ファブリジオーロ 30k EX」が登場

画像: プリメインアンプ/ヘッドホンアンプの「エルネストーロ50k EX」と プリアンプ/ヘッドホンアンプの「ファブリジオーロ 30k EX」が登場

(写真左)
HEADPHONE AMPLIFIER + CONTROL AMPLIFIER
Carot One
FABRIZIOLO 30k EX
¥70,000+税
●接続端子:アナログ音声入力2系統(RCA、3.5mmステレオミニ)、ヘッドホン出力1系統(3.5mmステレオミニ)、アナログ音声出力1系統(RCA)●寸法/質量:W76×H75×D150mm/1.1kg

(写真右)
HEADPHONE AMPLIFIER + INTEGRATED AMPLIFIER
Carot One
ERNESTOLO 50k EX
¥75,000+税
●最大出力:25W×2(4Ω)、12W×2(8Ω)●接続端子:アナログ音声入力2系統(RCA、3.5mmステレオミニ)、ヘッドホン出力1系統(3.5mmステレオミニ)●寸法/質量:W76×H75×D150mm/1.1kg
●問合せ先:(株)ユキム ☎︎03(5743)6202

クォリティがさらに充実した重心の低い音に驚かされる

 イタリアのナポリに拠点を置くキャロットワンを代表する2モデル、ERNESTOLO(エルネストーロ)とFABRIZIOLO(ファブリジオーロ)が、それぞれ50k EX、30k EXという型番を末尾につけてフルモデルチェンジを果たした。

 エルネストーロ50k EXはプリメインアンプ/ヘッドホンアンプ、ファブリジオーロ30k EXはそこからパワーアンプを省略したプリアンプ/ヘッドホンアンプだ。

 フルモデルチェンジを果たした両モデルは外観からして初代モデルから大きく変わっている。まず目を奪われるのが、筐体前方に載っけられたガラス・ブロックだ。真空管部分の保護が目的とのことだが、ずっしりとした重さがあり、制振の役割も少なくないだろう。実際、ブロック有りの方がより安定感のある再生だと感じられた。

 筐体は電源系と信号系基板の相互干渉を防ぐため、アルミから削り出された2つのブロックによるセパレート構成を採用している。

 エルネストーロ50k EXは上のブロックに出力25W×2(4Ω)のデジタルアンプボード、下のブロックにプリアンプ&ヘッドホンアンプを内蔵。

 ファブリジオーロ30k EXも見た目はほぼ同じだが、上のブロックのデジタルアンプボードはオミットされ、背面にはアナログ音声(RCA)出力が1系統取り付けられている。

 いずれもリニア・シェイプというコンセプトが示す通り、曲線を排したスクエアなデザインが上質感を引き立てている。

 なお、型番のEXは日本国内のみの特別仕様であることを指す。JJエレクトロニク製の真空管ECC802S GOLDと、バーブラウンのオペアンプOPA2604APが輸入元でアッセンブルされ、バイアス調整などを行なったうえで出荷されるという。

画像: FABRIZIOLO30k EXとERNESTOLO 50k EXのフロントパネルにはヘッドホン出力端子、アナログ入力用のステレオミニ端子が備わる

FABRIZIOLO30k EXとERNESTOLO 50k EXのフロントパネルにはヘッドホン出力端子、アナログ入力用のステレオミニ端子が備わる

画像: FABRIZIOLO 30k EX

FABRIZIOLO 30k EX

画像: ERNESTOLO 50k EX  ↑←FABRIZIOLO30k EXはアナログ入出力端子(RCA)を備え、本格的な管球式プリアンプとしても使える。ERNESTOLO 50k EXはFABRIZIOLO 30k EXと同じプリアンプ回路に加えて出力25W+25W(4Ω)のデジタルアンプボードを備えたプリメインアンプ。両機は日本国内の特別仕様となる“EX”エディションで、真空管はJJ社製のECC802S GOLD。オペアンプにはバーブラウン社製のOPA2604APを用いている

ERNESTOLO 50k EX

↑←FABRIZIOLO30k EXはアナログ入出力端子(RCA)を備え、本格的な管球式プリアンプとしても使える。ERNESTOLO 50k EXはFABRIZIOLO 30k EXと同じプリアンプ回路に加えて出力25W+25W(4Ω)のデジタルアンプボードを備えたプリメインアンプ。両機は日本国内の特別仕様となる“EX”エディションで、真空管はJJ社製のECC802S GOLD。オペアンプにはバーブラウン社製のOPA2604APを用いている

明るく、滑らか、ツヤっぽい。陽性の言葉が想起される音

 HiVi視聴室でのテストは、スピーカーにフォステクスGX100BJ、デジタルファイル再生用にオッポデジタルのUDP205(USBタイプA端子からフラッシュメモリーを再生)、パワーアンプにオラソニックNANO-A1(ファブリジオーロ30kEX試聴時)を使って行なった。

 まずはプリメインアンプのエルネストーロ50kEX。ガラス・ブロックの奥でほんのりと青く光る真空管に惚れ惚れしつつ、ポール・サイモンのハイレゾファイル「ウェアウルフ」(96kHz/24ビット/FLAC)を再生すると、想像以上に安定感のある、重心の低い音に驚かされる。

 複雑に絡み合うリズムアンサンブルは、解像感よりはグルーヴ感を優先した鳴り様で、ステレオイメージの広がりも充分。何より魅力的なのは、シンセサイザーなどサスティン系楽器パートやヴォーカルの滑らかな再現だ。それはペンギン・カフェのインストゥルメンタル曲「ソラリス(コーネリアス・ミックス)」(44.1kHz/24ビット/FLAC)の弦楽器を聴いてもよく感じられる。

 一聴すると明るくライトな調子なのだが、その音像は分厚く、確かな実体感が備わっている。トライアングルの響きにも淀みがなく、楽曲のアクセントとして、タイムキーパーとしての役割をしっかり果たしている。柔らかい、明るい、滑らか、ツヤっぽい。そんな陽性の言葉ばかりが思い浮かんでくる、聴いていて幸せな気持ちになれる音だ。

 続いてプリアンプのファブリジオーロ30k EX。本機とエルネストーロ50k EXの違いは、先述のようにパワーアンプの有無。価格差は5000円。コスパだけを見れば、50k EXの方が断然いいように思える。あえてこちらを選ぶ理由は、①ヘッドホンしか使わない、②自分で組み合わせたいパワーアンプがある、ぐらいしか考えられない。

 しかし②の理由で本機をチョイスする人がいるんだろうかと思いつつ試聴してみると、これがプリアンプとして相当に使えるモデルだという実感を持った。最初に価格的な釣り合いを考えてオラソニックNANO-A1を組み合わせたのだが、広がりや定位の向上にセパレート化のメリットは明らか。

 試しにグッと価格帯が上のアキュフェーズのパワーアンプA36を接続してみると、低域の解像感やヴォーカルのディテイル再現がアップ。格上のパワーアンプを相手に手綱を奪われた感のない、よく制動された音を聴くことができた。

 2010年に初代エルネストーロを発売、マニア心をくすぐる仕様と強い印象を残すニンジン色の筐体、そして何よりも音のよさで日本でも多くの支持を得たキャロットワン。USB DACからイヤホンまで製品ラインナップを順調に拡充させているが、この2モデルを聴けばクォリティ面でも次のレベルへと歩を進めていることがすぐにわかる。

画像: 前面にチューブ・プロテクターの役割を重ねたキューブ状のガラス・ブロックを配置したユニークなデザイン。試聴取材ではこのガラス・ブロックの有無によっても音質の違いが感じられた--

前面にチューブ・プロテクターの役割を重ねたキューブ状のガラス・ブロックを配置したユニークなデザイン。試聴取材ではこのガラス・ブロックの有無によっても音質の違いが感じられた--

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