日本のオーディオメーカーでは、オンキヨーグループが今回のIFAから姿を消したのとは対照的に、ヤマハブースは大躍進。毎年、訪れるごとにブースが広くなっている。

画像: プリアンプ、C-5000

プリアンプ、C-5000

 これまでも「ヤマハ=音楽会社」というイメージづくりのために、オーディオとピアノなどの楽器を同一ブース内に置いていたが、今回はブース自体が拡張されたので、今やオーディオと楽器が隣り合った別ブースとなった。来年はさらに拡張する計画で、第1ホールのオーディオハピリオンの入り口はヤマハで占拠されるだろう。

 日本メーカーの躍進は嬉しい。もっと嬉しいのが、今年がヤマハにとって「フラッグシップイヤー」ということだ。HiFiオーディオ分野でターンテーブル「GT-5000」、プリアンプ「C-5000」、パワーアンプ「M-5000」がリリースされ、既発のスピーカー「NS-5000」を加え、フラッグシップでシステムが組める。

画像: パワーアンプ「M-5000」

パワーアンプ「M-5000」

 ジャクリーヌ・デュ・プレ、バレンボイム&イギリス室内管弦楽団『ハイドン:チェロ協奏曲ハ長調』のアナログレコードをブース内の試聴室で聴いた。1967年4月録音の名盤だ。

 序奏の冒頭、弦の優雅な旋律が、何の淀みもなく流麗に、まさに川の流れにそのまま身を委ねるように奏でられる。音がスピーカーからではなく、空間から湧いてくるようだ。粒立ちの細かい微細な音粒子が自然に出でて、弦の倍音が色彩感を演出していた。8部音符のヴァイオリンと32部音符のビオラの掛け合いのコケティッシュさが、音として耳をくすぐる。

 メインのチェロの登場を歓迎する序奏に続き、22小節目から主役が颯爽と躍り出る。ジャクリーヌ・デュ・プレは剛毅なダウンボウの4重音と付点音符で、第1主題を奏でる。すべての弦が32部音符と16部音符でオブリガードを奏し、それにチェロが3重和音をマルカートで応える……という音の流れにおいて、GT-5000+C-5000+M-5000+NS-5000のフラグシップシステムでは、ひじょうに細部まで音の時間軸が刻まれ、実に瑞々しい音で、音楽的感興を豊かに再現していた。

画像: ターンテーブル「GT-5000」

ターンテーブル「GT-5000」

 ヤマハ・AV事業推進部AV商品企画グループ主事の熊澤進氏は、フラグシップ機器の音づくりについてこう述べた。

 「ヤマハではさまざまなオーディオ機器の音づくりをなるべく若手のエンジニアに担当させています。先日、目指す方向を同じにしようと会合を持ったのですが、そんなミーティングを持つ必要もないほど、彼らの中では自然に音づくりの方向が完全に一致していたことには驚きました。それが『音楽の持つダイナミズム』『音の時間軸の正しい再現』のふたつでした。われわれが特にこだわっているのが“休符の表現”です。音が無い所でもちゃんと音楽が進行していることを再現したいのです」

 確かにそんな音の狙いは、私の耳が確認したのであった。

画像: ヤマハ・AV事業推進部AV商品企画グループ主事の熊澤進氏。「こだわっているのが“休符の表現”です」

ヤマハ・AV事業推進部AV商品企画グループ主事の熊澤進氏。「こだわっているのが“休符の表現”です」

画像: 独立した楽器ブース

独立した楽器ブース

画像: ゆったりとしたスペースのAV機器ブース

ゆったりとしたスペースのAV機器ブース

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