上級機開発で培った技術を搭載したミドルクラスの新シリーズ「KANTA」登場

画像: 上級機開発で培った技術を搭載したミドルクラスの新シリーズ「KANTA」登場

 「KANTA」は、仏フォーカル社の新しいスピーカーライン。「KANTA N°2」は3ウェイ4スピーカーのフロアー型だ。全ラインナップで見た位置付けとしては、「UTOPIA」と「SOPRA」に次ぐ、ちょうど中間的ポジションとなる。

 本機に採用されたドライバーユニットは、いずれも採用実績のある材料を用いた最新版だ。27mm口径の「IAL3」ピュアベリリウム・インバーテッド・ドームトゥイーターは、同社のシンボルといえる、ダイヤモンドに次いで振動伝播速度の速いベリリウムを使用したドライバー。今回はユニット内の形状を見直して背圧を的確に減衰させ、歪みを大幅低減できた新型を搭載している。

画像: フォーカルのキーテクノロジーと言える逆ドーム型トゥイーターは1991年登場のUtopiaで初搭載されて以来、改良を重ねている。この形は一般的な凸型ドームに比べ、ボイスコイル径を小さく、振動板質量を軽くできる。これにより、高効率化とリニアリティ向上が期待できるという。今回はIAL3(インフィニット・アコースティカル・ローディング・3)という最新型を搭載。進化したユニット内部では、材質違いの3層構造で背圧のコントロールと吸音(消音)を行なっている

フォーカルのキーテクノロジーと言える逆ドーム型トゥイーターは1991年登場のUtopiaで初搭載されて以来、改良を重ねている。この形は一般的な凸型ドームに比べ、ボイスコイル径を小さく、振動板質量を軽くできる。これにより、高効率化とリニアリティ向上が期待できるという。今回はIAL3(インフィニット・アコースティカル・ローディング・3)という最新型を搭載。進化したユニット内部では、材質違いの3層構造で背圧のコントロールと吸音(消音)を行なっている

 ミッドレンジとウーファーは、振動板材料と口径が共通(厚みは異なり、ウーファーがより厚く、強固になっている)。同社ARIAシリーズで初めて採用されたフランス産の天然亜麻をグラスファイバーで挟み込んだ16.5cmサンドイッチコーン振動板である。この素材は軽さと高剛性を備えつつ、適度なダンピングも併せ持つうえ、エコロジーにもつながるという。また、マグネットのベースに同心円状のファラデーリングを追加した「NIC(ニュートラル・インダクタンス・サーキット)」テクノロジーを導入したことも特徴。磁界の安定がもたらす大幅な歪み低減と低域のリニアリティを達成している。

 さらにミッドレンジのみ、コーンとユニットを接合するエッジ内に2本の円形リブを設けてサスペンション効果を高めた「TMD(チューンド・マス・ダンバー)」が付加された。これが1kHzから3kHzの範囲で周波数特性をよりフラットにし、エッジの不要共振を防ぐことができる。

画像: 【Midrange】ミッドレンジユニットのエッジ部分には、厚みの異なる2本の円形リブで相違する共振を作り出し歪みを減少させる独自のサスペンション構造TMD(チューンド・マス・ダンパー)が搭載されている。これはSopraシリーズで開発されたもので、昨年発売のUtopia EVOIIIシリーズでも採用されている 【Woofer】ウーファーはミッドレンジと同じく天然亜麻をグラスファイバーでサンドした振動板素材が用いられている。ミッドレンジとは素材の厚みが若干異なっており、ミッドレンジ比で亜麻は1.67倍、グラスファイバーは2倍の質量を投入したことで強度を高められ、いっそうの低域再生への適応が図られている

【Midrange】ミッドレンジユニットのエッジ部分には、厚みの異なる2本の円形リブで相違する共振を作り出し歪みを減少させる独自のサスペンション構造TMD(チューンド・マス・ダンパー)が搭載されている。これはSopraシリーズで開発されたもので、昨年発売のUtopia EVOIIIシリーズでも採用されている
【Woofer】ウーファーはミッドレンジと同じく天然亜麻をグラスファイバーでサンドした振動板素材が用いられている。ミッドレンジとは素材の厚みが若干異なっており、ミッドレンジ比で亜麻は1.67倍、グラスファイバーは2倍の質量を投入したことで強度を高められ、いっそうの低域再生への適応が図られている

 エンクロージャーは、同社のハイエンドモデルと共通した、フロントバッフルが弓のように湾曲したスラントデザインが与えられており、本機がハイエンドライン直系のフォーカスタイム理論(各ユニットが耳まで等距離)によるタイムアライメントの考え方に基づいて設計されているのがわかる。また、同じ厚みのMDFに比べて剛性や密度、ダンピング特性に優れる高密度ポリマーを採用したフロントバッフルには、全8色のカラーバリエーションが用意されており、インテリアとしての佇まいも考慮されていることがうかがえる(キャビネットはブラックラッカーとウォルナットマットの2色)。バスレフポートは前面と背面にそれぞれ1個設けられており、4点のスパイク支持が可能なアルミダイキャスト製レッグを装備。スピーカー端子はシングルワイヤリング仕様だ。

 もちろんKANTA N°2でも、これまでのフォーカル製スピーカーと同様に、ドライバーユニットの優れた性能を最大限発揮できるよう、エンクロージャーのデザインやクロスオーバーネットワークのチューニングが実施されているとのこと。

フラットな帯域バランス 分解能の高さは水準以上だ

 デノンのプリメインアンプ「PMA-SX」とSACDプレーヤー「DCD-S1」を使ったステレオ再生では、奥行方向に深い立体的なサウンドステージを提示。フラットな帯域バランスで周波数レンジも広く感じられる。分解能の高さもこのクラスとしては水準以上という感じだ。

 ダイアナ・クラールのヴォーカルは、音像に適度な厚みが感じられ、色艶や温度感もほどよい。スウィング感も十二分に醸し出されており、しばしうっとりと聴き惚れた。ステップス・アヘッドのビッグバンドでは、キックドラムの質感がリアルに感じ取れた。ソロ楽器とリズムセクション、その後ろのアンサンブルとの階層表現にも、距離感と広がりがある。ブラームスの交響曲第3番では、グランカッサ等の存在感が鮮明で、クレッシェンドしていくハーモニーが生々しく浮かんだ。

 AV適性もなかなかのもの。『ダンケルク』では、戦闘機の機関銃のリアリティや旋回音が立体的に再現され、2ch再生でも満足度は高かった。セリフの実体感も申し分ない。

 シリーズは全3機種のラインナップが予定されているというが、第1弾の本機がこれほど高次元のパフォーマンスを有しているとなると、大いに期待がもてる。

画像: 入力端子はシングルワイヤリング仕様で、上位シリーズと同様にケーブルを強いトルクで締められるようにウイング型の端子が搭載された。脚部のスパイクは、ベースを床面に設置させたまま上から調整ができるノブを使用している

入力端子はシングルワイヤリング仕様で、上位シリーズと同様にケーブルを強いトルクで締められるようにウイング型の端子が搭載された。脚部のスパイクは、ベースを床面に設置させたまま上から調整ができるノブを使用している

SPEAKER SYSTEM
FOCAL
KANTA N02
¥1,200,000(ペア)+税
●型式:3ウェイ4スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:27mm逆ドーム型トゥイーター、165mmコーン型ミッドレンジ、165mmコーン型ウーファー×2
●クロスオーバー周波数:260Hz、2.7kHz
●出力音圧レベル:91dB/2.83V/m
●インピーダンス:8Ω
●再生周波数帯域:35Hz〜40kHz
●カラリング:ダークグレイ・マット仕上げ(写真)、その他に4色のラッカー仕上げと3色のマット仕上げあり
●寸法/質量:W321×H1118×D477mm/35kg

KANTA N02の製品紹介ページ
https://www.focal.com/jp/speaker/kanta/kanta-n2

この記事が読める月刊HiVi2018年6月号の購入はこちら

This article is a sponsored article by
''.