ドルビーアトモスとDTS:Xに対応した「STR-DH770」の後継機

画像1: ドルビーアトモスとDTS:Xに対応した「STR-DH770」の後継機

 本機「STR-DH790」は、現行ソニーAVアンプ群のミドルモデルに当たり、先代の「STR-DH770」と同じ7chパワーアンプ搭載機ながら、ドルビーアトモス/DTS:Xに対応したことが新しい。したがって、トップスピーカーを含めた5.1.2というスピーカー構成に展開できる。また、この価格帯のモデルながら、4K/60p/4:4:4(8bit信号)のパススルー機能対応のHDMI入出力端子を備えている点もセールスポイントだ(HDR10やハイブリッド・ログガンマ、ドルビービジョンも同様に対応)。

 フィーチャーとしての訴求点は、独自の自動音場補正技術「アドバンストD.C.A.C.(デジタル・シネマ・オート・キャリブレーション)」や、フロントスピーカーだけでサラウンド再現を可能としたデジタル音場処理技術「S-Force PROフロントサラウンド」の搭載だ。特に前者は、付属マイクとソニー独自の高速精密測定信号を用いて、30秒という短時間で部屋の音響特性を計測し、31バンドのグラフィックイコライザーにて補正したうえで、各スピーカーの距離や音圧レベル、周波数特性を適宜コントロール、最適化するものだ。

画像2: ドルビーアトモスとDTS:Xに対応した「STR-DH770」の後継機

 さらには、ドルビーアトモスとDTS:Xに対応した自動スピーカー位置マッチング機能「A.P.M.(オートマチック・フェーズ・マッチング)」を用いれば、異なるスピーカーの組合せによるサラウンドチャンネル構成であっても、すべてのスピーカーを近似的に音質調整することができ、つながりのよい理想的なサラウンド空間を構築できるという。

 搭載のDSPチップは32bit演算処理仕様のものを、このクラスとしては贅沢といってよい3基使っており、信号処理の精度向上と高速化を意識しているようだ。パワーアンプ部は、上位機でも好評を博しているリニア広帯域パワーアンプである。

 フロントパネルのデザインは、昨年発表の「STR-DN1080」を踏襲しているが、筐体は一体成型メタルフレームによる剛性を考えたもので、各種の回路基板ががっちりと固定されている。基板に伝わる振動を軽減することで、オーディオ信号への影響を未然に防ぐという手法だ。シャーシはXエンボスデザインを採用したFB(フレーム&ビーム)シャーシである。なお、コスト的な制約から、フロントL/Rのスピーカー端子はバナナプラグ対応の締め付け型だが、他のチャンネルはバネ式の簡素なスピーカー端子となっている。HDMI入力は4系統/出力は1系統で、オーディオのアナログ/デジタル入出力も最小限に集約されている印象だ。

画像3: ドルビーアトモスとDTS:Xに対応した「STR-DH770」の後継機

明確な芯と安定した体幹が感じとれる どっしりとした重心の低さだ

 まずは2chでCD再生。『エトレーヌ/情家みえ』から「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」を試聴。オッポデジタルUDP205からのHDMI接続では、ヴォーカル音像は若干スレンダーながら、ローエンドがやや膨らむという積極的な音づくりを感じた。S/Nやディテイル感は、このクラスとしては水準的な再現力と思う。いっぽうでアナログ接続では、HDMI接続の音に比べていくぶんナローレンジではあるものの、全体に温かみがあり、ウォームなトーンに感じる。ピアノの瑞々しい響き、ベースの音程の確かさが好ましい。

 UHDブルーレイ『ダンケルク』では、戦闘機の旋回音のつながりがいい。魚雷命中の轟音は、分厚いパワーで思いの外どっしりとした重心の低さ。この低域の再現には明確な芯、安定した体幹が感じられる。逃げ込んだ商船の中での兵士たちの会話にも、セリフに乗った反響、あるいは射撃の船底を突き抜ける貫通音がリアリスティックに響いた。

ピュアダイレクトモードでのSEの実在感が特筆される

 ドルビーアトモス音声収録のUHDブルーレイ『オブリビオン』のチャプター5では、発信音の位置がアングルに応じて切り替わり、明確な方向感と定位感を伴なっていた。「ピュアダイレクト」モードで聴いてみると、オブジェクトオーディオならではの高さ方向のつながりが申し分なく、建物内を通過する隙間風の流れ、あるいはガラスの粉砕音の細かさなど、シーン内のSEにしっかりと実在感が感じられたことを特筆しておきたい。

画像1: ピュアダイレクトモードでのSEの実在感が特筆される

 現在の国内AVセンター市場を見渡した時、ソニーはSTR-DN1080を筆頭に、エントリー〜ミドルクラスのレンジに確固たるポジションを築こうとしているように思われる。そうした点からすると、本機の登場はその狙いをより磐石なものとするのに格好の出来栄えといってよいだろう。

画像2: ピュアダイレクトモードでのSEの実在感が特筆される

AV CENTER
SONY
STR-DH790
¥44,500+税(6月発売予定)
●実用最大出力:145W×7ch(6Ω)
●接続端子:HDMI入力4系統、HDMI出力1系統、アナログ音声入力4系統(RCA)、デジタル音声入力2系統(光、同軸)、ヘッドホン端子1系統(6.3mm標準フォーン) 他
●寸法/質量:W430×H133×D297mm/7.5kg

STR-DH790の製品紹介ページ
https://www.sony.jp/audio/products/STR-DH790/

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