3原色パネルを採用した4Kアクオスのフラッグシップモデル

画像: 3原色パネルを採用した4Kアクオスのフラッグシップモデル

 今回レビューする「4T-C70AU1」は、4K液晶アクオスフラッグシップラインの最大サイズ機。ドーム型トゥイーターと上下対向配置としたミッドレンジによる画面両サイドの2ウェイと、背面のサブウーファーで構成された10スピーカーシステム「AROUND SPEAKER SYSTEM」を搭載していることからもわかるように、サウンドにも注力したモデルである。

 注目は、画質を司る映像エンジンだ。「AQUOS 4K Smart Engine」と名付けられたそれは、新開発の「4K-Masterアップコンバート」と「リッチカラーテクノロジープロ」、「メガコントラスト」、「YouTube 4K/60p再生」といったクォリティと機能を包含したもの。2K以下の解像度のコンテンツを4Kアップコンバートする信号処理アルゴリズムは、今日各社各様に取り組んでいるわけだが、本機のそれは従来機よりも精細度を高めたものという。その信号処理と両輪となるのが、独自の広色域技術「リッチカラーテクノロジープロ」。LEDバックライトと色復元回路の相乗によって、色再現範囲の拡大と、より鮮やかな色彩表現を達成している。また「リッチブライトネス」は、長年に渡って液晶技術を磨いてきたシャープらしいフィーチャーだ。開口率の改善に加え、高効率LEDバックライトの巧みな制御によって、消費電力をセーブしながらHDRコンテンツのハイライトを明るくクリアーに再現できるようにした。

画像: HDMI端子は4系統装備され、すべて4K/60p、HDCP2.2に対応している。HDR信号は入力1と2のみで受けることができ、設定メニュー内の「HDMI対応信号モード」を『フルモード』に設定することで使用できる

HDMI端子は4系統装備され、すべて4K/60p、HDCP2.2に対応している。HDR信号は入力1と2のみで受けることができ、設定メニュー内の「HDMI対応信号モード」を『フルモード』に設定することで使用できる

 採用されたパネルは、画面の映り込みを抑えた「N-Blackパネル」。同社が近年推し進めるもので、パネルの表面に低反射素材を用い、屈折率に変化を持たせて外光や照明の映り込みを抑制しているのが特徴だ。また「倍速液晶技術」や「960スピード」の採用により、とかく応答速度の遅さを指摘される液晶特有の問題を克服し、残像感を軽減している点は見逃せない。

 ユニークなフィーチャーとしては、本誌4月号で筆者が取材した「COCORO VISION」がある。AIoTサービスを積極的に推進するシャープから生まれたもので、「人工知能(AI)」を使ったコミュニケーション・ツールの一環。付帯サービスとして株式会社ビデオマーケットとの協業で誕生したデジタルレンタル・セルの動画配信サービス「COCORO VIDEO」などもある。

画像: 付属リモコンの下部にはシャープが推し進める新AIoTサービスCOCORO VISIONのボタンが配置された。これは人工知能(AI)を使い、ユーザーの視聴コンテンツなどを学習しオススメを案内してくれるものだ

付属リモコンの下部にはシャープが推し進める新AIoTサービスCOCORO VISIONのボタンが配置された。これは人工知能(AI)を使い、ユーザーの視聴コンテンツなどを学習しオススメを案内してくれるものだ

S/Nはきわめて良好 映像調整でHDR表現も際立つ

 では、地デジの画質からチェックしよう。S/Nがよく、クリアーで、テロップの文字等もくっきりと描画される。BS放送もこれまたS/N良好で、ノイズ感が極小。発色がニュートラルで鮮鋭感がある。総じてチューナーの出来はひじょうにいいと感じた。

 ネットフリックスではどうだろう。4Kコンテンツのドイツ作品『ダーク』を鑑賞したところ、暗部が反転しそうな室内の暗いシーンでも階調はスムーズで、クリアーなノイズレス映像が楽しめた。カメラが横にパンニングするシーンで時折カタカタする印象はあったが、ここで「倍速駆動」や「960スピード」の出番で、これをオンすると解像感がやや犠牲になる反面、動きはスムーズに感じられる。状況に応じてうまく使い分けるといいだろう。

 最後にAVポジションを「映画」にして、オッポデジタル「UDP-205」を使いUHD Blu-ray2枚で画質チェックをした。すべてのパラメーターをデフォルトのままで『ダンケルク』を観たところ、海の色、空の青さなどのグラデーションがたいそう稠密で、英国軍戦闘機スピットファイアーのコックピットの計器類のディテイル、質感再現がひじょうにきめ細かい。チャプター5での陽光の眩しさや海面の反射にHDRらしさが現われている。音声に関しては、音量を上げても破綻せず、ダイナミックな中にくっきりとセリフが立った。

画像: 基本の映像調整機能は写真のとおりで、このほかに「シャープネス」、「プロ設定」が選択/調整可能。「AVポジション」は『映画』のほか、『標準』『ゲーム』『PC』『フォト』『ダイナミック』を用意する

基本の映像調整機能は写真のとおりで、このほかに「シャープネス」、「プロ設定」が選択/調整可能。「AVポジション」は『映画』のほか、『標準』『ゲーム』『PC』『フォト』『ダイナミック』を用意する

 『ハドソン川の奇跡』のチャプター5では、「コントラスト」を『30』から5ステップ上げ、「黒レベル」を『0』から『-2』として、黒を引き締めてHDRの持味をさらに引き出すチューニングを試みた。併せて、この作品はひじょうに高精細なことから、「ディテイル(高域)」を『+2』から『+1』として、メリハリ感をやや抑えめにしたところ、絵に俄然奥行と立体感が出てきた。主人公サリーがランニングしているシーンでの橋の両サイドの街灯、あるいはバー内のボトルの輝きなどが、浮き足立たずに画面に溶け込んでいる。この他に「HDRガンマ」や「ダイナミックレンジ拡張」のパラメーター調整を駆使することで、さらにUHDブルーレイが楽しく観られそうだ。

画像: プロ設定項目の一部。視聴では、より輝度を得るために「HDRガンマ」を『0』→『1』、「ダイナミックレンジ拡張」を『+2』→『+3』に変更している。さらに「ノイズリダクション」は『中』→『切』に調整を行なった

プロ設定項目の一部。視聴では、より輝度を得るために「HDRガンマ」を『0』→『1』、「ダイナミックレンジ拡張」を『+2』→『+3』に変更している。さらに「ノイズリダクション」は『中』→『切』に調整を行なった

4K LCD DISPLAY
SHARP
4T-C70AU1
オープン価格(実勢価格55万円前後)
●画面サイズ:70型
●視野角:176度
●画素数:水平3840×垂直2160
●内蔵チューナー:地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3
●接続端子:HDMI入力4系統、デジタル音声出力1系統(光)、
 USBタイプA 2系統、LAN 1系統 他
●寸法/質量:W1691×H970×D375mm/45kg

4T-C70AU1の製品紹介ページ
http://www.sharp.co.jp/aquos/products/4tc70au1_outline.html

この記事が読める月刊HiVi2018年6月号の購入はこちら

This article is a sponsored article by
''.