映画評論家 久保田明さんが注目する、きらりと光る名作を毎月、公開に合わせてタイムリーに紹介する映画コラム【コレミヨ映画館】の第11 回をお送りします。今回取り上げるのは人気シリーズの最新作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』。意外な人物が活躍しているのだとか。とくとご賞味ください。(Stereo Sound ONLINE 編集部)

【PICK UP MOVIE】
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
8月3日(金)より全国ロードショー

画像: (C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

 向かいのビルに飛び移ろうとして、右足首を骨折。短いカットだけれど、足を引きずりながらカメラ横を走り抜けるショットがそのまま使用されている。

 ここまでやると、遂行不可能な任務=Mission Impossibleに挑む敏腕スパイというより、転び、落っこち、ぶら下がりまくるバスター・キートンかジャッキー・チェンだ。文字通りの命がけ! トム・クルーズの体当たりアクションが楽しめる人気シリーズの第6弾。

 脇を閉め、突進タコ殴りするCIA諜報員(ヘンリー・カヴィル)など新キャラも登場するけれど、前作の『ローグ・ネイション』と緩やかにお話がつながっているので、それを復習しておいたほうが楽しめるかも。『M:I:III』(2006年)で初登場し、その頃は事務方の勤務で現場での冒険に憧れていたベンジー(サイモン・ペッグ)が、今回はシリーズ最高の活躍をする。

 トム・クルーズ扮するイーサン・ハントのオリジナルは、TV『スパイ大作戦』(1966年~)でマーティン・ランドーが演じた変装の達人ローラン・ハンドで、シリーズ過去5作にはすべてトムクルがフェイスマスクをべりベリッと破り捨てる名場面があった。今回はその見せ場もペッグに譲られ、胸を張っているようにも見えるベンジーの姿がほほえましい。

 IMAXとドルビーアトモス、どちらの映画館を選ぶべきだろうか。双方で鑑賞してみたけれど、今回はアトモス劇場をお奨めする。成層圏近くから飛び降りるわ、ヘリコプターできりもみ落下するわ、高低差のあるアクションが多いので、オブジェクトベースのシャープでクリアーな移動音が活きてくるのだ。街のガヤもドルビーアトモスが上位だった。

 そしてもちろん今回も、オープニングとエンディングを飾るラロ・シフリンの名テーマ曲にヤラれてしまう!
https://www.youtube.com/watch?v=XovT8RSjhkc
 これは2007年(74歳のとき!)のパリ、ジュール・ヴェルヌ映画祭でのライヴ映像。絵も音も良くはないけど、貴重。

 『燃えよドラゴン』、『ダーティハリー』、渋いところではジャズの素養を活かしたスティーヴ・マックィーンの『ブリット』や、ドン・シーゲルの『マンハッタン無宿』。クールさとユーモアを共存させたTV『0011/ナポレオン・ソロ』のテーマ曲。シフリンは天才だ!

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』

8月3日(金)より、TOHOシネマズ日比谷、成田HUMAXシネマズほかにて全国公開
監督:クリストファー・マッカリー
原題:MISSION:IMPOSSIBLE -FALLOUT
配給:東和ピクチャーズ
2018年/アメリカ/2時間27分/シネマスコープ
(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.
公式サイト http://missionimpossible.jp/

画像1: 『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
画像2: 『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
画像3: 『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
画像4: 『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』

【コレミヨ映画館】

vol.10『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』
https://online.stereosound.co.jp/_ct/17189940

vol.9『カメラを止めるな!』
https://online.stereosound.co.jp/_ct/17178003

vol.8『オンリー・ザ・ブレイブ』
http://www.stereosound.co.jp/news/article/2018/06/19/68563.html

vol.7『ワンダー 君は太陽』
http://www.stereosound.co.jp/news/article/2018/06/11/68305.html

vol.6『犯罪都市』
http://www.stereosound.co.jp/news/article/2018/04/26/67238.html

vol.5『パシフィック・リム:アップライジング』
http://www.stereosound.co.jp/news/article/2018/04/12/66817.html

vol.4『ラブレス』
http://www.stereosound.co.jp/news/article/2018/04/05/66665.html

vol.3『ザ・シークレットマン』
http://www.stereosound.co.jp/news/article/2018/02/21/64979.html

vol.2『ぼくの名前はズッキーニ』
http://www.stereosound.co.jp/news/article/2018/02/07/65126.html

vol.1『スリー・ビルボード』
http://www.stereosound.co.jp/news/article/2018/01/31/64898.html

【映画評論家 久保田明の連載】

映画の交叉点 第39回:『ジュラシック・ワールド/炎の王国』はアノ人も登場。先が読めない驚きの展開で3作目への期待が膨らむ!
https://online.stereosound.co.jp/_ct/17182769

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