前作から18年、アディオスツアー開幕『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』

映画評論家 久保田明さんが注目する、きらりと光る名作を毎月、公開に合わせてタイムリーに紹介する映画コラム【コレミヨ映画館】の第10回をお送りします。今回取り上げるのは、伊達男たちの生き様を描いた『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』。観たら飲みたくなる1作とか。とくとご賞味ください。(Stereo Sound ONLINE 編集部)

【PICK UP MOVIE】
『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』
7月20日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開

 世界中にキューバ音楽の素晴らしさと老音楽家たちの粋(いき)を伝え愛された音楽ドキュメンタリー『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(1999年)の新章。今度もいいぞ。カリブの風が吹き抜ける!

 前作から18年。人生の終わりはたぶんすぐそこまで来ている。天国に昇った仲間も少なくない。残されたメンバーはステージ活動にピリオドを打つことを決め、その志を受け継ぐ若手を加えたアディオス(さよなら)世界ツアーに出発する。

 伊達男爺さん、コンパイ・セグンドや枯淡の歌い手イブライム・フェレール、自慢じゃないが、ワシのトランペットはキューバでいちばんだぞ、と自慢しているマヌエル・ミラバールらおなじみの面々が登場。

 全体に素朴な作りだけれど、劇中、「(女性ヴォーカリストの)オマーラ・ポルトゥオンドはキューバのサラ・ヴォーンかって? ちがうよ。サラがアメリカのオマーラなんだ」というやりとりがあるように、前作に比べ、軸足がぐっとキューバ側に寄っているのが味わいどころだ。アフリカ、スペイン、アメリカのジャズやR&Bなどがミックスされて生まれたキューバ音楽“ソン”の魅力と歴史がメンバーの若かりしころのライヴ映像と共に紹介され、音楽&風物ドキュメンタリーとして深みがある。

 前作の監督ヴィム・ヴェンダースは製作に回り、演出は東日本大震災を扱った『津波そして桜』(2011年。アカデミー短篇ドキュメンタリー賞ノミネート)などで知られる英国の女性監督ルーシー・ウォーカーにチェンジ。対象に寄りそう筆さばきのなかに、いろいろあっても人生それほど悪いもんじゃないという明かりが灯る。

 全37曲。前作はお正月公開だったけれど、今回は真夏! 見終わると猛烈、ラム酒やモヒートを飲みたくなるので、そこまで考えて観に行こう!

『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』

画像: (C)2017 Broad Green Pictures LLC

(C)2017 Broad Green Pictures LLC

7月20日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開
製作総指揮:ヴィム・ヴェンダース ほか
監督:ルーシー・ウォーカー
原題:Buena Vista Social Club:Adios
配給:ギャガ
2017年/イギリス/110分/ビスタサイズ
オフィシャルサイト:http://gaga.ne.jp/buenavista-adios/
(C)2017 Broad Green Pictures LLC

【コレミヨ映画館】

vol.9『カメラを止めるな!』
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vol.8『オンリー・ザ・ブレイブ』
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vol.7『ワンダー 君は太陽』
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vol.5『パシフィック・リム:アップライジング』
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vol.1『スリー・ビルボード』
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