7月14日（土）より新宿武蔵野館ほか全国順次公開

　人気漫画家押見修造の同名作を実写映画化した『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』が、今週末7月14日（土）より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開となる。

　期待を胸に高校に進学した志乃（南沙良）は、うまく言葉を話せないことで、クラスから浮いた存在となってしまう。しかし、ある日、ひょんなことから同級生の加代（蒔田彩珠）と親友になったことで、二人はある目標を持って、学校生活を送ることになる。ここでは、W主演の一人蒔田彩珠に、本作出演の感想を聞いた。

――主演おめでとうございます。本作に出演した感想を教えてください。
　ありがとうございます。とにかく楽しかった！の一言です。同年齢のキャストが多かったので、撮影中も、待機中も、和気藹々と過ごすことができました。

――まずは、オーディションのことを教えてください。
　台本を読んだ時から、加代役をぜったいにやりたいと思って臨んだので、緊張せずできました。

――加代はどんな女の子ですか？
　結構、私と近い部分があるんです。人のことは好きで、関わっていきたいんだけど、自分からはうまくいけないところとかは、似ているなって思いました。

――蒔田さんは人見知り？
　そうなんです。お仕事であれば自分から積極的に話しかけたりはできるんですけど、プライベートというか学校では、ひたすら受け身になってしまうんです。

――南沙良さんにインタビューした時には、南さん自身も人見知りで、蒔田さんは現場のムードメーカーだったと話していました。
　私は（南）沙良ちゃんがそうだったと思っています（笑）。本当に明るくて、現場を華やかにしてくれましたから。年齢が一緒だったので、仲良くなるのがすごく早かった印象があります。

――役づくりの面では、加代をどう捉えましたか？
　自分の弱いところをちゃんと自覚している女の子なんだなって思いました。志乃ちゃんといる時には、それを隠さずにきちんと見せて（伝えて）、その上で、打ち解けていきたいと思っている、そういうお芝居を心がけました。
　志乃役の南さんも、こちら（加代）の想いを受けて、関わろうという意識を持って接して来てくれたので、お芝居はやりやすかったですね。

――ちなみに、南さんと最初に会った時の印象は？
　私が加代役として参加していたオーディションが初めましてだったんですけど、もう鳥肌が立ちました。ちょうどラストの体育館のシーンと、冒頭の初めて二人が話すシーン（メモ帳を渡すところ）のお芝居をしたんです。その時から、間の取り方がぴったりだし、きちんとセリフを受け取ってくれるので、すごくやりやすいなと思いました。

――出演が決まってから、クランクインまでは？
　加代の一番大事なものといえば、ギターと歌ですから、もうひたすらギターの練習をしていました。

――それまでに楽器の経験は？
　ぜんぜんなかったので、大変でした。とにかくコードを覚えるのが難しかったですし、指が痛くなってきたりして、苦労しました。その甲斐もあってか、撮影の時には割と弾けるようにはなっていたかなって思います。

――演奏の一方で、（加代の）歌は超へたくそという設定で、見事でした。
　もともと知らない曲だったので、とにかくメロディを覚えないようにして、歌いました。へたに歌うコツは、曲を覚えないことですね（笑）。

――いきなりですが、撮影で印象に残っているシーンはどこでしょう？
　やっぱり、二人が出逢うシーンです（メモ帳を渡すところ）。そこは、たいせつに演じたいと思っていたところなので、気合を入れて臨みました。志乃ちゃんの意思（自転車をぶつけたことを謝りたい、そして友だちになりたい）を感じたからこそ、加代もうまくしゃべれない志乃を助けたくて、メモ帳を渡したんだろうなって思います。

――そこから二人は急速に仲良くなっていきます。路上ライブも素敵でした。
　ありがとうございます。歌のシーンは、駅前で歌うところが最初の撮影で、実際に人がたくさんいる前での撮影だったので緊張はしましたけど、楽しくできました。そうそう、実際にカメラが回っている時に急に、これも弾いてって監督に言われた時は、ちょっと焦りました（笑）。練習はしていたので、弾くことはできましたけど、表情は素になっているかもしれません。

――一番楽しかったのは？
　カラオケで志乃と歌っているシーンです（笑）。私も、南さんもカラオケが大好きだったので、私と沙良ちゃんという雰囲気も出ているかと思います。

――その後、菊地（萩原利久）が入ってきたことで不協和音が生じていきます。
　音楽が好きで、ロックが好きでということで意気投合して、3人で行動するようになりますが、加代としては志乃ちゃんと菊地に何かがあったということを知らないので、ずっと仲良しでいられると思っていたんです。なので、お芝居では、志乃ちゃんが悩んでいることに気付かずに（気付けずに）いるということを心がけていました。

――そうした展開を受けてのクライマックス。撮影はいかがでしたか？
　文化祭のシーンで、志乃ちゃんが初めて、自分の気持ちをみんなの前で吐露するところは、一番感情が動かされました。私の撮影の時も、南さんがカメラに映らないのにも関わらず、私が演じやすいようにって、目の前で志乃になって（同じように演じて）くれたので、大事にお芝居ができました。

――話は変わりますが、監督からの演技指導などはありましたか？
　私たちがどういうお芝居をしたいのか、というのをとてもたいせつにして下さる方で、基本は任せてくださいました。唯一言われたのは、志乃ちゃんは自分の気持ちをうまく伝えられないので、相手がしゃべり終わるまで待ってから、自分の気持ち（セリフ）を伝えるようにしてほしい、ということでした。なので、志乃ちゃんが何を考えて、何を伝えたいのかということをきちんと理解してから、お芝居していました。

――読者へメッセージをお願いします。
　見ていただいた方に、頑張ろうという勇気を与えられる映画になったと思います。同年代の人だけでなく、大人の方々にも、そうした想い、願いが伝わるとうれしいです。

――最後に、蒔田さんの女優としての目標を教えてください。
　もっともっといろんな経験をして、いろんな作品に出演して、いろんな役を演じられる女優になりたいです。闇を抱えた女の子から、めちゃくちゃ明るい女の子まで、どんな役でも深みのあるお芝居ができるようになりたいです。頑張ります。

『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』

7月14日（土）より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開！
＜キャスト＞
南沙良、蒔田彩珠
萩原利久
小柳まいか、池田朱那、柿本朱里、中田美優／蒼波純／渡辺哲
山田キヌヲ、奥貫薫
＜スタッフ＞
監督：湯浅弘章
原作：押見修造「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」（太田出版刊）
脚本：足立紳
音楽：まつきあゆむ
配給：ビターズ・エンド
（C）押見修造／太田出版（C）2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会

●ヘアメイク：山崎聡（Sylph）
●スタイリスト：杉浦優

公式サイト　http://www.bitters.co.jp/shinochan/
蒔田彩珠　http://www.humanite.co.jp/actor.html?id=35